
コンクリート桝蓋の寸法規格は、呼び径によって細かく分類されており、現場での選定には正確な寸法データが不可欠です。
標準的なコンクリート蓋寸法表
呼び名 | 上巾(mm) | 下巾(mm) | 厚さ(mm) | 重量(kg) |
---|---|---|---|---|
200用 | 265 | 260 | 40 | 5 |
240用 | 305 | 300 | 40 | 6 |
300用 | 365 | 360 | 40 | 10 |
360用 | 440 | 430 | 50 | 21 |
450用 | 550 | 540 | 60 | 42 |
500用 | 600 | 590 | 60 | 50 |
600用 | 720 | 700 | 65 | 65 |
これらの寸法は、桝の内径に対して適切な受け面を確保するよう設計されています。特に注目すべきは、蓋の上巾と下巾の差により、桝への確実な設置が可能になっている点です。
また、コンクリート蓋の重量は施工性に大きく影響します。600用の65kgを超える重量の蓋については、クレーン等の重機による設置が必要となるため、現場での作業計画立案時に重要な要素となります。
地域別規格の違い
北海道地域では独自の規格が採用されており、旭川市の雨水桝では500×500mm(内寸法300×300mm)という特殊寸法が標準となっています。この地域差は、積雪や凍結深度の違いによる構造要求の違いが背景にあります。
溜桝と会所桝は、その用途特性から専用の蓋設計が採用されており、一般的な直桝とは異なる寸法体系を持っています。
溜桝用蓋の寸法詳細
溜桝用蓋は落蓋式構造が一般的で、以下の寸法規格が標準となっています。
呼び径 | 蓋寸法A×A'(mm) | 厚さt(mm) | 重量(kg) |
---|---|---|---|
240 | 265×255 | 30 | 4.5 |
300 | 325×315 | 35 | 8 |
360 | 385×375 | 40 | 13 |
450 | 485×470 | 50 | 24 |
600 | 635×625 | 60 | 56 |
会所桝専用蓋の特殊仕様
会所桝用蓋は、より重い荷重に対応するため厚肉設計となっています。
これらの寸法は、会所桝の特殊な用途(主要な排水合流点)に対応するため、一般的な溜桝蓋よりも耐荷重性能を重視した設計となっています。
落蓋式構造の寸法精度要件
落蓋式の溜桝蓋では、桝本体との嵌合精度が重要です。上巾と下巾の差(通常10~15mm)により、適切な落とし込み深度を確保し、蓋のずれや浮き上がりを防止しています。
施工時には、この寸法差を考慮した据付精度管理が必要で、特に冬季施工では材料の収縮による寸法変化も考慮する必要があります。
直桝と半桝は、その構造特性から蓋の寸法要件が溜桝とは異なります。特に半桝では、限られた高さの中で確実な蓋設置を実現する必要があります。
直桝用蓋の寸法体系
直桝用蓋は、桝本体の構造に合わせて以下の寸法で規格化されています。
呼び径 | 外寸法(mm) | 内寸法(mm) | 高さ(mm) | 本体重量(kg) |
---|---|---|---|---|
200 | 200×200 | 164×164 | 250 | 17 |
240 | 240×240 | 220×220 | 290 | 23 |
300 | 300×300 | 276×276 | 340 | 33 |
360 | 360×360 | 330×330 | 370 | 50 |
450 | 450×450 | 420×420 | 510 | 110 |
半桝の特殊寸法要件
半桝は高さが200~300mmに制限されるため、蓋の厚さや構造に特別な配慮が必要です。
半桝では限られた高さの中で十分な強度を確保するため、蓋の厚さを通常より薄く設計し、代わりに配筋の密度を高める工夫がなされています。
選定時の重要ポイント
蓋選定では以下の要素を総合的に判断する必要があります。
特に車道部では、路面荷重に加えて動荷重も考慮し、必要に応じてより厚肉の蓋や鉄筋量を増した仕様を選択することが重要です。
グレーチング蓋は、排水性能と荷重耐性を両立させる構造として、コンクリート桝蓋の重要な選択肢となっています。
標準グレーチング寸法表
呼び径 | 外寸法(mm) | 厚さ(mm) | 普通目重量(kg) | 細目重量(kg) |
---|---|---|---|---|
180 | 208 | 29.5 | 2 | 3 |
240 | 268 | 29.5 | 3 | 5 |
300 | 328 | 29.5 | 4 | 7 |
360 | 395 | 38 | 8 | 12 |
420 | 455 | 44 | 12 | 18 |
450 | 485 | 44 | 13 | 20 |
500 | 575 | 50 | 19 | 26 |
600 | 675 | 54.5 | 34 | 42 |
荷重等級別の仕様区分
グレーチングの荷重対応は、使用環境に応じて以下のように分類されています。
普通目と細目の使い分け
グレーチングの目幅選択は、排水対象物の性質により決定されます。
細目グレーチングは、普通目と比較して20~30%程度重量が増加するため、施工時の取扱いに注意が必要です。
特殊環境対応仕様
特殊な環境条件では、以下の仕様変更が必要となる場合があります。
これらの特殊仕様では、標準寸法に対して補強材の追加により若干の寸法変更が生じる場合があるため、発注時には詳細仕様の確認が重要です。
コンクリート桝蓋の性能を最大限発揮するためには、施工時の寸法精度管理が極めて重要です。特に近年の品質管理基準の厳格化により、従来以上の精度が求められています。11
寸法許容差の管理基準
JIS規格に基づく桝蓋の寸法許容差は以下の通りです。
これらの基準を逸脱した製品は、設置後の不具合の原因となるため、受入検査時の厳格なチェックが必要です。
設置時の寸法調整技術
実際の施工現場では、桝本体と蓋の寸法に若干の差異が生じる場合があります。この際の調整手法として以下が有効です。
季節変動による寸法変化対策
コンクリート製品は温度変化による寸法変動があり、特に以下の点に注意が必要です。
これらの変動を考慮し、設置時には適切な遊び寸法を確保することが重要です。
品質管理チェックリスト
施工現場での品質管理には、以下のチェック項目を標準化することを推奨します。
✅ 蓋寸法の実測確認(外径・厚さ・重量)
✅ 桝本体受け面の水平度確認
✅ 設置後の平面度・水密性確認
✅ 荷重試験による安全性確認
✅ 維持管理用ツールでの開閉確認
デジタル計測技術の活用
最新の施工現場では、レーザー計測器やデジタルキャリパーを活用した高精度計測が標準となりつつあります。これにより従来の巻尺計測では困難だった±1mm以内の精度管理が可能になっています。
特に大型桝(600mm以上)では、わずかな寸法誤差が大きな施工不良につながるため、デジタル計測による客観的な品質管理が重要です。
また、計測データの電子記録化により、施工履歴の追跡可能性も向上し、将来の維持管理時における貴重な基礎データとして活用できます。
現場での寸法精度管理は、単なる品質確保だけでなく、長期的な構造物の安全性と機能性を左右する重要な工程として位置づけ、適切な管理体制の構築が求められています。