ばね座金規格の全て:JIS B 1251完全解説

ばね座金規格の全て:JIS B 1251完全解説

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ばね座金規格

ばね座金規格の基本構造
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JIS B 1251による分類

一般用2号と重荷重用3号の2種類に規格化

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寸法規定項目

内径、外径、断面寸法、自由高さを詳細規定

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適用範囲

M2からM39まで、幅広いねじサイズに対応

ばね座金JIS B 1251規格の基本構造

ばね座金の規格は、日本工業規格JIS B 1251「ばね座金」により厳格に定められています。この規格は2018年に最新改訂され、建築・製造業界での品質統一を図っています。
JIS B 1251では、ばね座金を以下の2種類に分類しています。

  • 一般用(2号):通常のボルト、小ねじ、ナットに使用
  • 重荷重用(3号):高負荷がかかるボルト、ナットに使用

規格では、内径d、外径D、断面寸法(幅b、厚さt)、自由高さH0について、それぞれ基準寸法と許容差を明確に規定しています。

ばね座金寸法表とサイズ選定基準

ばね座金一般用(2号)の主要寸法は以下の通りです:

呼び 内径d(mm) 外径D(mm) 幅b(mm) 厚さt(mm)
M2 2.1 4.4 0.9 0.5
M3 3.1 5.9 1.1 0.7
M4 4.1 7.6 1.4 1.0
M5 5.1 9.2 1.7 1.3
M6 6.1 12.2 2.7 1.5
M8 8.2 15.4 3.2 2.0
M10 10.2 18.4 3.7 2.5
M12 12.2 21.5 4.2 3.0

重荷重用(3号)は、同じ呼び径でも断面寸法が大きく設計されており、より強固な締結が可能です。
寸法選定時の重要ポイント。

  • 内径はボルト径より0.1~0.2mm大きく設定
  • 外径は平座金との組み合わせを考慮
  • 断面寸法は荷重条件に応じて2号・3号を選択

ばね座金材質と表面処理規格

ばね座金の材質は、JIS G 4801「ばね鋼鋼材」に基づくばね鋼が標準的に使用されます。主要材質の特性は以下の通りです:
標準材質

  • 炭素ばね鋼(SUP):最も一般的、コストパフォーマンス良好
  • ステンレス鋼(SUS304/316):耐食性重視の用途
  • りん青銅:導電性が必要な電気機器用途

表面処理規格

材質選定では使用環境の温度、湿度、化学的条件を総合的に判断する必要があります。特に屋外構造物では、JIS H 8641による亜鉛メッキ処理を推奨します。

 

ばね座金規格適合性と品質管理基準

JIS B 1251では、ばね座金の品質管理について詳細な試験方法を規定しています。主要な品質管理項目は以下の通りです:
寸法検査項目

  • 内径・外径の真円度測定
  • 断面寸法の最小値確認
  • 自由高さの測定精度±0.05mm以内
  • 許容差範囲内での製造公差管理

機械的性質試験

  • 圧縮試験:規定荷重での変形量測定
  • 復元力試験:除荷後の自由高さ回復率90%以上
  • 疲労試験:繰り返し荷重10万回での耐久性確認

品質保証体系
製造業者は、ISO 9001品質マネジメントシステムに基づく品質保証体制の構築が重要です。特に建築用途では、構造体の安全性に直結するため、トレーサビリティの確保と定期的な品質監査が不可欠です。

 

検査証明書には、材質証明、寸法検査結果、機械的性質試験データの記載が標準的に求められます。

 

ばね座金規格選定時の特殊考慮事項

実際の現場では、標準規格以外の特殊な考慮事項が重要になります。建築業界での長年の経験から得られた知見をご紹介します。
温度環境による規格選定

  • 高温環境(80℃以上):ばね定数の低下を考慮し、3号への変更検討
  • 低温環境(-20℃以下):材質の脆性破壊リスクから、より厚肉の規格選択
  • 温度サイクル環境:疲労特性を重視した材質・処理選定

振動環境での特殊規格
建設機械や橋梁などの振動環境では、通常のばね座金では緩み止め効果が不十分な場合があります。このような用途では。

  • ダブルコイルばね座金の採用
  • 接着剤併用型の締結方法
  • 定期的な増し締めメンテナンス計画の策定

電気的絶縁が必要な用途
電気設備では、意外にも絶縁性ばね座金の需要があります。

  • 樹脂製ばね座金:完全絶縁、軽量
  • セラミック系:耐熱性と絶縁性の両立
  • 表面絶縁処理:導電防止コーティング

これらの特殊用途では、JIS規格を基準としながらも、個別の性能要求仕様書の作成が重要となります。設計段階から製造業者との密接な技術協議を行い、最適な規格選定を実現することが、長期的な構造物の安全性確保につながります。