配管エルボ寸法一覧表とロングショート継手選定

配管エルボ寸法一覧表とロングショート継手選定

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配管エルボ寸法一覧

配管エルボ寸法の基本知識
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ロング・ショートの違い

ロングエルボは曲げ半径が管外径の1.5倍、ショートは管外径と同じ継手です

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F寸法計算法則

ショート25.4mm、ロング38.1mmを基準に径の呼びを掛けて計算可能

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現場での選定ポイント

配管スペースや流体特性に応じた最適なエルボ継手の選び方

配管エルボ90度ロング・ショートの寸法規格

配管エルボの90度継手は最も使用頻度が高い継手の一つです。ロングエルボとショートエルボの基本的な違いを理解することが、適切な継手選定の第一歩となります。

 

ロングエルボとショートエルボの特徴比較
ロングエルボは曲げの半径が管の外径の約1.5倍に設計されており、流体の流れがスムーズで圧力損失が少ないという特徴があります。一方、ショートエルボは曲げ半径が管の外径と同じ継手で、狭いスペースでの配管に適しています。

 

90度エルボの主要寸法一覧(F寸法:中心から端面までの距離)

  • 径の呼び15A:ロング38.1mm、ショート25.4mm
  • 径の呼び25A:ロング38.1mm、ショート25.4mm
  • 径の呼び50A:ロング76.2mm、ショート50.8mm
  • 径の呼び100A:ロング152.4mm、ショート101.6mm
  • 径の呼び150A:ロング228.6mm、ショート152.4mm
  • 径の呼び200A:ロング304.8mm、ショート203.2mm

25A以下の小径管では、ロング・ショート共に同一寸法となる点に注意が必要です。この特例は現場でよく見落とされるポイントです。

 

配管エルボJIS規格による寸法表の見方

JIS規格(日本産業規格)では、配管エルボの寸法が厳密に定められており、突合せ溶接式管継手の寸法許容差も明確に規定されています。

 

JIS規格の寸法許容差(主要項目)
寸法許容差は径の呼びによって異なり、以下のように区分されています。

  • 径の呼び15~65A(1/2~2-1/2B):端部外径+1.6/-0.8mm
  • 径の呼び80~100A(3~4B):端部外径±1.6mm
  • 径の呼び125~200A(5~8B):端部外径+2.4/-1.6mm
  • 径の呼び250A以上(10B以上):端部外径+4/-3.2mm

管継手の材料記号と呼び厚さ
JIS規格では材料記号も重要な要素です。

  • FSGP(配管用炭素鋼鋼管用)
  • PT410(圧力配管用炭素鋼鋼管用)
  • Sch(スケジュール)による厚さ区分:5S、10S、20S、40、80など

これらの規格を理解することで、現場での継手選定ミスを防げます。

 

配管エルボF寸法計算の法則と計算方法

配管エルボのF寸法(中心から端面までの距離)には、覚えやすい計算法則があります。この法則を知っていれば、現場で手軽に寸法を算出できます。

 

F寸法計算の基本法則
ショートエルボの基準寸法:25.4mm(1インチ)
ロングエルボの基準寸法:38.1mm(1.5インチ)
計算式の実例
100A(4B)ロングエルボのF寸法計算。
38.1mm × 4(B) = 152.4mm
150A(6B)ショートエルボのF寸法計算。
25.4mm × 6(B) = 152.4mm
暗算での活用方法
この法則を使えば、現場で電卓がなくても概算寸法を求められます。

  • 50A(2B)ロング:38.1 × 2 ≒ 76mm
  • 80A(3B)ショート:25.4 × 3 ≒ 76mm
  • 200A(8B)ロング:38.1 × 8 ≒ 305mm

ただし、25A(1B)以下は同一寸法となるため、この法則は適用されません。設計者にとって非常に実用的な知識です。

 

配管エルボ角度別(45度・180度)の寸法一覧

90度エルボ以外にも、配管の設計要求に応じて45度・180度エルボが使用されます。各角度のエルボには特有の用途と寸法特性があります。

 

45度エルボの用途と寸法特性
45度エルボは緩やかな方向転換が必要な配管に使用され、圧力損失を最小限に抑えられます。F寸法は90度エルボより小さくなります。

  • 径の呼び25A:F寸法22mm(ロング)
  • 径の呼び50A:F寸法35mm(ロング)
  • 径の呼び100A:F寸法64mm(ロング)
  • 径の呼び150A:F寸法95mm(ロング)

180度エルボの特殊用途
180度エルボは配管の終端で逆方向に流す必要がある場合に使用されます。U字型の形状で、配管スペースの制約がある場所で重宝します。

  • 径の呼び50A:中心間距離152.4mm
  • 径の呼び100A:中心間距離304.8mm
  • 径の呼び150A:中心間距離457.2mm

特殊角度エルボのカスタマイズ対応
標準角度では対応できない現場要求に対して、70度から90度の間など、任意の角度でのカスタマイズも可能です。建築設備の複雑な配管ルートに対応できる柔軟性があります。

 

配管エルボ継手選定における現場での実践的ポイント

理論的な寸法知識だけでなく、実際の現場では様々な実践的考慮事項があります。経験豊富な配管工が重視するポイントを整理します。

 

流量と圧力損失の関係性
エルボ継手の選定では、単純に寸法だけでなく流体特性も重要です。

  • 高流量配管:ロングエルボで圧力損失を抑制
  • 狭小スペース:ショートエルボで省スペース化
  • 高圧配管:厚肉継手(Sch80以上)の選定

保温配管での特殊考慮事項
保温が必要な配管では、保温エルボの選定が必要になります。保温材の厚さを考慮した継手選定と、保温継続性の確保が重要です。

 

施工効率を向上させる継手配置
現場での施工効率を考慮した継手配置のコツ。

  • メンテナンススペースの確保(最低300mm以上)
  • 配管勾配の維持(1/100以上推奨)
  • 支持金具との干渉回避
  • 他設備配管との離隔距離確保

材質選定の実践的判断基準
配管エルボの材質選定では、使用環境に応じた適切な判断が必要です。

  • 一般給水:FSGP(亜鉛めっき鋼管用)
  • 高温配管:炭素鋼(PT410)以上
  • 腐食環境:ステンレス鋼(SUS304/316)
  • 食品関連:衛生的ステンレス鋼

品質管理における検査ポイント
現場での継手品質確認項目。

  • 外観検査:クラック、変形の有無
  • 寸法検査:F寸法、外径の規格適合性
  • 材質確認:材料証明書との照合
  • 開先形状:溶接品質に直結する重要項目

これらの実践的ポイントを理解することで、単なる寸法知識を超えた総合的な配管技術者としてのスキルが身につきます。現場経験と理論知識を組み合わせることで、より高品質な配管工事が実現できます。

 

エルボ寸法計算法則の詳細解説 - MIRAIZ株式会社