
ゲートバルブの寸法表は、JIS B2011「青銅弁」規格およびJIS B2032「鋼製バルブ」規格に基づいて構成されています。基本的な寸法項目として以下の要素が標準化されています。
主要寸法項目一覧
JIS規格では、5K、10K、16K、20Kといった圧力クラス別に寸法が規定されており、それぞれ使用圧力と温度条件が異なります。特に水道用バルブでは、NS形(ねじ込み式)とGX形(フランジ式)で寸法体系が分かれているため、用途に応じた適切な選定が重要です。
鉛フリー銅合金製バルブ「無鉛くん®」シリーズでは、従来の青銅バルブと同等の寸法でありながら、環境配慮型の材質を採用しています。製品記号LJ5-BSRやLJ10-BSRなどの標準品は、呼び径8A~50Aまでの豊富なサイズ展開を実現しています。
フランジ形ゲートバルブの寸法表は、配管接続部の詳細寸法が重要な要素となります。フランジ寸法は、JIS B2220「鋼管フランジ」規格に準拠しており、呼び圧力ごとに異なる寸法体系を持っています。
フランジ形寸法表の主要項目
鋳鋼バルブシリーズにおいては、S30KFSO(仕切弁)、S30KFGO(玉形弁)、S30KFCS(逆止め弁)といった製品群で統一的な寸法体系が採用されています。これにより、同一配管系統内での互換性を確保し、保守性を向上させています。
水道用バルブの場合、呼び径50~500の範囲で、種類別(2種・3種・4種)に応じて高さHが異なります。例えば、呼び径50では280~300mm、呼び径500では1230mm以上となり、設置スペースの確保が重要な考慮事項となります。
ステンレス鍛鋼バルブでは、クラス150、300、600、800といった高圧仕様においても、標準的なフランジ寸法との互換性を保持しています。これにより、既存配管への後付け工事においても、大幅な改修を要することなく対応可能です。
ねじ込み形ゲートバルブは、管用テーパねじ(PTねじ)による接続が標準となっており、フランジ形と比較してコンパクトな寸法設計が特徴です。JIS B0203規格に基づくねじ寸法は、呼び径に応じて1/4B~3Bまでの範囲をカバーしています。
ねじ込み形の寸法特性
マレブル鉄バルブでは、10Kタイプ、16Kタイプ、20Kタイプ、150lbタイプ、300lbタイプといった多様な圧力クラスに対応した寸法体系を提供しています。特に、汎用10Kタイプは最も一般的で、建築設備や工場配管で広く採用されています。
ガス用黄銅鍛造製ボールバルブでは、LPガス消費設備用として両ネジボール栓の仕様が規定されており、安全性を重視した二重ロック機構付きメータボールガス栓も製品化されています。これらの製品では、適合性検査合格品として合格シールが貼付され、品質保証が明確化されています。
ねじ込み形の選定においては、配管材質との適合性、シール材の選択、締付けトルクの管理が重要な要素となります。特に、ステンレス配管との組み合わせでは、異種金属接触による腐食を防ぐため、適切なシール材の選定が必要です。
ゲートバルブの材質により、熱膨張係数や強度特性が異なるため、寸法設計にも違いが生じます。主要な材質分類として、青銅製、鋳鋼製、鍛鋼製、ステンレス製があり、それぞれ特有の寸法特性を持っています。
材質別寸法の特徴
青銅製バルブは、JIS B2011規格に基づく標準的な寸法体系を採用しており、一般建築設備で最も多用されています。鉛フリー青銅合金の採用により、従来品と同等の寸法でありながら環境適合性を向上させた製品も展開されています。
鋳鋼製バルブでは、より高温・高圧条件に対応するため、肉厚を増した設計となっています。T型鋳鋼ゲートバルブシリーズでは、呼び径40A~300Aの範囲で、面間寸法L、全高H、フランジ外径Dが段階的に設定されており、圧力・温度レーティングに応じた安全率を確保しています。
ステンレス鍛鋼バルブは、耐食性を重視した材質選定により、化学プラント用途での採用が増加しています。クラス800といった超高圧仕様でも、標準フランジ寸法との互換性を維持しており、既設配管への適用が容易です。
マレブル鉄製バルブは、可鍛鋳鉄の特性を活かし、中間的な圧力レンジでの使用に適した寸法設計となっています。特に、150lb・300lbクラスでは、ASME規格との整合性を図った寸法体系が採用されています。
各材質の熱膨張係数の違いにより、高温使用時の寸法変化を考慮した設計マージンが設けられているため、材質選定時には使用温度条件との適合性を十分に検討する必要があります。
現場での寸法表活用において、カタログ値と実際の施工条件との整合性確認が最重要課題となります。特に、改修工事や既設配管への後付け工事では、理論寸法と現場実測値の乖離が問題となるケースが頻発しています。
施工現場での寸法確認項目
水道用バルブの選定では、水道法による材質規制と寸法規格の両立が求められます。特に、鉛浸出基準の強化により、従来の青銅バルブから無鉛銅合金バルブへの切り替えが進んでいますが、寸法互換性を保持した製品選定が重要です。
ガス用バルブでは、高圧ガス保安法や都市ガス供給約款による技術基準への適合が必須となります。適合性検査合格品の確認とともに、設置場所の環境条件(温度、湿度、腐食性ガスの存在)に応じた材質・寸法の選定が必要です。
大口径バルブの場合、輸送制約や現場搬入経路の制限により、分割構造や現場組立て型の採用を検討する必要があります。この際、組立て精度が最終的な寸法公差に影響するため、施工管理での品質確保が重要な要素となります。
近年の建築設備では、BIM(Building Information Modeling)による3次元設計が普及しており、バルブ寸法データの3Dモデル化による干渉チェックが標準的な手法となっています。この際、メーカー提供のCADデータと実製品寸法の整合性確認が、施工トラブル防止の鍵となります。