クリアネットと網戸のリクシルの違いと張り替えの評判

クリアネットと網戸のリクシルの違いと張り替えの評判

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クリアネットと網戸とリクシル

クリアネットとリクシルの関係
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製品名の違い

「クリアネット」はYKK APの登録商標です。LIXILの同等製品は「きれいネット」という名称で展開されています。

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よくある誤解

顧客は「視界が良い網戸=クリアネット」と総称して呼ぶことが多いですが、サッシメーカーが異なる場合は純正品の仕様確認が必須です。

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張り替えの互換性

枠がリクシルでも、YKK AP製のクリアネット素材を使用して張り替えることは物理的に可能です。ただしゴムの径調整が必要です。

クリアネットと網戸のリクシル製品「きれいネット」の性能比較

建築現場やリフォームの打ち合わせにおいて、施主から「クリアネットにしたい」という要望を受けることが増えています。しかし、既存のサッシがLIXIL(リクシル)製である場合、正確にはYKK APの商品である「クリアネット」ではなく、LIXILの「きれいネット」を提案するのがメーカー純正としての正解となります 。ここでは、プロとして知っておくべき両製品のスペック上の違いと、顧客への説明ポイントを整理します。
参考)LIXIL

まず、両者の基本スペックは非常に似通っています。従来の一般的な網戸(ブラックネットなど)が18メッシュであるのに対し、クリアネットときれいネットは共に24メッシュを採用しています 。メッシュ数が高いほど網目は細かくなりますが、特筆すべきは「線径(糸の太さ)」です。
参考)各メーカーの網戸の特徴 - RESTA

このように、カタログスペック上では両社ともに「線径0.15mm」という極細の糸を使用しており、開口率や防虫性能においてほぼ互角の性能を持っています。この細さが、従来の網戸に比べて約20%の通気性向上を実現している理由です 。​
しかし、現場視点で見ると微妙な違いがあります。それは「色味」と「光沢」です。YKK APのクリアネットは非常に黒色が濃く、光の反射を抑える加工が徹底されているため、室内から外を見たときの「網戸が存在しない感覚」が非常に強いと評価されています。一方、LIXILのきれいネットも同様の性能ですが、純正サッシとの色のマッチング(枠色との調和)において、トステム時代からの流れを汲むLIXIL製サッシ枠には、やはり純正のきれいネットの方が視覚的な違和感が少ない場合があります 。​
施主に説明する際は、以下の表のような比較を用いて、メーカーが違っても機能性は同等であることを伝えるとスムーズです。

特徴 一般的な網戸 YKK AP クリアネット LIXIL きれいネット
メッシュ数 18メッシュ 24メッシュ 24メッシュ
線径(糸の太さ) 0.25mm 0.15mm 0.15mm
網目の大きさ 1.2mm角 0.9mm角 0.9mm角
期待できる効果 標準的 小さな虫の侵入防止、通風2割UP 小さな虫の侵入防止、通風2割UP


参考リンク:YKK AP公式 クリアネットの製品詳細ページ(通風量比較データあり)
参考リンク:LIXIL公式 網戸バリエーション(きれいネットの機能説明)

クリアネットの網戸をリクシルのサッシ枠で張り替える互換性

リフォームやメンテナンスの現場で最も頭を悩ませるのが、「LIXILのサッシが入っている住宅で、YKK APのクリアネット(ロール売り)を使って張り替えを行ってよいか?」という互換性の問題です。結論から言えば、施工技術さえあれば互換性はあり、張り替えは可能です。ただし、いくつかの重要な注意点があり、これを無視するとクレームにつながる恐れがあります。
最大の課題は「網押さえゴム(ビート)」の選定です。
前述の通り、クリアネットやきれいネットなどの高機能ネットは、線径が0.15mmと非常に細く作られています 。従来のネット(線径0.25mm)が張られていたサッシ枠に対し、そのまま同じ太さの網押さえゴムを使ってクリアネットを張り込むと、ネットが薄い分だけ溝の中でゴムが緩くなり、テンションをかけた際にネットが抜けたり、たるんだりする原因になります。
参考)YKKクリアネットの特長|DIYショップRESTA

また、LIXILのサッシ枠(特に旧トステム系)には、独自の溝形状をしているものがあります。これらに汎用のクリアネットを張り込む際、カッターでの余分な網のカット作業において、線径が細いクリアネットは非常に切れやすく、誤って枠際で必要な部分まで切断してしまうミスが多発します。通常のネットなら多少力を入れても耐えますが、クリアネットの強度は繊細です 。
参考)https://item.rakuten.co.jp/1006ya/10008679/

