
GX形ダクタイル鋳鉄管の基本寸法は、日本ダクタイル鉄管協会規格(JDPA G 1049)に基づいて標準化されています。呼び径75mmから450mmまでの幅広いサイズが用意されており、各種上下水道工事や工業用配管に対応可能です。
直管の標準寸法表
呼び径(mm) | 管厚(mm) | 外径(mm) | 有効長(m) | 標準重量(kg/m) |
---|---|---|---|---|
75 | 7.5 | 93.0 | 4.0 | 14.40 |
100 | 7.5 | 118.0 | 4.0 | 18.62 |
150 | 7.5 | 169.0 | 5.0 | 27.21 |
200 | 7.5 | 220.0 | 5.0 | 35.80 |
250 | 7.5 | 271.6 | 5.0 | 53.06 |
300 | 7.5 | 322.8 | 6.0 | 53.06 |
400 | 8.5 | 425.6 | 6.0 | 79.59 |
管厚については、呼び径400mm以上で8.5mmと厚くなる特徴があります。これは大口径管における耐圧性能を確保するための設計仕様です。有効長は呼び径によって段階的に設定されており、75・100mmが4m、150~250mmが5m、300mm以上が6mとなっています。
継手部寸法の重要ポイント
GX形異形管は直管以外の配管システムに不可欠な部品群で、曲管・T字管・継ぎ輪・片落管など多岐にわたります。各異形管の寸法は用途に応じて最適化されており、施工効率と接続信頼性を両立しています。
曲管寸法の角度別分類
GX形曲管は角度別に5種類が標準化されています。
例えば、呼び径200mmの90°曲管の場合。
T字管・継ぎ輪の設計寸法
T字管には用途別に複数の種類があります。
継ぎ輪は管路の延長や修理時に使用される重要部品で、両受短管とも呼ばれます。標準的な継ぎ輪の有効長は各呼び径で統一されており、現場での互換性を確保しています。
GX形継手システムの信頼性は、精密な部品寸法管理によって支えられています。特にシールリング・ボルト・ナットといった継手部品の寸法精度は、長期的な水密性能に直結する重要要素です。
シールリング寸法と材質規格
シールリングの材質はSBR(スチレンブタジエンゴム)が標準仕様で、以下の性能基準が設定されています。
呼び径別のシールリング溝寸法(P寸法)は、75~250mmで2.5~3.0mm、300mm以上で3.0mmに統一されています。この寸法統一により、現場での部品管理が効率化されています。
ボルト・ナット寸法規格
GX形専用の軽量T頭ボルトは、従来品比約30%の軽量化を実現しています。材質はステンレス鋼(SUS304)を標準とし、耐食性と強度を両立。
弁類の寸法規格
GX形ソフトシール仕切弁は、弁本体と継手部が一体設計されており、面間寸法が厳密に規定されています。
呼び径(mm) | 面間寸法(mm) | 弁棒回転数 | 操作トルク(N·m) |
---|---|---|---|
75 | 180 | 13 | 45 |
100 | 180 | 17 | 60 |
150 | 220 | 19 | 95 |
200 | 260 | 25 | 150 |
250 | 300 | 25 | 210 |
設計施工における寸法基準は、単なる製品仕様を超えて、現場での施工性・保守性・経済性を総合的に考慮した実務標準として機能しています。特に切管作業や現場加工時の寸法管理は、工期短縮とコスト削減に直結します。
切管有効長の最小基準
現場での切管作業では、継手機能を維持するための最小長さが規定されています。
挿し口リング加工時の最小長さ
P-Link使用時はさらに短縮可能で、呼び径75~200mmで甲切管660~680mm、300mmで720mmとなります。これにより材料歩留まりが向上し、建設コストの削減が実現できます。
挿し口白線表示寸法
施工時の挿入深度管理のため、挿し口には白線表示が義務付けられています。
この白線表示により、現場作業者は適切な挿入深度を視覚的に確認でき、施工品質の向上と作業効率化が図れます。
埋設深度と土被り寸法
道路下埋設時の土被り寸法は、交通荷重と管径の関係で決定されます。
これらの基準は、管体への過度な外力を防ぎ、長期耐久性を確保するために不可欠です。
GX形ダクタイル鋳鉄管の寸法選定は、初期投資コストと維持管理コストのライフサイクル最適化が重要な判断基準となります。適切な寸法選定により、建設費用を10~15%削減できる場合があります。
口径選定の経済性分析
配管システムの口径選定では、以下の要素を総合評価します。
実際の事例では、呼び径200mmから250mmへの変更で、管材費は約40%増加しますが、流速向上により維持管理費が20年間で30%削減されるケースがあります。
在庫管理とジャストインタイム調達
GX形管材の重量特性を活用した在庫最適化により、現場保管コストを削減できます。
重量データに基づく運搬計画
この重量データを基に運搬効率を最大化し、現場での一時保管量を最小限に抑制することで、建設現場の省スペース化と安全性向上を同時に実現できます。
異形管の標準化効果
現場で使用する異形管の種類を標準化することで、以下のメリットが得られます。
特に曲管の角度選定では、22½°と45°の組み合わせで90°を代替する手法により、在庫品目を削減しつつ設計自由度を維持できる場合があります。
千葉県の設計施工基準書にあるGX形管材の詳細仕様
http://www.pref.chiba.lg.jp/suidou/keikaku/tetsuzuki/documents/gx.pdf
日本ダクタイル鉄管協会の公式規格書(JDPA G 1049)
https://www.jdpa.gr.jp/download/binran/030_JDPA_G1049tyokkan.pdf
コスト削減の実務チェックリスト
✅ 口径選定時の流量計算精度向上(過大設計防止)
✅ 異形管使用箇所の現場溶接継手への変更検討
✅ 切管発生の最小化(設計段階での寸法調整)
✅ 標準品優先選定(特注品コスト回避)
✅ 施工時期の調整(需要ピーク時期回避)
これらの手法を組み合わせることで、GX形ダクタイル鋳鉄管システムの総合コストを効率的に最適化できます。寸法選定は単なる技術仕様の問題ではなく、プロジェクト全体の経済性を左右する重要な経営判断といえるでしょう。