

ドレン(排水口)周辺は、防水層の端部・取り合いになりやすく、雨漏りが起きやすい代表箇所です。関防協の解説でも、ドレン周辺は端部になるため雨漏りが起こりやすく、劣化部を除去して取り合いを補修材で補強する重要性が示されています。さらにドレンの劣化が激しい場合は、既存の上からかぶせる改修ドレンを使うケースが多いとされています。
ドレン周りで起きやすい不具合は、大きく分けて「排水機能の低下」と「止水ラインの破綻」です。排水機能の低下はストレーナー周辺の詰まり・泥溜まりで発生し、止水ラインの破綻は端部の口開き、シール材の破断、既存防水層の浮きやブリスターで加速します。
また、ドレン直近は温度変化と局所的な荷重(清掃時の踏み込み、雪かき、設備点検の荷重)が重なり、目に見えない微小な動きが繰り返されます。ここに「硬くて追従しないシール」や「三面接着」が残ると、見た目より早く亀裂が再発し、最終的には水が回り込みます。
防水補修の成否は、シール材の銘柄よりも下地処理の品質に左右されます。関防協は下地処理として高圧洗浄、既存防水層の不具合箇所撤去、ケレン、クラック補修、伸縮目地の処理、ドレン廻り補修、下地調整などの流れを挙げています。ドレン廻りでは古い防水層や劣化部分を除去し、取り合いを補修して補強する必要があるとされています。
現場で特に差が出るのは「既存シールの撤去」と「脱脂」です。旧シールを“上からなぞる”だけだと、界面に弱層が残り、硬化後に見た目が良くても、温度サイクルで界面剥離が起きます。金属フランジや鉛まわりは特に油膜・汚れが残りやすいため、清掃→ケレン→乾燥→プライマーの順序を崩さないことが基本です。
プライマーは“とりあえず塗る”工程ではなく、接着を成立させる必須工程です。実施工の解説記事でも、アスファルト防水層に適用するプライマーを塗布した上で改修用ドレンを設置し、シーリング材で裏打ちして形成し、補強クロスをまたがせる工程が紹介されています。つまり「下地(既存防水)×金物(ドレン)×補強材×シール」という複合の納まりを、プライマーがつなぐイメージです。
改修用ドレンを使う場合、取り合いの“段差”と“応力集中”をどう逃がすかがポイントです。改修用ドレンの施工解説では、排水口周辺に補強メッシュを貼り、シーリング材で隙間を埋めることで、改修用ドレンと既存防水層の接合部の強度が増すと説明されています。雨漏り改善の流れでも、メッシュと防水シーリング材で補強する工程が一般的として扱われています。
実務での基本手順(代表例)は次のイメージです。防水種別やメーカー仕様で前後するため、あくまで「考え方の骨格」として押さえてください。
・🔧 既存ドレン周りの撤去:浮き・膨れ・劣化シール・脆弱部を除去し、ケレンで健全部まで出す
・🧼 清掃と乾燥:粉じん・油分・水分を残さない(“乾いて見える”と“乾いている”は別)
・🧪 プライマー:適合品を均一塗布し、所定のオープンタイムを守る
・🧵 補強メッシュ/補強クロス:ドレン端部を跨がせ、シワ・浮きが出ないよう密着
・🪛 シール材:隙間充填+ヘラ押さえで気泡を潰し、端部の連続止水ラインを作る
・🎨 防水材(ウレタン等)とトップコート:仕様通りの層数・乾燥時間を守る
この中で“意外と効く”のが、補強材を貼る前の段差処理です。欠けや不陸を放置すると補強材がブリッジし、そこが水みち(空隙)になります。樹脂モルタル等で形状を整えるという現場事例もあり、下地を作ってから端部シーリングで止水する考え方が実際に採られています。
ドレン周りで迷いがちなポイントが「何系のシール材を選ぶか」です。一般論として、ウレタン系は硬化後ゴムのような弾力性と高い耐久性がある一方、紫外線に弱く露出使用は不向きで、塗装等で保護するのが望ましいとされています。変成シリコンは塗装可能で耐候性に優れる一方、材料特性や相性確認、必要に応じたプライマー使用が重要と解説されています。
防水改修のドレン周りでは「露出か、トップコート等で覆うか」「周辺が動く納まりか」「既存下地が何か(塩ビシート、ゴムシート、アスファルト、ウレタン等)」で最適が変わります。例えば、ウレタン塗膜防水で最終的にトップコートまでかける前提なら、ウレタン系を“露出させない運用”にでき、材料の弱点(紫外線)を潰しやすいです。
逆に、金物端部が露出しがちでメンテ周期も長く取りたいなら、耐候性の観点から変成シリコン系を検討しつつ、下地との相性やプライマー適合を詰めるのが安全です。要は「材料の強み」ではなく、「現場の露出条件とメンテ計画」に合わせて選ぶべきです。
検索上位の記事は「改修ドレンを入れる」「補強メッシュを貼る」「シーリングで埋める」までを書いて終わることが多い一方で、実際の再発原因として多いのが“接着のさせ方”です。端部シールで長持ちさせるには、三面接着を避けて二面接着にする発想が重要で、バックアップ材(またはボンドブレーカー)で接着面をコントロールします。これを怠ると、伸び縮みの逃げがなくなり、硬化後のシール材が自分で自分を引き裂くように割れます。
二面接着にすると、目地の動きが「せん断+引張」で素直にシール材へ入るため、応力集中が下がりやすいです。ドレン周りは狭小部が多く、バックアップ材が入れにくいケースもありますが、入れられないなら“そもそも目地形状を作り直す(樹脂モルタル等で整形して深さを確保する)”という逆転の手があります。
もう一つ、現場で効く小技は「硬化待ちの考え方」です。シール材が表面硬化しても、内部が未硬化のまま動かすと、界面で微細な剥離が起きます。防水材の塗り重ね・通水テスト・清掃復旧のタイミングを、工程表上で“動かさない時間”として確保するだけで、再発率が体感で下がります。
下地処理(高圧洗浄・ケレン・補修・ドレン廻り補修)の重要ポイントの根拠。
https://www.kan-bo-kyo.or.jp/column/20240501/
改修用ドレン周辺の補強メッシュ+シーリング材の考え方。
https://daishinsoken.jp/column/20240915/
アスファルト防水でのプライマー→改修用ドレン→シーリング裏打ち→補強クロス→ウレタン塗膜の施工例。
https://www.tokyobousui.jp/post/20231205drain-installation

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