
公共工事における足場の積算は「公共建築数量積算基準」に基づいて行われます。この基準は、建築工事の設計図書からの数量の計測・計算方法を定めたもので、発注者が設定する予定価格の基礎となる工事費の積算において重要な役割を果たしています。
公共建築数量積算基準では、足場は以下のように分類されています:
足場の種類によって積算方法が異なるため、工事の内容や建物の構造に応じて適切な足場を選定し、正確な積算を行うことが重要です。
足場面積の計算は、足場の外周と高さを掛け合わせることで求められます。具体的な計算式は以下の通りです:
足場面積 = 足場の外周 × 足場の高さ
足場は建物の外壁から一定の距離を設けて設置するため、足場の外周は建物の外周より大きくなります。一般的に、建物の外壁から0.5m程度離して足場を組み立てるため、足場の外周は「建物の外周 + 4m」で計算します。
また、足場の高さは建物の高さより0.5m高く設置するのが標準的で、「建物の高さ + 0.5m」となります。
これらを組み合わせると、足場面積の計算式は以下のようになります:
足場面積 = (建物の外周 + 4m) × (建物の高さ + 0.5m)
実例として、2階建て住宅(横9m・奥行5m・高さ6m)の足場面積を計算してみましょう:
この計算方法は、外壁塗装や改修工事などの見積もりを作成する際に非常に重要です。正確な足場面積を把握することで、適切な資材量や作業人員を手配でき、コスト管理にも役立ちます。
公共工事における足場の積算では、足場面積だけでなく単価の設定も重要なポイントです。足場の単価は一般的に1㎡あたり700円〜1,100円程度が相場となっています。この単価は地域や工事の規模、足場の種類によって変動します。
足場の総費用は「足場面積 × 単価」で算出されますが、以下のポイントに注意が必要です:
公共工事では、これらの要素を考慮した上で、「公共建築工事積算基準」に基づいて正確な積算を行うことが求められます。積算の透明性と公平性を確保するために、詳細な内訳を明示することも重要です。
足場の積算において、必要な資材数量を正確に拾い出すことは非常に重要です。資材の過不足は工事の進行や予算に大きく影響するため、適切な拾い出し方法を理解しておく必要があります。
足場資材の拾い出しには、主に以下の方法があります:
足場資材の主な拾い出し項目は以下の通りです:
拾い出しの際は、以下のポイントに注意することが重要です:
特に公共工事では、「公共建築数量積算基準」に基づいた正確な拾い出しが求められます。この基準では、足場の種類ごとに必要な部材や設置方法が詳細に規定されているため、これに準拠した拾い出しを行うことが重要です。
国土交通省の公共建築工事積算基準(足場資材の標準的な数量算出方法について詳しく記載されています)
公共工事と民間工事では、足場の積算方法に違いがあります。これらの違いを理解し、適切に対応することが実務上重要です。
公共工事と民間工事の足場積算の主な違い:
項目 | 公共工事 | 民間工事 |
---|---|---|
積算基準 | 公共建築数量積算基準に準拠 | 会社独自の基準や慣習に基づく |
単価設定 | 公共単価(地域や時期で統一) | 市場価格や競争原理に基づく |
計上方法 | 細分化された項目ごとに計上 | 一式計上が多い |
安全対策 | 厳格な基準あり | 基準はあるが運用に幅がある |
検査 | 厳格な検査あり | 比較的柔軟 |
公共工事の足場積算では、「公共建築数量積算基準」に基づいた透明性の高い積算が求められます。一方、民間工事では市場競争原理が働くため、コスト削減の圧力が強い傾向にあります。
実務上の注意点:
公共工事と民間工事の両方に対応する外壁塗装業者は、これらの違いを理解し、適切な積算方法を使い分けることが求められます。特に公共工事では、積算の透明性と正確性が重視されるため、基準に則った丁寧な積算作業が必要です。
実務においては、公共工事の積算方法を基本としつつ、民間工事では競争力を保つための工夫も必要となります。両者のバランスを取りながら、適正な価格設定と品質確保を実現することが、持続可能なビジネスモデルの構築につながります。
建設業情報管理センターの公共建築工事積算研究(足場積算の実務的なポイントについて詳しく解説されています)
公共工事の足場積算は、単なる数字の計算ではなく、安全性の確保やコスト管理、品質保証など多くの要素を含む重要な業務です。正確な積算を行うことで、工事の円滑な進行と適正な利益確保が可能となります。
公共工事と民間工事の違いを理解し、それぞれに適した積算方法を身につけることで、様々な現場に対応できる実務能力を高めることができるでしょう。特に外壁塗装業においては、足場の積算精度が利益率に直結するため、継続的な知識のアップデートと実践が重要です。