

いすゞが2024年11月に発表した新型キャンピングカー専用シャシー「Travio(トラヴィオ)」は、キャンピングカー市場に革新をもたらしました。このモデルは小型トラック「ELF mio」をベースに開発され、1.9Lディーゼルエンジンと6速オートマチックトランスミッションを搭載しています。最大の特徴は、車両総重量が3.5トン未満に設計されているため、2017年以降に普通免許を取得した方やAT限定免許保持者でも運転可能な点です。エンジン出力は88kW(120PS)、最大トルクは320N・mを発揮し、WLTCモード燃費は10.8km/Lを実現しています。さらに、プリクラッシュブレーキや車線逸脱警報、全車速車間クルーズなど最新の安全装備を標準搭載し、安心して長距離ドライブを楽しめる設計となっています。
いすゞのビーカム(Be-cam)は、エルフをベースにキャンピングカー向けの設計変更を施した専用シャシーとして長年の実績を誇ります。2023年春には新型エルフのフルモデルチェンジに伴い、3代目ビーカムが登場しました。新型ビーカムは「プレミアム&SEカスタム寒冷地仕様車」をベースに、9速オートマチックトランスミッションを搭載し、変速ショックをほぼ感じない滑らかな加速を実現しています。エンジン音が非常に静かで低燃費を達成しているほか、シートヒーターなどの快適装備も標準搭載されています。日本特種ボディー(NTB)などのビルダーがビーカムをベースに多様なキャブコンを製作しており、いすゞサービス工場で完璧なアフターサービスが受けられる安心感も大きな魅力です。
日本特種ボディー公式サイト - いすゞBe-camの詳細仕様
いすゞのキャンピングカーに搭載されるディーゼルエンジンには、建築業従事者にとって特に重要なメリットがあります。第一に、低回転から発生する強力なトルクにより、重い荷物を積載した状態や傾斜のある工事現場へのアクセスでも力強い走りを発揮します。第二に、ガソリンエンジンと比較して燃費性能に優れており、軽油の価格がガソリンより安いため、長距離移動や頻繁な使用でも燃料費を抑えられます。Travioの場合、WLTCモード燃費10.8km/Lを実現し、70Lの燃料タンクにより一回の給油で約700km以上の航続距離が期待できます。第三に、ディーゼルエンジンは構造上の耐久性が高く、商用車としての信頼性が求められるトラックベースのキャンピングカーに最適です。いすゞのサービス工場でメンテナンスを受けられるため、建設現場での使用にも安心です。
いすゞのエルフをベースにしたキャンピングカーは、その多様性と実用性で建築業従事者から高い評価を得ています。エルフは2トン積みベースであり、1.5トン積みのトヨタ・カムロードよりもキャビンが約200mm幅広く設計されているため、より広い居住空間を確保できます。日本特種ボディーが製作する「AKATSUKI(アカツキ)」は新型ビーカムをいち早く採用したモデルで、全車速車間クルーズやレーンキープアシストなどの最新安全装備を搭載しています。また、後部座席には乗用車の乗り心地を実現する専用リーフスプリングが標準装備され、長時間の移動でも快適性を保ちます。エルフベースのキャンピングカーは、トラックとしての積載能力とキャンピングカーとしての居住性を両立させており、建設現場での移動事務所や休憩スペースとしても活用できる実用性の高さが魅力です。
建築業界では、いすゞのキャンピングカーが移動可能な作業拠点として注目を集めています。広大な建設現場では、工事担当者が工事事務所と現地を往復する負担が大きく、生産性の低下要因となっていました。そこで、キャンピングカーを「ムービングオフィスカー」として活用する取り組みが進んでいます。いすゞのディーゼルキャンピングカーは、家庭用エアコンや電子レンジ、冷蔵庫などを標準装備しており、サブバッテリーシステムにより外部電源がない場所でも快適な執務環境を提供します。例えば、日本特種ボディーのEXPEDITION STRIKERは、全長4,955mm、全幅1,800mmのコンパクトサイズながら7名乗車6名就寝が可能で、駐車枠に収まるサイズ設計により、狭い工事現場でも運用しやすい特徴があります。また、ダブルタイヤ採用により重量物を積載しても安定した走行が可能で、工具や資材の運搬にも対応できます。
| モデル名 | ベース車 | 全長 | 全幅 | 車両重量 | 乗車定員 | 価格帯 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| EXPEDITION STRIKER | Travio | 4,955mm | 1,800mm | 2,565kg〜 | 7名 | 998万円〜 |
| KAGAYAKI | Travio | 4,880mm | 1,900mm | 約2,600kg | 7名 | 1,000万円前後 |
| HAYATE | Travio | 約4,900mm | 1,800mm | 3.5t未満 | 7名 | 未公表 |
| AKATSUKI | 新型Be-cam | 未公表 | 未公表 | 未公表 | 未公表 | 未公表 |
