
コンクリート製車止めブロックの標準規格寸法は、設置場所と使用車両に応じて複数のサイズが用意されています。最も一般的な規格として、以下の寸法が建築現場で採用されています。
標準タイプの寸法規格
これらの規格寸法は、JIS規格に準拠して製造されており、耐久性と安全性を両立させた設計となっています。特に車止丸は台形構造を採用し、タイヤをソフトに受け止める形状が特徴的です。表面にはノンスリップ模様が施され、雨天時の滑り止め効果も期待できます。
重量面では、NSP-120Bが最も重く25kgとなっており、強風時の移動リスクを最小限に抑えています。一方、NSP-100Bは18.5kgと軽量で、施工性を重視した現場に適しています。
コンビニ用駐車ブロック規格
駐車ブロック(SE型)は、コンビニエンスストア専用に設計された特殊規格で、寸法は80/185×110×600mmとなっています。この規格は、限られたスペースでの効率的な駐車を実現するため、一般的な車止めブロックよりもコンパクトに設計されています。
車止めの設置間隔は、駐車する車両の種類によって明確に区分されており、適切な間隔設定が安全な駐車環境を実現します。
車種別設置間隔基準
この間隔設定の根拠は、車両幅と安全余裕を考慮した設計基準に基づいています。軽自動車の車幅は約1,480mm以下で、60cm間隔で設置した車止めブロック(長さ600mm)の配置により、全体幅1,800mmとなります。一方、普通自動車の車幅は最大1,900mmのため、70cm間隔設定により車止め端から端までの距離が1,900mmとなり、駐車場ライン幅2,500mmに適合します。
設置間隔の実務的考慮点
実際の施工現場では、駐車場の形状や周辺環境により間隔調整が必要な場合があります。特に、走行通路の確保や隣接する障害物との関係で、片側のみの設置や間隔の微調整を行うケースが多く見られます。
建築現場での実践的なポイントとして、車止めブロック同士の間隔だけでなく、駐車スペース全体のレイアウトを考慮した配置計画が重要です。特に商業施設や住宅団地では、多様な車種が利用するため、最大公約数的な間隔設定が求められます。
車止めから後方壁面までの距離設定は、車両の安全停止と建物保護の両面から極めて重要な設計要素です。適切な距離設定により、車両がバック駐車時に車止めでタイヤが停止した際、車体後部が壁面に接触することを防げます。
車種別推奨距離一覧
これらの寸法は、各車種の全長と後部オーバーハング寸法を考慮して算出されています。特にSUVやミニバンは車両重量が大きく、慣性力による押し込み効果も考慮し、やや長めの距離設定が推奨されています。
20センチルールの実務適用
外構専門業者が推奨する「20センチルール」は、壁面からタイヤ接触面まで20cm~30cmを確保する基準です。この基準は車種に関係なく実用性と安全性のバランスが取れた数値として、多くの建築現場で採用されています。
ただし、敷地の制約がある場合の最低限確保距離として80cm程度が実務的な下限とされており、小型車であればこの距離での安全駐車が可能です。マフラーからの排気ガスによる壁面汚れも考慮し、適切な距離設定が求められます。
ステンレス製車止めは、耐食性と意匠性を重視した環境での採用が増加しており、SUS304材質が標準仕様となっています。パイプ径と設置幅により複数の規格が用意されており、設置環境に応じた選定が可能です。
Sタイプ(ゲート型)寸法規格
SAタイプ(横桟付き)寸法規格
ステンレス製車止めの特徴は、軽量性と高い視認性にあります。コンクリート製と比較して重量が大幅に軽減されるため、施工性に優れ、移設が容易な点が建築現場で評価されています。
施工方法による分類
特に商業施設や公共施設では、イベント時の通路確保や清掃作業の効率化を目的として、脱着式の採用が増加しています。
松阪興産株式会社の製品技術資料
https://www.matsusaka-kosan.co.jp/files/cad/f47/car_stop_pdf.pdf
車止めの寸法選定において見落とされがちなのが、車両衝突時の荷重計算に基づく構造設計です。一般的な駐車操作では、時速5km程度での接触が想定されますが、緊急時やブレーキ操作ミスによる高速衝突も考慮する必要があります。
荷重計算の基本式
車両重量1,500kgの普通車が時速10kmで衝突した場合の衝撃荷重は、運動エネルギーの変換により約15kN(約1,500kg重)となります。この荷重に対して、車止めブロック自体の重量25kgでは不十分であり、基礎コンクリートとの一体化による抵抗力確保が不可欠です。
基礎設計との関係
コンクリート製車止めブロックの効果的な機能発揮には、適切な基礎設計が前提となります。一般的には、厚さ100mmの基礎コンクリート(18-8-25BB)と敷モルタル(1:3BB)による固定が標準仕様です。
アンカーピン(φ13mm、L=250mm)による機械的固定と、専用接着剤による化学的固定の併用により、車止めブロックのずれや転倒を防止します。特に傾斜地での設置では、重力による滑り力も考慮した固定強度の確保が求められます。
後タイヤ中心からの距離計算
実務的な設置位置決定では、後タイヤ中心から車止め中心までの距離計算が重要です。タイヤ外径500mm~840mmの範囲で、車止め中心までの距離は226mm~303mmとなり、三平方の定理による計算式「X=√(120T-9000)」で求められます。
この計算により、車種ごとの最適な車止め設置位置を数値的に決定でき、設計ミスによる事故リスクを大幅に軽減できます。特に機械式駐車場では、センサー位置と車止め位置の精密な位置関係が車両の適切な駐車に直結するため、この計算式の活用が不可欠です。
帝金株式会社の製品仕様詳細
https://www.teikin.co.jp/product/index.php?controller=ec&action=c4
車止めの寸法選定と設置基準は、単なる製品仕様の確認にとどまらず、安全性と機能性を両立させる総合的な設計判断が求められます。建築現場での適切な車止め計画により、長期にわたって安全で使いやすい駐車環境を提供することが可能となります。