さらに、クリアネット系の素材は熱処理によって交差部分が融着されています 。これが「ほつれにくい」というメリットを生む一方で、斜めに引っ張られた際の歪みを修正しにくい(バイアス方向の伸びに対する挙動が従来品と異なる)という特徴もあります。リクシルの枠にYKKのネットを張る場合、枠の剛性とネットの張力のバランスを見極めないと、薄いリクシルの軽量枠の場合、ネットの張力に負けて枠自体が弓形に反ってしまう現象(枠の変形)が起きやすくなります。これを防ぐために、張り替え時は普段よりもテンションを弱めに設定し、最後に熱風(ドライヤー等)で微調整するテクニックが有効な場合もあります。​

クリアネットとリクシル網戸の視界と通気性に関する顧客への提案

施主にクリアネット(またはきれいネット)を提案する際、単に「虫が入りにくい」という機能面だけでなく、「空間の質が変わる」という情緒的な価値を伝えることで、成約率や満足度を高めることができます。ここでは、具体的なトークスクリプトの要素となり得る提案ポイントを深堀りします。
まず強調すべきは「眺望性(視界のクリアさ)」です。
「網戸が入っていないかと思った」という感想は、決して大げさな表現ではありません 。黒色の極細糸は光を吸収し、人間の目の焦点距離の特性上、視界から消えやすくなります。特に、庭の植栽にこだわっている顧客や、眺望が良いリビングの窓には、標準ネットからのアップグレードを強く推奨すべきです。
参考)https://ameblo.jp/homestory-37/entry-12749058478.html

「今の網戸だと、せっかくのお庭がグレーのフィルター越しに見えてしまっていますが、クリアネットにするとガラス一枚のような透明感が手に入ります」という説明は非常に効果的です 。​
次に「通気性」と「省エネ」の観点です。
糸が細くなることで、単位面積あたりの開口率が従来品の約68%から約74%に向上しています 。これは数字以上に体感差が大きく、風の通りが約2割アップします。近年の夏場の猛暑や電気代高騰を背景に、「エアコンの使用頻度を少しでも下げたい」「換気効率を上げたい」というニーズに対して、この20%の差は大きな訴求ポイントになります。​
「網戸の糸を細くするだけで、扇風機の風量を『弱』から『中』にするくらいの空気の流れの変化を感じられます」といった具体的なイメージを伝えると良いでしょう。
さらに、防虫性能についても誤解を解く必要があります。
顧客の中には「網目が細かいと風が通らなくなるのでは?」と懸念する方がいますが、「糸自体を細くしているので、網目を細かくしても風の通る面積(開口率)はむしろ増えている」という逆説的なメリットを論理的に説明することが重要です 。24メッシュ(0.9mm角)あれば、一般的な蚊はもちろん、さらに小さなチョウバエやコバエ類の侵入もかなりの確率で防ぐことができます 。
参考)https://blooming-reform.jp/catalog/assets/ths-opcatalog2025ver4-kanto.pdf

提案時の注意点として、西日が強く当たる窓や、外部からの視線を遮りたい窓については慎重になる必要があります。クリアネットは「中から外がよく見える」のと同時に、「外から中もよく見えてしまう」特性があります。プライバシー重視の窓には、あえて銀黒マジックネット(片面が銀色で反射するタイプ)を提案するなど、適材適所の使い分けをアドバイスするのがプロの役割です 。
参考)https://cs.innovex-w.co.jp/%E7%B6%B2%E6%88%B8%E7%94%A8%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AE%E6%9D%90%E8%B3%AA%E3%81%A8%E8%80%90%E4%B9%85%E6%80%A7

クリアネットとリクシル網戸の掃除メンテナンスと耐久性の違い

引き渡し後の顧客満足度を左右するのが、メンテナンス(掃除)のしやすさです。ここでもクリアネットおよびきれいネットには、従来品にはない構造上の優位性があります。
最大の特徴は「交差部の融着」です。
従来の網戸は、縦糸と横糸を単に編み込んでいるだけで、交差部分には微細な隙間や段差が存在しました。この隙間に埃や排気ガスの油分が入り込み、固着することが汚れの主原因でした。
一方、クリアネット(YKK AP)やきれいネット(LIXIL)は、糸の交差部分を熱で融着し、一体化させています 。これにより、凹凸が極限まで少なくなり、以下のメリットが生まれます。​