いすゞのキャンピングカーを普通免許で運転するためには、免許取得時期による運転可能な車両総重量の違いを理解する必要があります。平成29年(2017年)3月12日以降に普通免許を取得した場合、車両総重量3.5トン未満、最大積載量2.0トン未満のキャンピングカーが運転可能です。TravioベースのEXPEDITION STRIKERは車両総重量が2,950kg(シンプル電装モデル)から3,020kg(スタンダード電装モデル)で、この基準を満たしています。さらに、6速オートマチックトランスミッション搭載のため、AT限定免許でも運転できます。平成19年(2007年)6月1日以前に普通免許を取得した方は、車両総重量5トン未満まで運転可能なため、より大型のキャンピングカーも選択肢に入ります。建築業従事者の多くは現場への移動で大型車の運転経験がありますが、キャンピングカーは車高が高く車幅感覚が異なるため、購入前にレンタルや試乗で運転感覚を確認することをおすすめします。
いすゞのキャンピングカーを選ぶ最大の利点の一つが、全国のいすゞサービス工場でメンテナンスを受けられる充実したアフターサービス体制です。一般的なキャンピングカーは架装部分の修理に専門ビルダーへの持ち込みが必要ですが、いすゞベースの場合、エンジンや駆動系などのベース車両部分はいすゞディーラーで対応可能です。新型Travioには車両状態監視システム「MIMAMORI(みまもり)」が搭載され、メンテナンス情報やDPF不調、AdBlue残量、バッテリー電圧などをスマートフォンで確認できます。ディーゼルエンジンは定期的なエンジンオイル交換やDPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)のメンテナンスが必要ですが、いすゞの専門技術者による適切な整備により、長期間にわたり高い性能を維持できます。建設現場での使用では、悪路走行による足回りのダメージも想定されるため、定期点検を欠かさず行うことが重要です。
いすゞのディーゼルキャンピングカーは、ガソリン車と比較して優れた燃費性能により運用コストを抑えられます。Travioのカタログ燃費はJC08モードで13.6km/L、WLTCモードで10.8km/Lですが、架装後の実燃費は車両重量や装備により変動します。一般的なキャブコンの実燃費は5〜7km/L程度とされる中、ディーゼルエンジンの効率性と最新の電子制御技術により、Travioベースのモデルは比較的良好な燃費を実現しています。燃料コストの面でも、軽油はレギュラーガソリンより1リットルあたり約10〜20円安いため、年間走行距離が長い建築業従事者にとって経済的です。ただし、ディーゼル車特有の維持費として、尿素水(AdBlue)の補充が必要で、Travioの尿素水タンク容量は14Lです。また、車両価格はガソリン車より高めですが、長期的な燃料費削減と高い耐久性を考慮すると、総所有コストでは優位性があります。
建築業従事者がいすゞのキャンピングカーを選ぶ際には、使用目的と必要な機能を明確にすることが重要です。まず、主な用途が現場での休憩スペースなのか、宿泊を伴う長期出張なのかを検討します。日帰り作業が中心なら、電装設備をシンプルにしたモデルで初期費用を抑えられます。EXPEDITION STRIKERのシンプル電装モデルは、エコフロー製ポータブルバッテリーを後付けできる設計で、必要に応じて電源容量を拡張可能です。一方、宿泊利用が多い場合は、スタンダード電装モデルでサブバッテリーやインバーターを標準装備したほうが便利です。また、駐車スペースの確保も重要で、KAGAYAKIの全幅1,900mmに対し、EXPEDITION STRIKERは全幅1,800mmとコンパクトで、狭い現場でも取り回しやすいメリットがあります。さらに、定員も考慮すべきで、7名乗車可能なモデルなら、現場への移動で複数の作業員を乗せられます。
いすゞのキャンピングカーを購入する際には、いくつかの注意点があります。第一に、車両総重量が3.5トン未満でも、積載する工具や資材の重量により総重量が増加する可能性があるため、積載可能重量を確認する必要があります。EXPEDITION STRIKERの場合、定員乗車時の積載可能重量はシンプル電装モデルで540kg、スタンダード電装モデルで470kgです。前輪負荷1,900kgを超えないよう注意が必要で、過積載は免許区分の問題だけでなく、安全性にも影響します。第二に、キャンピングカーは一般車両より車高が高いため、立体駐車場や高さ制限のあるトンネル、建設現場の仮設ゲートなどで通行できない場合があります。Travioベースのモデルは全高約3,000mmあり、事前に通行ルートを確認することが重要です。第三に、建設業での使用なら、減価償却資産として経費計上できる可能性があるため、税理士に相談することをおすすめします。また、環境対応車として補助金制度が利用できる場合もあります。
| 電装タイプ | シンプル電装 | スタンダード電装 |
|---|---|---|
