

目視で粒度を判断しても、JIS規格の試験結果と最大30%以上ずれることがあります。
ふるい分け試験は、骨材の粒度を定量的に把握するための試験で、日本工業規格(JIS)においては JIS A 1102「骨材のふるい分け試験方法」 として規定されています。この規格は、コンクリート用骨材や道路用砕石など、建設・建築工事で使用される各種骨材の粒度分布を正確に測定するために設けられたものです。
JIS A 1102は、国土交通省の土木・建築工事の品質管理基準とも密接に連動しており、建築現場で使用する砂・砂利・砕石の品質検査において欠かせない試験規格です。つまり、この規格を知らないと現場品質管理の出発点に立てません。
試験の対象となる骨材は、細骨材(砂類) と 粗骨材(砂利・砕石類) の2種類に大別されます。細骨材は公称目開き0.075mmから10mmまでのふるいを使用し、粗骨材は0.075mmから100mmまでの広い範囲のふるいを使います。ふるいの目開きは、JIS Z 8801-1「試験用ふるい」によって規定された標準ふるいを使用することが必須です。
標準ふるいの目開きは、0.075・0.15・0.3・0.6・1.2・2.5・5・10・20・40・80mmといった系列で構成されています。これはほぼ倍々で増加する体系であり、粒径分布を対数スケールで等間隔に捉えられるよう設計されています。
なお、旧JIS規格から改正が行われており、2010年以降の改正版では試験手順や使用機器についての記述が整理・更新されています。古いマニュアルをそのまま使い続けている現場では、改正前の基準が混在しているケースがあるため注意が必要です。
JIS規格の検索・閲覧ができる日本産業標準調査会(JISC)の公式データベース。JIS A 1102の最新版確認に活用できます。
試験手順の正確な理解は、信頼性のある粒度データを得るための大前提です。JIS A 1102では、試験の各ステップが明確に規定されており、順序を誤ったり試験質量が不足したりすると、結果そのものが規格外となります。
まず試料の採取です。現場や工場から採取した骨材を、四分法またはサンプルスプリッターを用いて代表試料に縮分します。四分法とは、試料を均等に広げてから十字に4分割し、対角の2区画を捨てて残りを合わせる操作 を繰り返す方法で、偏りのない試料を得るための基本操作です。この縮分を省略して「どこか一部を取った」だけでは、偏った結果が出てしまいます。
次に、試験に用いる試料の最小質量があります。これが見落とされがちなポイントです。
JIS A 1102では、骨材の最大粒径に応じた試験用試料の最小質量が定められており、例えば最大粒径5mmの細骨材では300g以上、最大粒径20mmの粗骨材では2kg以上、最大粒径40mmでは4kg以上が必要です。最大粒径が80mmを超えるような場合には10kg以上の試料が必要となります。試料量が少ないと粗い粒子の代表性が失われ、粒度分布曲線が実態と大きく乖離します。
試料質量は規格の最低ラインです。
試料を105±5℃で乾燥させた後(炉乾燥)、目開きが大きいふるいを上に、小さいものを下にして重ねたふるい群に投入し、機械式または手動でふるい分けを行います。機械式ふるい振動機(ロータップ型など)を使う場合は、振動時間10分間が標準 とされています。ふるい分け終了後は、各ふるい上に残った試料の質量を0.1g単位で計量し、記録します。
各ふるい上の残留質量の合計と、元の試料質量との差(ロス)は、元の試料質量の1%以内に収める必要があります。1%を超える場合は試験のやり直しが必要です。この「1%ルール」を知らずに試験を続けている現場技術者は少なくありません。
土木学会が公開しているJIS A 1102関連資料。試験手順・試料量の規定内容を確認する際の参考になります。
試験データを集めたら、次は粒度分布曲線(粒径加積曲線)の作成です。粒度分布曲線は、横軸にふるいの目開き(mm、対数目盛)、縦軸に通過質量百分率(%)をとったグラフで、骨材の粒度特性を一目で把握できる強力なツールです。
通過質量百分率とは、ある目開きのふるいを通過した骨材の質量が、全体の質量に対して何%にあたるか を示す指標です。例えば目開き5mmのふるいを通過した質量が全体の85%であれば、5mmの通過百分率は85%となります。
計算式は以下のとおりです。
$$\text{通過百分率(\%)} = \frac{\text{各ふるいを通過した試料の累積質量(g)}}{\text{試料の全質量(g)}} \times 100$$
この計算を各ふるい目開きで行い、グラフ上にプロットして滑らかな曲線で結んだものが粒径加積曲線です。曲線が急傾斜であれば粒径がそろっている(粒度が均一)ことを示し、緩やかな傾斜は粒度が広く分散していることを意味します。
コンクリート用細骨材として使用する場合、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)が定める粒度範囲内に曲線が収まっているかどうかを確認します。曲線が許容範囲の帯から外れていれば、その骨材はコンクリート用には不合格となります。これは建築業従事者として必ず確認すべき判定基準です。
粒度が合否ラインを外れたとき、骨材の混合(ブレンド)によって調整する方法もあります。2種類の骨材を適切な比率で混ぜることで、目標粒度に近づけることができます。混合比率の計算は、各通過百分率を重み付け平均するだけですので、現場でもExcelで十分対応できます。これは使えそうです。
