公共工事の足場積算と面積計算方法の基準

公共工事の足場積算と面積計算方法の基準

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公共工事の足場積算と計算方法

公共工事の足場積算のポイント
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足場面積の計算式

足場面積=(建物の外周+4m)×(建物の高さ+0.5m)

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足場単価の目安

700円/㎡〜1,100円/㎡(一般的な相場)

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積算の重要性

正確な積算で資材の過不足を防ぎ、コスト管理を適正化

公共工事における足場の積算基準と種類

公共工事における足場の積算は「公共建築数量積算基準」に基づいて行われます。この基準は、建築工事の設計図書からの数量の計測・計算方法を定めたもので、発注者が設定する予定価格の基礎となる工事費の積算において重要な役割を果たしています。

 

公共建築数量積算基準では、足場は以下のように分類されています:

  1. 外部足場
    • 外部本足場:構築物の外壁面から1.0mの位置を標準とし、中心の水平長さと構築物の上部までの高さによる面積で計算
    • 一側足場:構築物の外壁面から0.5mの位置を標準とし、水平長さと足場高さによる面積で計算
  2. 地足場
    • 根切り深さにより基礎工事のために設置されるもので、建築面積を基準に計算
  3. 内部躯体足場
    • 鉄筋・型枠足場:延べ面積を基準に計算
    • 階高が4.0m超え5.0m未満の場合は高さに応じた足場を計算
  4. 内部仕上足場
    • 延べ面積を基準に計算
    • 階高が4.0mを超える場合は高さに応じた足場を計算

足場の種類によって積算方法が異なるため、工事の内容や建物の構造に応じて適切な足場を選定し、正確な積算を行うことが重要です。

 

公共工事の足場面積の計算方法と実例

足場面積の計算は、足場の外周と高さを掛け合わせることで求められます。具体的な計算式は以下の通りです:
足場面積 = 足場の外周 × 足場の高さ
足場は建物の外壁から一定の距離を設けて設置するため、足場の外周は建物の外周より大きくなります。一般的に、建物の外壁から0.5m程度離して足場を組み立てるため、足場の外周は「建物の外周 + 4m」で計算します。

 

また、足場の高さは建物の高さより0.5m高く設置するのが標準的で、「建物の高さ + 0.5m」となります。

 

これらを組み合わせると、足場面積の計算式は以下のようになります:
足場面積 = (建物の外周 + 4m) × (建物の高さ + 0.5m)
実例として、2階建て住宅(横9m・奥行5m・高さ6m)の足場面積を計算してみましょう:

  1. 建物の外周を計算
    • 建物の外周 = (9m × 2) + (5m × 2) = 28m
  2. 足場の外周を計算
    • 足場の外周 = 28m + 4m = 32m
  3. 足場の高さを計算
    • 足場の高さ = 6m + 0.5m = 6.5m
  4. 足場面積を計算
    • 足場面積 = 32m × 6.5m = 208㎡

この計算方法は、外壁塗装や改修工事などの見積もりを作成する際に非常に重要です。正確な足場面積を把握することで、適切な資材量や作業人員を手配でき、コスト管理にも役立ちます。

 

公共工事の足場単価と積算のポイント

公共工事における足場の積算では、足場面積だけでなく単価の設定も重要なポイントです。足場の単価は一般的に1㎡あたり700円〜1,100円程度が相場となっています。この単価は地域や工事の規模、足場の種類によって変動します。

 

足場の総費用は「足場面積 × 単価」で算出されますが、以下のポイントに注意が必要です:

  1. 足場の種類による単価の違い
    • 単管足場:比較的安価だが、組立に時間がかかる
    • くさび緊結式足場:安全性が高く、組立が早いが単価は高め
    • ビケ足場:安全性と作業効率のバランスが良い
  2. 階数による単価の変動
    • 2階建て以上の場合、高所作業のため単価が100円程度上がることがある
    • 高層建築物では安全対策費用が加算される
  3. 現場条件による追加費用
    • 狭小地や複雑な形状の建物では追加費用が発生
    • 道路使用許可が必要な場合は申請費用も計上
  4. 足場の使用期間
    • 長期間使用する場合は賃料方式が有利
    • 短期間の場合は一式計上が一般的

公共工事では、これらの要素を考慮した上で、「公共建築工事積算基準」に基づいて正確な積算を行うことが求められます。積算の透明性と公平性を確保するために、詳細な内訳を明示することも重要です。

