

空気量が1%増えるだけで、コンクリートの28日強度が最大6%も落ちます。
空隙率(くうげきりつ)とは、砂・岩石・土壌・コンクリート・アスファルトなど、あらゆる建材や地盤における「全体の体積に対する空隙(すきま)の体積の割合」を百分率で表した指標です。「空げき率」「間隙率」「多孔度」「気孔率」とも呼ばれ、現場や文献によって表記が異なることがありますが、基本的な意味はすべて同じです。
基本の計算式は以下のとおりです。
【空隙率の基本計算式】
空隙率 n(%) = (Vv ÷ V) × 100
・Vv:空隙の体積(気相+液相の体積)
・V :全体の体積(固相+空隙)
つまり、全体の体積です。空隙体積が大きくなるほど空隙率の値は高くなり、材料は「スカスカ」な状態に近づきます。逆に、密に締め固められた材料は空隙率が低くなります。
この計算をするとき、V(全体体積)は実測しやすい一方、Vv(空隙体積)を直接測るのは難しいのが現場の実情です。そのため、実際の現場では「重量と密度から逆算する方法」が多く使われています。
💡 イメージで理解する空隙率
空隙率40%の土とは、「500mlのペットボトルに土を詰めたとき、200ml分がすきまで残りの300mlが土の粒子」というイメージです。
また、空隙率と密接に関係する「間隙比(e)」という値も土質力学の現場でよく登場します。間隙比は土粒子(固相)の体積に対する間隙体積の比で、次のような相互変換式が成り立ちます。
【間隙率(空隙率)と間隙比の変換式】
e = n ÷ (1 − n)(n は小数表記)
n = e ÷ (1 + e) × 100(%)
例)間隙比 e = 0.8 のとき
空隙率 n = 0.8 ÷ 1.8 × 100 ≒ 44.4%
間隙比は圧密沈下の計算や透水係数の推定など、地盤設計の場面でよく使われます。空隙率が現場の品質管理で使われるのに対し、間隙比は理論計算に使われることが多いと覚えておくと整理しやすいです。つまり、用途で使い分けが基本です。
▶ 土の間隙率・間隙比・飽和度の基礎(コンプロネット「伊藤教授の土質力学講座」)
建築・土木現場では「空隙率」と一言でいっても、実は3つの種類があります。特にポーラスコンクリート(透水性コンクリート)や高機能舗装を扱う現場では、この3種類を正確に使い分けることが施工品質に直結します。
① 全空隙率(At)
材料内部にある空隙の合計——連続したものも、孤立したものもすべて含めた割合です。質量法で算出するのが一般的で、計算式は次のとおりです。
【全空隙率の計算式(質量法)】
At(%) = (1 − W ÷ T) × 100
・W:容器中の供試体の単位容積質量(kg/m³)
・T:空気が全くないと仮定した場合の計算上の単位容積質量(kg/m³)
② 連続空隙率(Ac)
外部と繋がっていて、水や空気が通り抜けられる「連続した空隙」だけを対象にした割合です。ポーラスコンクリートの透水性能を評価するうえで最も重要な値であり、容積法で求めます。
【連続空隙率の計算式(容積法)】
Ac(%) = ((m2 − m1) ÷ V) × 100
・m1:供試体の空中質量(g)
・m2:供試体の表乾質量(g)(水中浸漬後)
・V :供試体の見かけの体積(cm³)
③ 独立空隙率(Ai)
外部と繋がっておらず、閉じ込められた孤立空隙の割合です。「全空隙率 − 連続空隙率」で算出できます。
【独立空隙率の計算式】
Ai(%) = At − Ac
これは使えそうです。
研究によると、全空隙率と連続空隙率の差(独立空隙率)は、ポーラスコンクリートで概ね3%程度とされています。また、アスファルト混合物においても独立空隙は完全に締め固めを行っても排除できないため、理論上は空隙率を0%にすることはできません。この事実を知らずに「完全に締め固めれば空隙率ゼロになる」と考えて施工管理している担当者がいると、検査結果との認識のズレが生じる可能性があります。
