水質汚濁防止法 指定物質と排出規制の改正

水質汚濁防止法 指定物質と排出規制の改正

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水質汚濁防止法と指定物質の規制について

水質汚濁防止法における指定物質とは
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定義

公共用水域に多量に排出されることにより人の健康や生活環境に被害を生じるおそれがある物質として政令で定められたもの

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最新動向

2023年2月の法改正でPFOS/PFOA等4物質が新たに追加され、現在60物質が指定

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規制内容

指定物質を取り扱う事業者は事故時に応急措置と届出が必要

水質汚濁防止法における指定物質の定義と位置づけ

水質汚濁防止法において、指定物質とは「公共用水域に多量に排出されることにより人の健康若しくは生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質として政令で定めるもの」と定義されています。この定義は同法第2条第4項に明記されており、外壁塗装業を含む多くの事業者に関わる重要な概念です。
指定物質制度が整備されたのは2010年5月の法改正時でした。それ以前は規模の大きな排水設備からの有害物質排出規制が中心でしたが、近年増加する水質事故への対応として、より広範な物質と施設を規制対象とする必要性が生じたのです。
指定物質の選定基準は、2011年2月の「水質汚濁防止法に基づく事故時の措置及びその対象物質について(答申)」で示されました。具体的には以下の項目が対象となります:

  • 排水基準(有害物質以外)に含まれる物質
  • 環境基準に含まれる物質
  • 要監視項目に指定されている物質
  • 水道水基準に含まれる物質
  • 水質管理目標設定項目に含まれる物質
  • 過去に水質事故の原因となった物質

2023年2月時点で、指定物質は60種類に上り、外壁塗装業でも使用される可能性のある化学物質が多数含まれています。

水質汚濁防止法の改正と2023年に追加された指定物質

2023年2月1日、水質汚濁防止法施行令の一部が改正され、新たに4つの物質が指定物質に追加されました。これは環境省が中央環境審議会水環境・土壌農薬部会(2022年9月15日)での審議を経て決定したものです。
追加された4物質は以下の通りです:

  1. 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩(LAS)
  2. アニリン
  3. ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びその塩
  4. ペルフルオロオクタン酸(PFOA)及びその塩

これらの物質が指定された背景には、それぞれが2013年から2020年の間に環境基準や要監視項目に追加されていたという経緯があります。特に注目すべきは、PFOSとPFOAが国際的にも規制強化の対象となっている点です。

物質名 追加された基準 追加時期
LAS 環境基準(生活環境項目・水生生物保全) 2013年3月
アニリン 要監視項目 2013年3月
PFOS/PFOA 要監視項目 2020年5月
PFOS/PFOA 水道水質基準(水質管理目標設定項目) 2020年3月