

弾性石材接着剤は、硬化後も適度な柔軟性を保つことで、下地の微細な動きや温度変化による伸縮に追従し、石材の割れやはく離を抑えることを狙った材料です。 一般的には有機系樹脂やエポキシ系、セメント系と樹脂を組み合わせたハイブリッド系が使われ、タイル・石材用弾性接着剤としてJISの要求性能に基づいた商品が各社から供給されています。
弾性を持たないモルタル系接着と比べて、乾式下地やボード下地など動きやすい基材への追従性に優れ、長期のはく離防止に有効とされています。 また、低汚染タイプの配合とすることで、御影石や大理石などシミになりやすい石材に対しても、可塑剤移行などによる汚染リスクを抑えた製品が増えています。tilement+2
弾性石材接着剤の特徴で意外に見落とされやすいのが、シーリング材ほどの大きな変位吸収は想定していない点であり、メーカーも「パネル間をまたいで張らない」などの制限を明示しています。 つまり、弾性と言ってもジョイントを潰してしまうほど過度に期待して良い材料ではなく、あくまで「下地と仕上げの微小な動きの緩衝材」として理解する必要があります。nihonkasei+1
弾性石材接着剤の選定では、下地がコンクリート・モルタルなど湿式下地か、石膏ボード・合板など乾式下地かを区別し、湿潤面対応の有無やタイプⅠ・タイプⅡなどの区分を確認することが重要です。 タイル・石材専業メーカーは、「湿式・乾式の内外装タイル張りに使用できる弾性接着剤」などと用途を整理しており、カタログ上で適用下地を細かく指定しています。
石材側では、御影石・大理石のほか、乱形石や擬石、セメント系人造石などそれぞれ吸水率や寸法安定性が異なるため、シミの出やすさや重量、サイズに応じてグレードを変えるのが実務的です。 たとえば、400角〜600角の大判石材では、粘度が低めで全面塗りしやすいタイプや、ベタ塗りでもブリードしにくい低汚染タイプが推奨されるケースが多くみられます。ipros+2
また、常時水のかかる浴室・プール・屋外水盤などでは、長期にわたり水や温水の影響を受けるため、JISのタイプⅠに相当する高耐水タイプが選ばれます。 一方で、屋内壁や間欠的な湿潤が想定される箇所ではタイプⅡ相当でも十分とされることが多く、過剰仕様を避けながら、コストと耐久性のバランスを取る設計がポイントです。nihonkasei+1
弾性石材接着剤の施工では、まず下地の浮きやひび割れを確認し、素地のレイタンスや油分、ホコリを除去したうえで、メーカー指定のプライマーを必要に応じて塗布することが基本の流れです。 その後、クシ目コテで下地側に所定厚さの接着剤を塗り、石材裏面にも十分に塗り込んだうえで揉み込むように圧着し、軽くスライドさせて空隙を減らします。
よくある失敗として、重い石材や大判材に点付けのみで対応した結果、中央部に空洞が残り、割れやはく離が発生するケースが多数報告されています。 また、厚塗りにしすぎると硬化収縮の差や水分残留により、石材表面にシミやムラが生じる場合があるため、指定の塗り厚を超えないように管理することが重要です。tile-park+2
さらに見落とされがちなポイントとして、弾性石材接着剤は乾燥に時間がかかる傾向があり、低温・多湿環境では養生期間を長めに取らないと、後工程の目地詰め時に石材が動いたり、はく離の原因になります。 現場の工程を急ぐあまり、硬化確認をせずに荷重をかけることは、追従性のメリットを自ら打ち消してしまう結果になりかねません。tile-park+1
弾性石材接着剤のメーカー技術資料には、「JAIA 4VOC基準適合」「無溶剤タイプ」「湿潤面硬化形」「エポキシ樹脂系」「変成シリコーン樹脂系」など、多数のキーワードが並びますが、それぞれ施工上の意味が異なります。 たとえば、4VOC基準適合は室内空気環境への配慮を示し、無溶剤タイプは揮発成分が少なく厚塗りでもシミや収縮が出にくい反面、温度による粘度変化に注意が必要です。
JISのタイル用接着剤規格や、タイル・石材メーカーの施工要領書では、使用可能下地や施工可能温度範囲、開放時間、圧着時間、必要なクシ目形状などが具体的に示されており、これを理解しないと本来の性能を引き出せません。 特に、弾性接着剤は「パネル間を跨がないこと」「大きな目地幅で動きを吸収すること」など制限事項が多く、FAQにも注意喚起が掲載されています。tilement+2
意外なポイントとして、石材メーカー側が「自社石材に使用できる接着剤メーカーと品番」を指定しているケースがあり、そのリスト外の弾性石材接着剤を用いた場合、石材の変色やはく離が起きても保証対象外とされることがあります。 施工者としては、接着剤側だけでなく石材側の仕様書や取扱説明書も事前に確認し、相互に矛盾がない組み合わせを選定しておくことがリスク管理につながります。ipros+1
弾性石材接着剤を扱う現場で品質の差が出るのは、材料そのものよりも「事前確認」と「試し張り」の有無であることが多く、同じ材料でも結果に大きな差が生じます。 たとえば、高級石材やシミが心配な石種の場合、余材を使って実際に接着剤を塗布し、意図的に厚めに施工して数日〜数週間経過観察することで、変色リスクを事前に確認できます。
また、弾性石材接着剤はその追従性を活かし、既存仕上げを残した部分改修や、微小クラックがある下地への補強張りなど「完全な新設ではない場面」で効果的に活用できることがあります。 もちろん下地補修を怠ることはできませんが、下地全撤去が難しい案件で、適切なプライマーと弾性接着剤を併用することで、解体量を抑えつつ耐久性を確保した事例も技術資料に紹介されています。nihonkasei+1
もう一つの実務的な工夫として、モルタル張りと弾性石材接着剤張りが混在する現場では、施工範囲ごとに材料やクシ目サイズ、開放時間を現場に掲示し、写真付きで共有することで、職人ごとのばらつきを減らす取り組みが有効です。 これはAIやデジタル化が進む中でも、人が実際に手で施工する以上、標準化された「見える化ルール」が品質を大きく左右するという、現場ならではの知見と言えます。dinaone+1
弾性石材接着剤の基礎性能・下地別選定・施工の注意点を詳しく整理した技術資料です。
弾性接着剤について ご存知ですか?(日本化成株式会社 技術資料)

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