セメント協会が発行するコンクリート用骨材に関する技術資料。粒度規格と粒径加積曲線の実例が掲載されています。
ここで紹介するのは、検索上位の記事にはあまり掲載されていない、現場レベルで本当に差がつくポイントです。
ふるい分け試験を実施する際、微粒分(0.075mm以下の粒子)を正確に測定するためには、洗い試験(JIS A 1103「骨材の微粒分量試験方法」)との併用が原則 です。ところが現場では「ふるい分け試験だけやっておけばいい」と思われているケースが多く、微粒分の見落としが品質問題に発展することがあります。
乾式のふるい分けだけでは、0.075mm以下の微粒子が骨材粒子の表面に付着したまま計量されてしまい、実際より微粒分量が少なく見積もられます。微粒分量が実態より少なく記録されると、骨材の品質が良いように見えてしまう、いわば「数字のマジック」が起きます。
微粒分量が多い骨材をそのままコンクリートに使うと、単位水量の増加・強度低下・収縮ひび割れの増加 といった品質劣化につながります。JIS A 5308では、砂(細骨材)の微粒分量は質量で3.0%以下(砕砂の場合は5.0%以下)と規定されており、この基準は厳密に守る必要があります。
洗い試験の手順は、試料を水で十分洗浄し、洗い水を0.075mmふるいに通して微粒子を取り除いた後に乾燥・計量するというものです。洗い前後の質量差が微粒分量となります。この試験とふるい分け試験を組み合わせることで、粒度分布の全域にわたって精度の高いデータ が得られます。
試験は2つセットが原則です。
施工管理技士の試験でもこの組み合わせは頻出テーマとなっており、資格取得を目指している方は特に意識して覚えておいてください。また、現場では試験記録を書面で保存しておくことで、万一のクレームや品質問題が発生した際の証拠資料としても機能します。記録の電子化・保管には、品質管理ソフト(例:建設クラウドの現場管理ツール)を活用すると、手書きの転記ミスも防げます。
実際の建築・土木工事で使用される骨材には種類があり、それぞれにJIS規格や関連基準による粒度の許容範囲が定められています。種類別の基準を正確に把握しておくことが、材料選定ミスや不適合判定を未然に防ぐことにつながります。
コンクリート用細骨材(砂・砕砂) の場合、JIS A 5308の附属書(規定)によって粒度範囲が定められており、具体的には以下の通過百分率の範囲が設けられています。
| ふるいの目開き | 通過百分率の範囲(普通骨材) |
|---|---|
| 10mm | 100% |
| 5mm | 90〜100% |
| 2.5mm | 80〜100% |
| 1.2mm | 50〜90% |
| 0.6mm | 25〜65% |
| 0.3mm | 10〜35% |
| 0.15mm | 2〜15% |
粒度の許容範囲内に収まっていれば合格です。
コンクリート用粗骨材(砂利・砕石) については、最大粒径ごとに異なる粒度範囲が設定されています。例えば最大粒径20mmの砕石であれば、20mmふるいの通過百分率は90〜100%、10mmふるいでは20〜55%などと定められており、試験結果がこの帯の中に収まることが求められます。
道路用砕石 については、国土交通省の「土木工事共通仕様書」や各地方整備局の基準にも粒度規格があり、JIS A 5001「道路用砕石」が参照されます。
粒度試験の結果を判定する際に忘れがちなのが、粒度の均等係数(Uc)や曲率係数(Uc') の計算です。これらは地盤工学分野では特に重要視されており、締固め特性や透水性の評価に直結します。均等係数は次の式で表されます。
$$U_c = \frac{D_{60}}{D_{10}}$$
ここで、D60は通過百分率60%に対応する粒径、D10は同じく10%に対応する粒径です。均等係数が大きいほど粒度分布が広く、さまざまな粒径が混在していることを示します。締固め地盤の材料としては均等係数が大きい方が有利ですが、コンクリート骨材としては粒度がそろっている方が品質管理しやすいという特性があります。
結論は用途に応じた判定が必要ということです。
試験結果が許容範囲外となった場合、即座に「不合格・使用不可」と判断するのではなく、まず試験のやり直し(再現性の確認)と、採取場所の変更や骨材のブレンドによる調整可能性の検討を行うことが実務上の手順として確立されています。適切な対応を一連の記録に残しておくことが、後々の品質トレーサビリティに不可欠です。
国土交通省が公開する土木工事共通仕様書(抜粋)。骨材の品質規格・試験方法の規定を確認する際に参照できます。
まとめ:ふるい分け試験JIS規格の理解が現場品質を守る
ふるい分け試験(JIS A 1102)は、使用する骨材の粒度を正確に把握し、設計通りのコンクリートや地盤材料を確保するための基本試験です。規格で定められた試験質量・手順・判定基準を正しく理解し、洗い試験との併用や粒度分布曲線の適切な読み取りを実践することで、現場での品質トラブルを大幅に減らすことができます。
骨材の種類ごとに許容粒度範囲が異なる点、試験ロスの管理(1%以内)、均等係数による骨材特性の評価といった細かな知識の積み重ねが、建築業従事者としての技術力の差になって現れます。日々の現場管理に、ぜひ本記事の内容を活用してください。

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