 

公共工事の足場積算における資材数量の拾い出し方法

足場の積算において、必要な資材数量を正確に拾い出すことは非常に重要です。資材の過不足は工事の進行や予算に大きく影響するため、適切な拾い出し方法を理解しておく必要があります。

 

足場資材の拾い出しには、主に以下の方法があります:

  1. 手作業による拾い出し
    • 設計図面から寸法を読み取り、必要な部材を計算
    • 経験と専門知識が必要だが、細かい調整が可能
    • 時間と手間がかかるため、小規模工事に適している
  2. 拾い出しソフトの活用
    • CADやPDF図面を取り込み、自動で数量を算出
    • 人的ミスを減らし、作業効率を大幅に向上
    • 複雑な形状や大規模工事に適している

足場資材の主な拾い出し項目は以下の通りです:

  • 建枠(1.7m、1.2m、0.9m等)
  • ブラケット(0.6m、0.9m等)
  • 交差筋かい
  • 筋かい
  • ジャッキベース
  • 手すり
  • 幅木
  • 階段
  • メッシュシート

拾い出しの際は、以下のポイントに注意することが重要です:

  • 安全基準の遵守:労働安全衛生規則に基づいた部材の配置
  • 現場条件の考慮:地形や障害物に応じた調整
  • 予備部材の計上:破損や紛失に備えた予備の確保

特に公共工事では、「公共建築数量積算基準」に基づいた正確な拾い出しが求められます。この基準では、足場の種類ごとに必要な部材や設置方法が詳細に規定されているため、これに準拠した拾い出しを行うことが重要です。

 

国土交通省の公共建築工事積算基準(足場資材の標準的な数量算出方法について詳しく記載されています)

公共工事の足場積算と民間工事の違いと実務上の注意点

公共工事と民間工事では、足場の積算方法に違いがあります。これらの違いを理解し、適切に対応することが実務上重要です。

 

公共工事と民間工事の足場積算の主な違い:

項目 公共工事 民間工事
積算基準 公共建築数量積算基準に準拠 会社独自の基準や慣習に基づく
単価設定 公共単価(地域や時期で統一) 市場価格や競争原理に基づく
計上方法 細分化された項目ごとに計上 一式計上が多い
安全対策 厳格な基準あり 基準はあるが運用に幅がある
検査 厳格な検査あり 比較的柔軟

公共工事の足場積算では、「公共建築数量積算基準」に基づいた透明性の高い積算が求められます。一方、民間工事では市場競争原理が働くため、コスト削減の圧力が強い傾向にあります。

 

実務上の注意点:

  1. 公共工事特有の書類作成
    • 公共工事では詳細な積算内訳書の提出が必要
    • 数量計算書や根拠資料の作成が求められる
  2. 安全基準の遵守
    • 公共工事では特に安全対策が厳格にチェックされる
    • 手すり先行工法や足場点検の実施と記録が必須
  3. 設計変更への対応
    • 公共工事では設計変更時の積算変更手続きが煩雑
    • 変更理由や数量の根拠を明確に示す必要がある
  4. 検査対応
    • 中間検査や完了検査での指摘事項への対応準備
    • 写真管理や品質管理記録の整備
  5. 予算管理の重要性
    • 公共工事では予算超過が認められにくい
    • 当初積算の精度向上が重要

公共工事と民間工事の両方に対応する外壁塗装業者は、これらの違いを理解し、適切な積算方法を使い分けることが求められます。特に公共工事では、積算の透明性と正確性が重視されるため、基準に則った丁寧な積算作業が必要です。

 

実務においては、公共工事の積算方法を基本としつつ、民間工事では競争力を保つための工夫も必要となります。両者のバランスを取りながら、適正な価格設定と品質確保を実現することが、持続可能なビジネスモデルの構築につながります。

 

建設業情報管理センターの公共建築工事積算研究(足場積算の実務的なポイントについて詳しく解説されています)
公共工事の足場積算は、単なる数字の計算ではなく、安全性の確保やコスト管理、品質保証など多くの要素を含む重要な業務です。正確な積算を行うことで、工事の円滑な進行と適正な利益確保が可能となります。

 

公共工事と民間工事の違いを理解し、それぞれに適した積算方法を身につけることで、様々な現場に対応できる実務能力を高めることができるでしょう。特に外壁塗装業においては、足場の積算精度が利益率に直結するため、継続的な知識のアップデートと実践が重要です。