

エポキシ塗料が「硬くて丈夫」と信じて屋外床に使い続けると、1〜2年で塗膜が黄変しボロボロになります。
建築現場でよく耳にする「エポキシ塗料」「ウレタン塗料」は、実は性能が大きく異なる別物です。この2つを混同したまま塗料を選ぶと、現場環境に合わない仕様になり、施工後わずか数年で塗膜が劣化するケースがあります。
まずエポキシ塗料は、エポキシ樹脂を主成分にした2液反応硬化型の塗料です。鉛筆硬度で9Hに達する製品もあるほど硬度が高く、耐摩耗性・耐薬品性・防塵性に優れています。フォークリフトが行き交う物流倉庫や重機が常駐する製造工場など、荷重と摩耗が激しい現場でもその塗膜はしっかり床を守ります。硬さが魅力です。
一方のウレタン塗料は、ポリウレタン樹脂を主成分に持ち、柔軟性と衝撃吸収性に優れています。床コンクリートに微小なクラック(ひび割れ)が入った際でも塗膜が追従するため、剥離しにくいという特性があります。歩行者が多い学校の廊下・病院のホール・マンション共用部などにはウレタン塗料のほうが向いています。
さらに現場で注目されているのが「硬質ウレタン樹脂系塗料」です。エポキシの強靭さとウレタンの柔軟性を兼ね備えた進化形で、自動車工場や駐車場など「衝撃も薬品も怖い」現場に対応します。つまり、使う場所の「何を守りたいか」で選ぶ塗料は変わるということです。
| 塗料の種類 | 硬度 | 柔軟性 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| エポキシ樹脂系 | ★★★★★ | ★★☆☆☆ | 工場・倉庫・研究所 |
| ウレタン樹脂系 | ★★★☆☆ | ★★★★★ | 学校・病院・マンション廊下 |
| 硬質ウレタン樹脂系 | ★★★★☆ | ★★★★☆ | 自動車工場・駐車場・薬品工場 |
| 水性硬質ウレタン樹脂系 | ★★★★☆ | ★★★★☆ | 厨房・食品工場・製薬工場 |
この表の「硬度」と「柔軟性」はトレードオフの関係にあります。硬いほど摩耗に強いが衝撃には割れやすく、柔らかいほど追従性は高いが擦れには弱い。現場環境を先に整理してから、この表に当てはめるのが失敗しない選び方の基本です。
「安い塗料を選んだほうが得」という発想は、床塗装の現場では通用しないことがあります。これはコストの問題です。
一般的なエポキシ樹脂塗料の耐用年数は約5〜10年とされています。適正な使用環境であれば10年以上の実績もあります。ただし、過酷な環境(重機が頻繁に通行する、薬品が飛散するなど)の場合は3〜5年で劣化が始まることもあります。ウレタン樹脂系の塗床は4〜8年が目安で、アクリル樹脂系は最短で2〜5年と短い傾向があります。
施工単価の目安を整理すると、エポキシ樹脂系(薄膜)は1㎡あたり約5,500円〜、厚膜仕様では1万円を超えることもあります。ウレタン樹脂系は標準使用で1㎡あたり8,000円前後です。アクリル樹脂系は安い分だけ耐用年数が短く、頻繁に塗り替えが発生します。
たとえば500㎡の工場床で計算してみましょう。エポキシ薄膜仕様なら初期費用は275万円ほど、耐用年数を7年とすれば10年間で1回の塗り替えを想定して計550万円。アクリル系で安く仕上げた場合でも3年ごとの塗り替えが必要になれば10年で3〜4回の施工費がかかります。つまり長期で見るとコストが逆転するということです。
重防食仕様のエポキシ塗装を選ぶと耐用年数が約10年に延び、従来の4〜5年サイクルから2倍以上の周期に伸ばせます。その結果、長期的なメンテナンスコストを約60〜70%削減できるという試算もあります。金額にすると無視できない差です。
初期費用だけで塗料を選ぶのは危険です。耐用年数・塗り替え頻度・施工コストの3点セットで比較することが、長期的に正しい選択につながります。
参考:工場床の耐用年数と塗料別コスト比較に関する詳しい情報はこちら
工場床塗装に役立つエポキシの特徴と耐久性を高める実践的選び方 | takebi
どれほど高性能なエポキシ・ウレタン塗料を使っても、下地が不十分では1カ月以内に剥離が起きます。これは多くの施工トラブルの根本原因です。
施工前に必ず確認すべき下地の状態は、大きく3つあります。まず「コンクリートへの油分の浸み込み」です。工場床では長年の稼働で切削油・潤滑油・燃料油などがコンクリート内部に染み込んでいるケースが多く、この油分が残ったままだと塗料の密着性が著しく低下します。油分が多い現場では、研磨処理やケミカル洗浄を行って油を除去してから施工する必要があります。
次に「コンクリートの水分(含水率)」です。コンクリートの含水率が高い状態で塗料を塗ると、塗膜の下に閉じ込められた水蒸気が膨らみ、発泡やピンホールが生じます。特に新設後間もないコンクリートは内部に多くの水分を含んでいるため、標準的な養生期間(新設コンクリートで28日以上)を確保してから施工するのが原則です。乾燥確認が条件です。