| サブバッテリー | オプション(ポータブル) | 鉛蓄電池標準装備 |
| 走行充電器 | エコフロー対応 | 標準装備 |
| インバーター | オプション | オプション(1500W) |
| ソーラーパネル | オプション | オプション |
| 適した用途 | 日帰り・短期利用 | 宿泊・長期利用 |
| 初期コスト | 低い | 高い |
日本特種ボディーが製作するKAGAYAKI(カガヤキ)は、Travioをベースにした正統派キャブコンとして2024年に登場しました。全長4,880mm、全幅1,900mmのボディに、対面式ダイネット、クローゼット、リア2段ベッドを備えた使い勝手の良いレイアウトが特徴です。7名乗車6名就寝が可能で、ファミリーユースから2人旅まで幅広い用途に対応します。家庭用エアコンを標準装備し、車内での快適な休息環境を提供します。また、前後ディスクブレーキやリアダブルタイヤにより、重量のある架装を載せても安定した制動力を発揮します。KAGAYAKIの魅力は、普通免許で運転できることと、見た目よりもずっとコンパクトな設計にあり、日常的な買い物や通勤にも使える実用性の高さが評価されています。建築業従事者にとっては、現場と自宅を往復する移動手段としても、週末のレジャーとしても活用できる汎用性が大きなメリットです。
EXPEDITION STRIKERは、日本特種ボディーのエクスペディションシリーズに属するオフロード系キャブコンで、「悪路での走破性と居住性・快適性の両立」をコンセプトに開発されました。最大の特徴は、日本初のオールアルミ製シェルを採用したことで、軽量・コンパクト・高強度の3拍子そろったヘビーデューティ仕様を実現しています。全長4,955mm、全幅1,800mmの車体は、スペアタイヤ装着時でも全長5,065mmと駐車枠に収まるサイズです。山間部の建設現場や林道へのアクセスが必要な工事では、このオフロード性能が威力を発揮します。運転席と居住部分が分離したEXPEDITIONボディーにより、悪路走破時の衝撃が居住空間に伝わりにくい設計となっています。また、2050mm×1,650mmの広々としたバンクベッドは簡単にセットでき、現場での仮眠や休憩に最適です。発売記念台数限定価格が998万円台からとアンダー1,000万円で販売されており、コストパフォーマンスにも優れています。
日本特種ボディー - EXPEDITION STRIKERの詳細仕様
HAYATEは、Travioベースのキャブコンとして、実用性と快適性を重視した設計が特徴です。6速オートマチック搭載によりAT限定普通免許で運転可能で、車両総重量3.5トン未満に抑えられています。シェルは軽量・高強度のオールFRP製を採用し、耐候性と断熱性に優れています。7名乗車6名就寝可能なレイアウトは、入口から見渡せる開放的な室内空間を実現しており、限られたスペースを効率的に活用しています。建築業従事者にとって注目すべきは、作業服や工具を収納できる十分な収納スペースと、汚れを落としやすい清水タンク・排水タンク装備のシンク設備です。現場作業後に手洗いや簡単な清掃ができる点は、実用面で大きなアドバンテージとなります。また、室内AC100Vコンセントが標準装備されており、充電工具やノートパソコンなどの業務機器も使用できます。
2023年に登場した3代目ビーカムは、2代目から大幅な進化を遂げました。最も注目すべきは、9速オートマチックトランスミッションの採用で、60km/hに達する時には既に9速に入っているほどスムーズに加速します。変速ショックがほぼ感じられず、長距離移動での疲労軽減に貢献します。エンジン音も非常に静かで、車内での会話や休憩時の静粛性が向上しています。安全装備面では、全車速車間クルーズとレーンキープアシスト、プリクラッシュブレーキなどの最新機能を搭載し、高速道路での長距離移動をサポートします。また、車両状態監視システム「MIMAMORI」により、スマートフォンでメンテナンス情報や車の不調をいすゞと共有でき、トラブルの早期発見が可能です。建設現場での使用を想定すると、これらの先進機能は作業効率の向上と安全性の確保に直結します。
いすゞベースのキャンピングカーは中古市場でも高い人気を維持しています。特にビーカムベースのモデルは、耐久性の高さと全国のいすゞサービス網でメンテナンスできる利便性から、リセールバリューが高い傾向にあります。中古キャンピングカーを購入する際の注意点として、まず雨漏りの有無を徹底的にチェックする必要があります。ルーフや窓周辺のシーリング劣化は、内装の腐食やカビの原因となるため、天井や壁の変色、異臭がないか確認します。次に、水回り設備の動作確認が重要で、給水ポンプ、冷蔵庫、家庭用エアコンなどを実際に稼働させて不具合がないか確認します。ディーゼルエンジンは走行距離10万kmを超えても適切なメンテナンスで長く使えますが、DPFの交換歴やエンジンオイルの管理状況を確認することをおすすめします。また、キャンピングカー専門店で購入すれば、架装部分の保証やアフターサービスも期待できます。