グレーチングの寸法一覧と荷重規格選定ガイド

グレーチングの寸法一覧と荷重規格選定ガイド

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グレーチングの寸法規格一覧

グレーチング寸法の基本構成
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標準寸法体系

長さ995mm、幅60~600mm、高さ19~75mmの組み合わせで構成

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荷重規格対応

T-2からT-25まで、車両荷重に応じた寸法設計

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ピッチ選定

12.5mm~33mmの格子間隔で用途別最適化

グレーチングの基本寸法とピッチ規格体系

グレーチングの寸法規格は、建設業界における排水設備の要となる技術仕様です。標準的なグレーチングの長さは995mm(約1m)に統一されており、これは施工効率と運搬効率を両立させた業界標準となっています24。

 

基本寸法の構成要素は以下の通りです。

  • 長さ寸法:995mm(定尺)、500mm(ハーフサイズ)
  • 幅寸法:60mm~600mmまで10mm単位で展開
  • 高さ寸法:19mm、25mm、32mm、38mm、44mm、50mm、65mm、75mm
  • ピッチ寸法:12.5mm(細目)、20mm(中間目)、30mm~33mm(並目)

ピッチ規格の詳細分類では、細目グレーチング(12.5mmピッチ)が最も精密な排水性能を提供し、ハイヒールの踵やベビーカーの車輪が挟まりにくい安全性を実現しています。中間目グレーチング(20mmピッチ)は、排水性能と目詰まり防止のバランスに優れ、一般的な歩行者エリアで広く採用されています。

 

並目グレーチング(30mm~33mmピッチ)は、落ち葉や小枝による目詰まりが発生しにくく、維持管理コストの削減効果が高い特徴があります。特に樹木の多い環境や、定期清掃が困難な立地では、この並目規格の選択が合理的です。

 

グレーチングの荷重別寸法仕様と構造設計

荷重規格による寸法仕様の違いは、グレーチングの構造安全性を決定する重要な要素です。各荷重クラスに対応した寸法設計は、建築基準法や道路構造令の技術基準に準拠しています。

 

**T-2規格(歩道用・乗用車用)**の寸法仕様。

  • 高さ:19mm~25mm
  • ベアリングバー厚:3.0mm~4.5mm
  • 最大スパン:300mm以下
  • 重量:7.2kg~16.7kg/枚

**T-6規格(軽車両用)**の寸法仕様。

  • 高さ:25mm~32mm
  • ベアリングバー厚:4.5mm~5.0mm
  • 最大スパン:400mm以下
  • 重量:15.6kg~25.3kg/枚

**T-14規格(中型車両用)**の寸法仕様。

  • 高さ:25mm~50mm
  • ベアリングバー厚:5.0mm~6.0mm
  • 最大スパン:500mm以下
  • 重量:20.5kg~48.5kg/枚

**T-20およびT-25規格(大型車両用)**の寸法仕様。

  • 高さ:32mm~65mm
  • ベアリングバー厚:6.0mm~8.0mm
  • 最大スパン:600mm以下
  • 重量:22.9kg~57.8kg/枚

荷重規格の選定において、実際の想定車両重量に対して1.5~2.0倍の安全率を確保することが一般的です。例えば、10トン車両の通行が想定される現場では、T-20規格以上の選択が推奨されます。

 

グレーチングの材質別寸法特性と性能比較

材質による寸法特性の違いは、設置環境の腐食性や電気的特性に応じた適切な選択を可能にします。各材質の寸法精度と物理特性を理解することで、長期的な性能維持が実現できます。

 

鋼製グレーチングの寸法特性。

  • 寸法精度:±2mm以内
  • 熱膨張係数:11.7×10⁻⁶/℃
  • 表面処理:溶融亜鉛メッキ(厚さ55μm以上)
  • 標準重量:20~60kg/m²

鋼製グレーチングは、ハイテン鋼(高張力鋼)の採用により、従来品と比較して23~35%の軽量化を実現しています。これにより、同一荷重性能でありながら、設置作業の負担軽減と運搬コストの削減効果が得られます。

 

ステンレス製グレーチングの寸法特性。

  • 寸法精度:±1.5mm以内
  • 熱膨張係数:17.3×10⁻⁶/℃
  • 材質:SUS304、SUS316L
  • 標準重量:25~70kg/m²

ステンレス製は、化学工場や食品工場などの腐食性環境において、30年以上の長期使用実績があります。初期コストは鋼製の2.5~3.0倍となりますが、メンテナンスフリーによるライフサイクルコストの優位性があります。

