jis規格鋼管の構造用と配管用材質規格選定完全ガイド

jis規格鋼管の構造用と配管用材質規格選定完全ガイド

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jis規格鋼管の構造用配管用材質規格

JIS規格鋼管の基本分類
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構造用鋼管(JIS G3444)

鉄塔、足場、支柱、基礎ぐいなど土木建築構造物に使用される炭素鋼鋼管

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配管用鋼管(JIS G3452)

ガス管、水道管、空調用配管に使用されるSGP管(Steel Gas Pipe)

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材質規格の選定基準

用途、強度、溶接性、耐候性を考慮した最適な材質規格の選び方

jis規格鋼管の基本構造と材質分類

jis規格鋼管は、日本工業規格(JIS)に基づいて製造される鋼管の総称で、用途や材質によって複数の規格に分類されています。金属加工現場では、これらの規格を正確に理解し、適切な選定を行うことが品質確保の要となります。

 

主要な材質分類として、以下の4つの系統があります。

  • SS材(一般構造用圧延鋼材 JIS G3101):建築に限らず広く用いられる汎用性の高い鋼材
  • SM材(溶接構造用圧延鋼材 JIS G3106):SS材よりも化学成分の規定が厳しく、溶接性に優れた鋼材
  • SN材(建築構造用圧延鋼材 JIS G3136):降伏点のばらつきを抑える規定がある建築専用鋼材
  • SMA材(溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材 JIS G3114):安定さびを形成する耐候性鋼材

これらの材質は、それぞれ異なる化学成分と機械的性質を持ち、用途に応じた最適な選択が重要です。特に溶接を多用する金属加工現場では、SM材やSN材の選定が品質向上に直結します。

 

鋼管の基本構造は、外径(D)、内径(d)、厚さ(t)で表され、これらの寸法関係が強度計算や流体解析の基礎となります。現場での材料選定時には、これらの基本寸法を正確に把握することが欠かせません。

 

jis規格鋼管の構造用G3444規格詳細

JIS G3444(一般構造用炭素鋼鋼管)は、土木・建築構造物に使用される鋼管の代表的な規格です。この規格は外径21.7mm~1016.0mmの広範囲をカバーし、鉄塔、足場、支柱、基礎ぐい、地滑り抑止ぐいなど多岐にわたる用途に対応しています。

 

適用範囲の特殊規定

  • 基礎ぐい:外径318.5mm未満の溶接鋼管に限定
  • 地滑り抑止ぐい:継目無鋼管及び外径318.5mm未満の溶接鋼管に限定
  • 外径318.5mm以上の用途:JIS A 5525(鋼管ぐい)を適用

構造用鋼管の強度設計では、使用環境や荷重条件を十分に考慮する必要があります。特に基礎ぐいや地滑り抑止ぐいでは、土圧や水圧などの複合荷重が作用するため、材質選定と厚さ設計が重要になります。

 

金属加工現場でG3444規格の鋼管を扱う際の注意点として、溶接部の品質管理が挙げられます。構造用途では溶接欠陥が致命的な強度低下を招くため、適切な溶接条件の設定と非破壊検査の実施が不可欠です。

 

また、G3444規格では継目無鋼管と溶接鋼管の両方が規定されており、用途や経済性を考慮した選択が求められます。継目無鋼管は強度面で優位性がありますが、コスト面では溶接鋼管が有利となるケースが多いのが実情です。

 

jis規格鋼管の配管用SGP規格特徴

SGP管(Steel Gas Pipe)は、JIS G3452に規定される配管用炭素鋼鋼管の代表格です。ガス配管、水道配管、空調配管など、流体輸送を主目的とした用途に広く使用されています。

 

SGP管のサイズ表記システム
SGP管は「A呼称」と「B呼称」の二重表記システムを採用しており、例えば呼び径20Aは3/4インチ、通称「6分(ろくぶ)」と表記されます。この表記システムは現場での混乱を避けるため、正確な理解が必要です。

 

呼び径 インチ表記 通称 外径(mm) 肉厚(mm)
15A 1/2" 4分 21.7 2.8
20A 3/4" 6分 27.2 2.8
25A 1" 1インチ 34.0 3.2

