
dv継手規格は、JIS K 6739「排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手」として正式に規定されています。DVは「Drain・Vent」の略称で、日本語では「排水・通気」を意味し、建物内の排水設備や通気設備に使用される専用継手です。
この規格の特徴は以下の通りです。
dv継手は、給水用のTS継手と比較して受口深さが短く設計されており、テーパも緩い構造となっています。これは排水用途において内圧がかからないことを前提とした設計思想によるものです。
規格では継手の性能項目として、寸法、外観、耐衝撃性、接合部の気密性、接合部の引張強さなどが定められており、厳格な品質基準が設けられています。
dv継手規格では、呼び径30mmから150mmまでの幅広いサイズが規定されています。各サイズの詳細寸法は以下のようになっています。
標準サイズ展開。
寸法規定の特徴。
例として、45°エルボの場合、φ30mmでは全長30mm、φ150mmでは全長124mmとなり、サイズに応じて比例的に寸法が設定されています。
エスロンタイムズの公式承認図面では、各サイズの詳細寸法が確認できます
IDDV継手の特殊寸法。
IDDV継手については、ISO 265-1に基づく国際規格寸法も並行して定められており、グローバル規格との整合性も図られています。
dv継手規格では、用途に応じた多様な形状が規定されており、それぞれに固有の略号が付与されています。
主要形状と略号一覧。
形状名 | 略号 | 用途 |
---|---|---|
90°エルボ | DL | 直角曲がり |
90°大曲がりエルボ | LL | 緩やかな直角曲がり |
45°エルボ | 45L | 45度曲がり |
90°Y | DT | 分岐接続 |
90°大曲がりY | LT | 緩やかな分岐 |
90°大曲がり両Y | WLT | 両側分岐 |
45°Y | Y | 45度分岐 |
ソケット | DS | 直管接続 |
インクリーザ | IN | 径違い接続 |
径違い継手の特徴。
径違い継手は、異なるサイズの管を接続する際に使用され、例えば100×75mmや125×100mmなどの組み合わせが規格化されています。
角度精度の規定。
Y継手類では流れ角度91°10´±30´という高精度な角度規定が設けられており、排水の流れを適切に制御できる設計となっています。
特に建築現場では、これらの形状を組み合わせることで、複雑な配管レイアウトにも対応可能です。
配管継手選定において、dv継手規格と他の継手規格との違いを理解することは重要です。
継手種類別比較表。
継手種類 | 用途 | 使用圧力 | 耐熱温度 | 接続管 |
---|---|---|---|---|
TS継手 | 給水用 | 0.75MPa | 60℃ | VP管 |
DV継手 | 排水・通気用 | 無圧 | 60℃ | VP管 |
VU継手 | 排水・通気用 | 無圧 | 60℃ | VU管 |
VUDV継手 | 排水・通気用 | 無圧 | 60℃ | VU管 |
構造的差異。
選定基準のポイント。
圧力がかかる給水系統にはTS継手、排水・通気系統にはDV継手を選定するのが基本原則です。間違った選定は漏水や破損の原因となるため、用途に応じた適切な選択が不可欠です。
クボタケミックスの技術ブログでは、継手選定の詳細な解説が確認できます
dv継手規格の適用において、適切な施工と品質管理は配管システムの長期安定性に直結します。
施工前の確認事項。
接着接合の重要ポイント。
品質管理のチェック項目。
よくある施工不良事例。
現場での温度管理も重要で、特に冬季施工では接着剤の硬化時間が延長されるため、十分な養生期間を確保する必要があります。また、継手の保管時も直射日光や高温を避け、変形や劣化を防ぐ配慮が求められます。
定期的な施工教育と品質チェック体制の構築により、dv継手規格の性能を最大限に活用した信頼性の高い配管システムが実現できます。