フランジ寸法一覧表:建築設備工事の規格完全版

フランジ寸法一覧表:建築設備工事の規格完全版

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フランジ寸法一覧表

フランジ寸法規格の全体像
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JIS規格フランジ

2K〜63Kまでの圧力等級別寸法表で建築設備の基準を定める

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水道用フランジ

上水道工事専用規格で耐久性と安全性を確保

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JPI規格フランジ

石油工業用として高圧・高温環境に対応した特殊仕様

JIS規格フランジ寸法の基本仕様と圧力等級

JIS B 2220:2012で規定される鋼製管フランジは、建築設備工事の基準となる重要な規格です。圧力等級は2K、5K、10K、16K、20K、30K、40K、63Kの8段階に分類され、それぞれ異なる用途と設計圧力に対応しています。

 

5Kフランジの主要寸法表

  • 呼び径20A:外径100mm、厚さ14mm、ボルト穴4個
  • 呼び径25A:外径125mm、厚さ14mm、ボルト穴4個
  • 呼び径50A:外径155mm、厚さ16mm、ボルト穴4個
  • 呼び径100A:外径210mm、厚さ18mm、ボルト穴8個

10Kフランジの特徴的寸法
一般的な建築設備で最も使用頻度が高い10K規格では、呼び径が大きくなるほどボルト穴数も増加します。呼び径200A以上では、ボルト穴数が12個となり、より強固な接合が可能になります。

 

高圧用フランジの寸法変化
20K以上の高圧フランジでは、厚さが大幅に増加し、呼び径300Aで厚さ48mmに達します。これは内部圧力に対する安全性を確保するための設計変更です。

 

フランジの寸法許容差は、外径600mm以下で±1.5mm、それを超える場合は±2.0mmと規定されており、精密な施工管理が求められます。

 

水道用フランジ寸法規格の詳細仕様

水道用フランジは、上水道工事において特別な要求事項を満たすため、独自の寸法規格が設定されています。F12とF15の2つの主要規格があり、それぞれ異なる使用環境に対応しています。

 

F12規格(プレートタイプ)の寸法特性

  • プレートタイプは薄型設計で、狭小空間での施工に適している
  • 標準厚さは一般的なJISフランジより約20%薄く設計
  • 耐食性を重視した表面処理が標準仕様となっている

F15規格(WNタイプ)の構造的特徴
ウェルドネック(WN)タイプは、溶接部の強度向上を図った設計です。管との溶接部分が段階的に肉厚が変化することで、応力集中を防ぎ、長期耐久性を確保しています。

 

水道用フランジの独特な寸法要求
水道用フランジでは、内面の平滑度が特に重要視されます。表面粗さは一般工業用の半分以下に設定され、水質への影響を最小限に抑える設計となっています。

 

また、ボルト材質についても耐食性ステンレス鋼の使用が推奨され、長期メンテナンスコストの削減に寄与しています。

 

JPI規格フランジ寸法表の特徴と適用範囲

JPI-7S-15-2005で定められる石油工業用フランジは、極めて厳しい使用環境に対応した特殊な寸法設計が特徴です。クラス150から2500まで6段階の圧力等級があり、一般建築設備では見られない高仕様となっています。

 

クラス150フランジの基本寸法

  • 呼び径2インチ:外径150mm、厚さ15mm
  • 呼び径4インチ:外径229mm、厚さ19mm
  • 呼び径8インチ:外径330mm、厚さ23mm

高圧クラスの寸法変化特性
クラス900以上では、厚さが急激に増加し、クラス2500では呼び径6インチで厚さ67mmに達します。これは石油・化学プラントの高圧環境に対応するための設計です。

 

JPIフランジの特殊仕様

  • ハブ形状が複雑で、応力分散効果が高い
  • ボルト穴径が大きく、高張力ボルトの使用を前提
  • 平面座の精度が極めて高く設定されている

ただし、JPIフランジは価格が高く、一般建築設備での使用は限定的です。主に工場設備や特殊用途での採用が中心となります。

 

フランジ寸法選定時の注意点と設計考慮事項

建築設備工事におけるフランジ選定では、単純な寸法だけでなく、多面的な検討が必要です2122。

 

圧力等級の適切な選択
設計圧力の1.5倍以上の安全率を確保することが基本です。ただし、過剰な仕様は材料コストと重量増加を招くため、最適バランスの選定が重要となります。

 

温度条件による寸法変化

  • 常温時:標準寸法で問題なし
  • 高温環境(80℃以上):熱膨張を考慮した寸法選定が必要
  • 低温環境(0℃以下):材質変化による収縮を考慮

設置環境による特殊要求
屋外設置では耐候性、地下設置では耐食性、振動環境では疲労強度を重視した寸法選定が求められます。

 

施工性を考慮した寸法選択
狭小空間では、ボルト締付け工具の使用可能性を事前確認する必要があります。また、重量級フランジでは、クレーン作業の可否も重要な選定要因となります。

 

コスト最適化のポイント
標準規格品の活用により、約30-40%のコスト削減が可能です。特注品は納期も長くなるため、設計段階での標準品採用検討が重要です。

 

建築設備工事でのフランジ活用法と実務ポイント

実際の建築設備工事では、フランジの選定から施工まで、多くの実務的なポイントがあります。

 

配管ルート設計での活用法

  • 分岐点でのフランジ配置により、将来の設備変更に対応
  • メンテナンス性を考慮した点検口近辺への設置
  • 異径管接続部での寸法調整機能の活用

施工効率向上のテクニック
プレハブ工法では、工場でのフランジ取付けにより現場作業時間を約50%短縮できます。また、フランジ面の平行度管理により、ガスケット寿命の大幅延長が可能となります。

 

品質管理の重要ポイント

  • フランジ面の傷・変形チェック
  • ボルト穴位置の精度確認
  • ガスケット溝寸法の測定
  • 表面処理状態の目視検査

メンテナンス性向上の工夫
フランジ位置を床面から1.2m以上確保することで、作業効率が大幅に向上します。また、配管識別表示をフランジ近辺に設置することで、緊急時の対応速度向上につながります。

 

トラブル回避のための予防策
異なる規格のフランジを誤接続防止のため、現場での規格表示を徹底します。また、ガスケットの適合性確認により、漏水事故を未然に防止できます。

 

デジタル技術の活用
QRコードによるフランジ情報管理により、施工記録の電子化と品質トレーサビリティの向上が実現できます。3Dモデルとの連携により、干渉チェックの精度も大幅に向上しています。