  1. ホコリが溜まりにくい:引っかかりがないため、表面をサッと撫でるだけで汚れが落ちる。

  2. 拭き掃除が容易:雑巾やスポンジが引っかからず、スムーズに動かせる。

  3. 目ズレが起きない:強く擦っても網目が広がったりズレたりしない。

掃除方法のアドバイスとしては、「高圧洗浄機は避けてください」と伝えるのが無難です。素材自体はポリプロピレン(PP)であり、極細の0.15mm糸を使用しているため、至近距離からの高圧水流には耐えられない可能性があります 。柔らかいブラシやスポンジで軽く水洗いするだけで十分きれいになることを強調してください。​
耐久性に関しては、素材がポリプロピレンである以上、紫外線による経年劣化は避けられません 。一般的に5年~10年程度が張り替えの目安となりますが、糸が細い分、設置環境(日射量や風の強さ)によっては標準ネットよりも若干寿命が短く感じるケースもあります。特に、猫などのペットがいる家庭では注意が必要です。猫が爪を立てた場合、標準ネットよりも破れやすいため、ペットがいる家庭には「ペットディフェンス(ポリエステル繊維に塩ビコーティング)」のような強化ネットをLIXIL枠に組み込む提案を行う方が、長期的には親切です 。
参考)網戸を交換するには?-

建築プロが選ぶクリアネットとリクシルの素材特性とコスト対効果

最後に、施工店や職人の視点から見た「利益率」と「作業効率」、そして「素材特性」について、検索上位にはない現場のリアルな情報を解説します。
まず素材特性として、クリアネット系(ポリプロピレン)の熱収縮性について理解しておく必要があります。ポリプロピレンは熱に強いとされていますが、極細糸のクリアネットは施工時の摩擦熱や、夏のサッシ枠の高温化により、微妙な伸縮を起こします 。
参考)【最も一般的な網戸の素材はポリプロピレン】安価で一般的な網戸…

特に、LIXILの「サーモス」シリーズのようなフレームが極限まで細いサッシに張り替える場合、ネットの張力が強すぎるとフレームが歪み、クレセント錠がかかりにくくなるトラブルが発生します。クリアネットは標準ネットに比べて「伸び」が少ない(コシがないわけではないが、遊びが少ない)ため、この歪みがダイレクトに枠に伝わりやすい傾向があります。そのため、熟練の職人は、クリアネットを張る際は「あえて僅かに緩ませ気味に張り、最後にアイロンやヒートガンで面を整える」という高度な技術を使うことがあります。
コスト対効果(ROI)の観点ではどうでしょうか。
クリアネットやきれいネットの原価(材料費)は、標準ネットの1.5倍~2倍程度します 。しかし、顧客への提示価格(張り替え単価)は、付加価値が高いため2倍~3倍に設定することが可能です。
参考)張替用網 クリアネット 2.5m × 1,470mm / 1…

一見、利益率が良い商材に見えますが、前述した「ゴム選びの手間」「枠変形のリスク」「繊細なカット作業による時間ロス」を考慮すると、作業時間は標準ネットの1.2倍~1.5倍かかることも珍しくありません。
特に、「LIXILの枠にYKKのクリアネットを張る」というイレギュラーな作業の場合、ゴムが合わずに何度もやり直すリスクがあります。
したがって、建築従事者としての正解は以下のように分類できます。


  1. 新築・サッシごと交換の場合
    サッシメーカーに合わせて純正品(LIXILならきれいネット)を入れるのが絶対。枠とネットの設計バランスが最適化されており、クレームリスクが最も低い。

  2. 張り替え依頼の場合
    在庫管理の観点から「YKK AP クリアネット(ロール)」を一本持っておき、あらゆるメーカーの枠に対応させるのが現実的。ただし、必ず「太めのゴム」をセットで在庫しておくこと。

  3. 高単価を狙う場合
    「視界が良くなる」というメリットは、そのまま「汚れが目立つ」というデメリットにはなりませんが、「破れやすそう」という不安を与えます。そこで、「クリアネット張り替え+サッシ枠のクリーニング+戸車交換」をセットにした「窓周りリフレッシュパック」として提案することで、単なる「網の交換」ではなく「窓の機能再生」として付加価値をつけ、工賃を正当にアップさせる戦略が有効です。

意外と知られていない情報として、網戸の「黒色」は、紫外線吸収率が高いため劣化が早いと思われがちですが、近年のクリアネット等の素材は耐候剤が練り込まれており、グレー色と比較しても著しい寿命の差はありません 。色による寿命の違いを気にするよりも、設置場所(南面か北面か)による差の方が圧倒的に大きいため、顧客に色選びで迷わせる必要はありません。「視界重視なら黒(クリアネット)」一択で推して問題ないでしょう。
参考)網戸の素材について|RESTA

参考リンク:YKK AP公式 網戸交換のタイミングとプロへの依頼推奨理由