 

FRP製グレーチングの寸法特性。

  • 寸法精度:±3mm以内
  • 熱膨張係数:23×10⁻⁶/℃
  • 電気絶縁性:10¹⁴Ω・cm以上
  • 標準重量:8~25kg/m²

FRP製グレーチングは、電気設備周辺や高周波環境において、電気絶縁性能が要求される特殊用途で採用されています。軽量性により、屋上設備や高所設置における安全性向上効果があります。

 

グレーチングの設置場所別寸法選定基準

設置場所の環境条件と使用目的に応じた寸法選定は、グレーチングの性能を最大限に発揮させる重要な技術判断です。地域の気候条件や交通量データを踏まえた選定が必要です。

 

道路側溝用グレーチングの選定基準。

  • JIS A 5372準拠のプレキャスト側溝対応
  • 溝幅200~500mmに対応
  • 車道部:T-25規格、高さ38mm以上
  • 歩道部:T-2規格、高さ19mm以上

道路側溝では、除雪車両の通過や凍結防止剤の散布による腐食環境を考慮する必要があります。寒冷地仕様として、受枠との熱膨張差を吸収するクリアランス(片側3~5mm)の確保が重要です。

 

建築物周辺排水用グレーチングの選定基準。

  • 建物荷重の影響を受けない独立基礎設計
  • 景観配慮型(細目ピッチ)の採用
  • 防音ゴム付き仕様による騒音対策
  • 開閉式ハンドル付きによるメンテナンス性向上

工場内排水用グレーチングの選定基準。

  • 化学薬品耐性(ステンレス製またはFRP製)
  • 重量物搬送経路:T-20以上の荷重規格
  • 清掃頻度に応じたピッチ選択
  • 防爆エリア対応(非火花性材質)

特殊環境では、pH値や使用薬品の種類に応じた材質選定が必要となります。例えば、塩酸を使用する環境ではSUS316L、アルカリ性環境ではSUS304の選択が適切です。

 

グレーチングの施工精度管理と維持保全寸法

グレーチングの施工精度管理は、長期的な機能維持と安全性確保の基盤となる重要な工程です24。設置時の寸法管理から定期点検での変形測定まで、体系的な品質管理システムが必要です。

 

施工時の寸法管理基準

  • 受枠設置精度:水平度±2mm/m以下
  • グレーチング設置クリアランス:片側2~5mm
  • 高さ調整精度:±3mm以内
  • 勾配設定:1/100~1/200(排水勾配

受枠の設置において、コンクリート打設時の沈下や乾燥収縮を考慮した先行管理が重要です。特に大型のグレーチング(600mm幅以上)では、中央部の撓みを防止するため、中間支持の設置が必要となる場合があります。

 

維持保全における寸法変化の監視項目

  • 経年変形:中央部撓み量の測定(許容値:スパンの1/250以下)
  • 腐食進行:板厚減少率の測定(許容値:初期厚の10%以下)
  • 接合部緩み:ボルト締付けトルクの確認
  • 表面磨耗:滑り抵抗値の測定

定期点検では、デジタルノギスによる板厚測定と、レーザー変位計による撓み測定を実施します。測定データは、交換時期の予測と予算計画に活用されます。

 

寸法劣化の早期発見指標

  • 異音の発生:設置クリアランスの不適切化
  • 部分的な変色:局所的な腐食進行
  • 表面の段差形成:不均等な磨耗進行
  • 排水不良:目詰まりによる機能低下

これらの兆候を早期に発見することで、部分交換による修繕が可能となり、全面交換に比べて工期とコストを大幅に削減できます。

 

長寿命化のための寸法設計配慮

  • 余裕代の確保:計算荷重の1.5倍以上の設計
  • 排水勾配の最適化:自然洗浄効果の向上
  • 熱膨張対応:季節変動への寸法対応
  • 交換容易性:標準規格品の採用による将来対応

適切な寸法選定と施工精度管理により、グレーチングの期待寿命は15~20年間の確保が可能です。この期間において、計画的な維持保全により、初期性能の90%以上を維持することが実現できます。