重量計算と材料管理
SGP管の重量は「単位質量(kg/m)×長さ(m)」で算出します。例えば、SGP 20A×5500mmの場合、1.68kg/m×5.5m=9.24kgとなります。この計算方法は、材料調達や運搬計画において重要な指標となります。

 

SGP管の材質は炭素鋼で構成され、耐腐食性と施工性のバランスが優れています。ただし、使用環境によっては防錆処理や定期メンテナンスが必要となるため、設計段階での検討が重要です。

 

配管用途では流体の性質(温度、圧力、腐食性)を十分に考慮し、必要に応じてステンレス鋼管や樹脂管への変更も検討する必要があります。

 

jis規格鋼管の溶接用材質と耐候性選定

溶接構造用鋼管の材質選定では、溶接性と使用環境への適応性が重要な判断基準となります。特にSM材とSMA材は、それぞれ異なる特性を持つため、用途に応じた適切な選択が求められます。

 

SM材(JIS G3106)の特徴

  • 化学成分の厳格な管理により、優れた溶接性を実現
  • 炭素当量の制限により、溶接割れリスクを大幅に低減
  • 板厚40mm以下でSM400A、SM400B、SM400C、SM490A、SM490B、SM490Cが規格化
  • 耐火鋼仕様(FR)も選択可能で、建築用途での安全性向上に寄与

SMA材(JIS G3114)の革新的特性
SMA材は表面に緻密な安定さびを形成することで、腐食の進行を大幅に遅らせる画期的な材質です。この安定さびは通常の赤さびとは異なり、緻密な酸化皮膜を形成して内部への酸素や水分の侵入を防ぎます。

 

  • 安定さび形成プロセス:初期の表面酸化により保護膜を形成
  • 色調の美観性:落ち着いた色調で街並み景観に調和
  • メンテナンス性:定期的な塗装メンテナンスが不要

耐候性鋼管の選定では、使用環境の塩分濃度や工業地帯の汚染物質濃度を十分に調査する必要があります。海岸近辺や化学プラント周辺では、SMA材でも限界があるため、追加の防食対策が必要となる場合があります。

 

溶接施工においては、各材質に対応した適切な溶接材料と施工条件の設定が重要です。予熱温度、層間温度、後熱処理条件など、材質特性に応じた管理項目の遵守が品質確保の鍵となります。

 

jis規格鋼管の現場施工における品質管理

金属加工現場でのjis規格鋼管施工において、品質管理は製品の安全性と耐久性を左右する重要な要素です。規格書に記載されていない実務的なポイントを含めて、現場での品質管理手法を詳しく解説します。

 

入荷検査の重要チェックポイント

  • ミルシート(材料証明書)と現物の照合確認
  • 表面キズ、凹み、楕円変形の目視検査
  • 寸法測定(外径、肉厚、真円度)
  • 端面の直角度確認(溶接品質に直結)

溶接前準備作業の品質管理
溶接前の準備作業は、最終品質を大きく左右します。特に鋼管の開先加工では、角度精度と表面粗さが溶接品質に直接影響するため、専用工具を使用した精密加工が必要です。

 

  • 開先角度の精度管理:±2°以内の角度精度を維持
  • ルート間隔の統一:材質と板厚に応じた最適間隔の設定
  • 裏当て材の選定:材質適合性と除去方法の事前確認

溶接中の実時間品質管理
現代の金属加工現場では、溶接中の実時間監視システムの導入が品質向上に大きく貢献しています。電流、電圧、溶接速度の連続監視により、溶接欠陥の発生を未然に防ぐことが可能です。

 

非破壊検査の効率的実施

  • 浸透探傷検査(PT):表面欠陥の高感度検出
  • 磁粉探傷検査(MT):磁性材料の表面・近表面欠陥検出
  • 超音波探傷検査(UT):内部欠陥の定量的評価
  • 放射線透過検査(RT):重要構造物での全断面検査

品質記録の体系的管理も重要な要素です。トレーサビリティの確保により、万一の不具合発生時にも迅速な原因究明と対策が可能となります。デジタル化による品質データの一元管理は、現場作業の効率化と品質向上の両立を実現する有効な手段です。

 

現場での温度管理も見落としがちな重要ポイントです。特に冬季施工では、材料温度と環境温度の差が溶接品質に大きく影響するため、適切な予熱管理と作業環境の整備が不可欠です。