

汚泥の含水率が高いまま産廃業者に出すと、1tあたり最大50円のコストが消えています。
フィルタープレスとは、ろ布を張った複数のろ板の間にスラリー(液体中に固形物が混ざった状態の液)を加圧圧入し、固体と液体を強制的に分離する装置です。建設現場では、アースドリル工法・SMW工法・シールド工法などから大量の泥水や建設汚泥が発生しますが、その処理に中心的な役割を担うのがこの装置です。
仕組みを簡単に説明すると、まず油圧シリンダーでろ板を締め付けて「ろ室」という密閉空間を作ります。そこにポンプでスラリーを圧入し、ろ布越しに液体だけを外に押し出します。残った固形分は「脱水ケーキ」として板状に固まって排出される、という流れです。パン生地を型に押し込んでぎゅっと絞り出すイメージに近いといえます。
つまり加圧ろ過が基本原理です。
ろ過方式の中でも「重力ろ過」「真空ろ過」「加圧ろ過」の3種類がありますが、フィルタープレスは加圧ろ過に分類されます。この方式の最大の強みは、2MPa以上(大気圧の約20倍)の高圧をかけられる点です。この圧力によって、他の脱水機では難しい低含水率を実現できます。
建設業従事者にとって重要なのは、建設汚泥は「産業廃棄物」として法律上の処理義務がある点です。建設廃棄物処理指針(環境省)では、適正な処理が求められており、脱水処理は含水率を下げて産廃量そのものを減らす手段として不可欠です。適切な脱水処理なしに汚泥を大量搬出すると、1tあたり25〜50円の処理コスト(産廃処理相場)が重くのしかかります。
建設汚泥の産業廃棄物としての取り扱いについて(ConCom 現場のマネジメント学)
国内には27社以上のフィルタープレスメーカーが存在しますが、特に建設・土木・環境分野での実績が豊富な主要5社を把握しておくことが選定の第一歩です。メーカーごとに得意とする汚泥の種類・装置の自動化レベル・アフターサポート体制が大きく異なります。
① 株式会社栗田機械製作所(クリタ)
日本国内唯一のフィルタープレス専業メーカーとして1949年に創業し、納品実績はすでに4,500台以上にのぼります。「クリタでできなければそもそも不可能」と評されるほどの技術力が業界内での評価です。MF型・BF型・FM型など多彩なラインナップを持ち、0.7〜2.5MPaの圧搾式まで対応。あらゆる汚泥性状へのカスタマイズに強みがあります。
② 株式会社石垣(イシガキ)
ろ板1枚のサイズを一辺500〜2,000mmまで対応でき、500㎡以上のろ過面積を持つ大型機が得意です。ろ板最大100枚設置が可能で、処理量が多い大規模現場や浄水場・工業用水施設での導入実績が豊富です。これは問題ありません。
③ 株式会社三進製作所(サンシン)
1948年創業。技術中心・品質奉仕を基本方針とし、幅広い業種への納入実績を持ちます。
④ メタウォーター株式会社
上水・工業用水の汚泥処理を専門とするOH型フィルタープレスを展開。ろ布の寿命が長く消耗品が少ないため、ランニングコストが安い点が特徴です。ろ板両側が開放された設計でメンテナンス性に優れています。
⑤ 二本鉄工株式会社(フタモト)
全自動SE-750型が代表製品で、下水道工事・都市土木工事・コンクリート工場での脱水を得意とします。独自のエアー圧搾機構により、脱水ケーキの含水率を約30%まで低下させる高い脱水性能が特徴です。濾過板枚数は1枚から21枚まで全7種類で、現場規模に応じた選定がしやすいです。これは使えそうです。
| メーカー | 得意用途 | 最大圧搾圧力 | 特長 |
|---|---|---|---|
| 栗田機械製作所 | 幅広い産業 | 2.5MPa | 専業・カスタム対応力 |
| 石垣 | 大規模・浄水場 | 2.0MPa以上 | 大型ろ過面積(500㎡以上) |
| 三進製作所 | 多業種対応 | 要問合せ | 品質奉仕・長年の実績 |
| メタウォーター | 上水・工業用水 | 要問合せ | ろ布長寿命・低ランニングコスト |
| 二本鉄工 | 建設・土木・コンクリート工場 | エアー圧搾 | 含水率約30%・全自動対応 |
フィルタープレスメーカー27社ランキング一覧(Metoree 2026年版)
フィルタープレスのメーカー選びで最も多い失敗パターンは、「価格だけで決めてしまう」ことです。初期導入費だけに注目してメーカーを選ぶと、後から判明するランニングコストやメンテナンス費用が想定を上回り、結果的に高コストになるケースが少なくありません。
ポイント①:汚泥性状を事前に把握する
建設現場の汚泥には無機性汚泥と有機性汚泥があり、フィルタープレスは無機性汚泥(金属系・鉱物系)で特に高い脱水性能を発揮します。有機性汚泥は粘性が高くフロックが崩れやすいため、ろ布の目詰まりが頻発するリスクがあります。処理対象の汚泥に細粒分が多い場合(細粒分含有率Fc=95%程度の粘性土など)は、メーカーに事前のろ布適合試験を依頼することが原則です。