さらに「既存塗膜の状態」にも注意が必要です。改修工事で塗り替えを行う際、脆弱になった旧塗膜の上にそのまま新しい塗料を重ねると、旧塗膜ごと剥がれてしまいます。旧塗膜に浮き・割れ・剥がれが見られる場合は、ケレン作業(研磨・除去)を徹底してから施工に入るのが正しい手順です。
下地処理の工程は、①油分・汚染物の除去 → ②コンクリートの研磨(ショットブラスト・ディスクサンダー等)→ ③クラック補修(エポキシパテ等の充填)→ ④含水率確認 の流れが基本です。この工程を省略した「見えない手抜き」が、施工後トラブルの7〜8割を占めると言われています。
参考:下地処理の具体的な手順とトラブル事例についての詳細はこちら
工場床塗装の下地処理で失敗しないための工程と費用相場徹底ガイド | takebi
2液型のエポキシ・ウレタン塗料は、主剤と硬化剤を正確な比率で混ぜて使います。この混合比を誤ると、塗料が正常に硬化せず施工後に表面のベタつき・強度不足・剥離が発生します。現場でよくある失敗がこれです。
主剤と硬化剤の混合比は製品によって異なりますが、一般的なウレタン2液型では4:1(重量比)が多く、エポキシ系では2:1や1:1など製品ごとに規定があります。体積で量ると樹脂と硬化剤の比重の違いから実際の比率がズレるため、電子秤で重量を計測するのが確実です。「目分量」は厳禁です。
混合後の「ポットライフ(使用可能時間)」にも注意が必要です。エポキシ系の2液型は混合後23℃で30分〜2時間程度が目安で、温度が高いほど硬化反応が早まり使用可能時間が短くなります。夏場の炎天下では混合後20分以内に使い切らなければならない製品もあります。混合量は使い切れる分ずつ計算して調合するのが鉄則です。
施工環境の温度と湿度も見落としがちなポイントです。エポキシ・ウレタン塗料の施工NGとなる目安は、気温5℃以下・湿度85%以上の状況です。低温下では硬化反応が遅延し、硬化不良につながります。ウレタン塗料の場合、湿度60%を超えると発泡リスクが高まるとされており、梅雨時期や雨天直後の施工は特に注意が必要です。
現場での温湿度管理には、工事前に気象予報を確認するだけでなく、デジタル温湿度計を現場に常備して施工直前の計測を習慣化することが有効です。一つの道具で大きなトラブルを防げます。
| 施工NGの条件 | リスク |
|---|---|
| 気温5℃以下 | 硬化反応の遅延・硬化不良 |
| 湿度85%以上 | 白化・乾燥遅延・密着不良 |
| ウレタン系:湿度60%以上 | 発泡・ピンホール発生 |
| 混合比ミス(2液型) | ベタつき・強度不足・早期剥離 |
「エポキシ塗料は耐久性が高いから屋外でも長持ちする」と考えている建築業従事者は少なくありません。しかし実際には、エポキシ塗料は紫外線に非常に弱く、屋外に露出した状態では早いものでは1週間程度で黄変が始まることが確認されています。これは意外な落とし穴です。
エポキシ樹脂は分子構造の特性上、紫外線(UV)を吸収しやすく、その結果として表面の樹脂が分解・変色します。まず表面が黄色〜茶色に変色し、やがて「チョーキング(白亜化)」と呼ばれる粉状の劣化が進行します。こうなると外観の問題だけでなく、塗膜が崩れて防水・防塵性能も著しく低下します。屋外使用は原則として不向きです。
屋外構造物(橋梁・外壁・屋外設備など)でエポキシ系下塗りを使用する場合は、紫外線耐性の高い上塗り材(ウレタン系・フッ素系塗料など)をトップコートとして施工するのが業界の標準仕様です。エポキシ塗料だけで完結させようとするのは間違いといえます。
一方でウレタン塗料は、エポキシと比べて耐候性に優れており、屋外使用にも一定の対応ができます。ただしウレタン塗料も単体では限界があり、フッ素樹脂塗料の耐候性(耐用年数15〜20年)と比べると7〜10年程度と短くなります。用途に応じた組み合わせが重要です。
特に屋外の床面(駐車場・屋外通路など)では、下塗りにエポキシ系プライマー、上塗りにウレタン系またはフッ素系の仕上げ材を組み合わせる「2層構造」が、耐久性とコストのバランスが取れた標準的な仕様とされています。エポキシ1本で仕上げようとすると、1〜2年後に黄変・チョーキングが起き、結果として再施工費が発生することになります。これは知っているだけで防げる損失です。
参考:エポキシ樹脂の紫外線による黄変・劣化メカニズムと対策の詳細はこちら
エポキシ樹脂塗料の黄変とトップコート【エポプルーフ・アドバンス】 | 亮栄

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