ポイント②:処理量と含水率の目標値を明確にする
石垣のデータでは、ろ板1台に設置可能な枚数は最大100枚程度で、ろ過面積は500㎡以上まで対応可能とされています。真空脱水機の最大ろ過面積が50㎡程度であるのと比較すると、フィルタープレスは10倍以上の処理能力を持てることになります。東京ドーム1つの面積(約1.3ha)に置き換えると、処理スケールの大きさがイメージしやすいでしょう。目標含水率を60〜70%以下に設定するなら、フィルタープレスが最適な方式です。
ポイント③:アフターサポート体制を確認する
ろ布は定期的な高圧洗浄と交換が必要な消耗品です。現場から遠いメーカーや代理店のサポートが薄い場合、ろ布が目詰まりして脱水性能が低下しても即座に対応できません。選定段階で「担当エリアのサービス拠点があるか」「ろ布の交換対応はどの程度のスピードか」を必ず確認することをおすすめします。
フィルタープレスの選定ポイント・運転コスト比較(株式会社石垣 公式ページ)
建設現場で使われる汚泥脱水機は、フィルタープレス以外にも複数の方式があります。スクリュープレス・ベルトプレス・多重円板型・遠心脱水機などが代表的です。それぞれの特性を把握しないまま導入すると、処理効率が悪化したり、メンテナンス負担が想定外に増えたりします。
各方式の最大の違いは、「バッチ処理か連続処理か」という点にあります。フィルタープレスはバッチ式(1回ずつの処理)であるのに対し、スクリュープレスや多重円板型は連続式です。バッチ式は1回あたりの処理量を大きくできる半面、ケーキ剥離やろ布洗浄などのダウンタイムが発生します。
含水率の低さ、つまり脱水ケーキの乾燥度で比較すると、フィルタープレスが最も優れています。建設汚泥の産廃処理費は重量ベースで課金されるため、含水率が高いほど処理費用が上がります。たとえば含水率75%→63%に改善するだけで、スラッジの搬出量を1/3に削減できた事例も報告されています(石川県産業廃棄物排出抑制マニュアル)。
建設汚泥は無機性・細粒分が多いケースが主流であり、フィルタープレスが最も得意とする対象です。処理費削減が条件です。
なお、鹿島建設の技術研究所が行った実証実験(2015年)では、泥水シールド現場での建設汚泥1tあたりの搬出処分費を8,000円(運搬費込み)と設定した場合、フィルタープレスによる脱水で最終処分土量を28%削減できることが確認されています。建設汚泥を1日100t発生させる大型現場では、この削減効果が年換算で数百万円規模のコスト差につながります。
フィルタープレス型汚泥脱水機のメリット・デメリット詳細解説(sludge-dehydrator.com)
多くの建設業従事者は、フィルタープレス導入をコストや処理効率の観点だけで判断します。しかし実は、メーカーや装置の選定ミスが直接的な法令違反リスクに直結することがあります。これは見落とされやすい盲点です。
水質汚濁防止法では、排水基準に適合しない排出水を放流した場合、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます(水質汚濁防止法第31条)。過失による違反でも、3ヶ月以下の禁錮または30万円以下の罰金が適用されます。建設工事で発生した泥水を適切に処理せずにそのまま流した場合、これに該当するリスクがあります。厳しいところですね。
東京都下水道局が公表した事例報告によると、能力不足のフィルタープレスを使用した結果、凝集したフロックが沈殿槽に堆積せず放流槽まで流出し、亜鉛基準違反が発生したケースが記録されています。装置の処理能力が汚泥量に対して不足していると、いくら脱水機を稼働させていても法的な問題が生じるということです。
つまり、処理能力の過小なメーカー・機種を選ぶと法律違反につながるということです。
この問題を避けるための行動は1つです。導入前に発生汚泥量(m³/日)を正確に計測し、選定機種の処理能力と照らし合わせた上でメーカーに書面による適合確認を取ることです。メーカー側が提供するカタログ上のスペックだけでなく、実際の現場条件(汚泥の粘性・細粒分含有率・1日あたり発生量)に基づく見積もりと試験結果を確認する工程を省略してはいけません。
廃棄物処理法においても、汚泥の不適切な処理には3年以下の懲役または300万円以下の罰金が課される場合があります。フィルタープレスのメーカー選定は、単なる設備投資の話ではなく、法令遵守の最前線に立つ判断です。

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