| 種類 | 定義 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 全空隙率 At | 連続+独立空隙の合計 | 材料全体の空隙量評価 |
| 連続空隙率 Ac | 外部と繋がる空隙のみ | 透水性・排水機能の評価 |
| 独立空隙率 Ai | 孤立した閉鎖空隙のみ | 断熱性・凍害抵抗性の評価 |
▶ ポーラスコンクリートの透水試験及び空隙率試験方法に関する研究(日本コンクリート工学会)
道路舗装の現場で最も頻繁に空隙率計算が登場するのが、アスファルト混合物(アスコン)の品質管理です。アスコンの空隙率は、かさ密度と理論最大密度(Gmm)の2つの値から求めます。
【アスファルト混合物の空隙率計算式】
空隙率(%) = (1 − かさ密度 ÷ 理論最大密度) × 100
かさ密度(g/cm³)= 空中質量 ÷ (表乾質量 − 水中質量) × γw
(γw:水の密度 常温で1.0 g/cm³)
かさ密度の求め方については、現場から円柱状にコア抜きした供試体を用いて、空中質量・水中質量・表乾質量の3つを測定します。表乾質量とは、供試体の表面の水を拭き取った直後の質量です。
理論最大密度(Gmm)は、「混合物中に空隙がまったく存在しないと仮定した場合の最大の密度」です。わが国では原材料(骨材・アスファルト)の密度と配合比から計算する「計算法」と、真空引きにより空隙を除去して実測する「実測法(ライス法)」の2種類が用いられています。
厳しいところですね。
国土交通省の品質管理基準では、一般的な密粒度アスファルト混合物の空隙率の規格値は3〜5%とされています。この値を外れた場合は、そのロットについて監督職員の承認を得たうえで対応措置が必要になります。ポーラスアスファルト(高機能舗装)の場合は空隙率が15〜25%と大きく異なるため、用途に応じた規格値を必ず確認してください。
⚠️ 施工管理上の注意
アスファルト舗装の空隙率は「締固め度」でも管理できますが、空隙率管理と締固め度管理とは計算の基準が異なります。どちらで管理しているかを現場担当者全員が共有しておくことが、検査ミスを防ぐ第一歩です。
▶ かさ密度・締固め度・基準密度の計算について(新潟県建設材料試験センター「建設材料試験の豆知識」)
盛土工事や路床・路盤の締固め管理では、「空隙率」ではなく「空気間隙率(Va)」という指標が使われます。これは「土の間隙の中にある空気が占める体積の、土全体に対する割合」です。空隙率(全間隙の割合)とは概念が異なりますので、混同しないよう注意が必要です。
【空気間隙率の計算式】
Va(%) = (1 − ρd ÷ ρs − w × ρd ÷ ρw) × 100
・ρd:乾燥密度(g/cm³)
・ρs:土粒子の密度(g/cm³)
・w :含水比(小数)
・ρw:水の密度(≒1.0 g/cm³)
土工の締固め管理では、工種によって次の2通りの管理方法が採用されています。
空気間隙率10%以下というのは、どのくらいのイメージでしょうか。土1Lの中に空気が100ml以下しかない状態です。概ねコーヒーカップ1杯分(100ml)より少ない空気しか残っていない程度に締め固められていると考えると、具体的に想像しやすくなります。
また、飽和度(Sr)は「土の間隙体積のうち水が占める割合」で、空気間隙率と次の関係があります。
【飽和度と間隙率・空気間隙率の関係】
Sr(%) = (n − Va) ÷ n × 100
(n:間隙率、Va:空気間隙率、いずれも小数)
空気間隙率が小さい=飽和度が大きい、という逆の関係が成り立ちます。現場で締固め度の測定にRI計器(ラジオアイソトープ密度計)を用いる場合は、同時に乾燥密度と含水比が取得できるため、そのデータから空気間隙率を計算することも可能です。これは便利ですね。
▶ 突固めによる土の締固め試験(空気間隙率・飽和度の解説)(株式会社 土木管理総合試験所)
フレッシュコンクリートの「空気量」は、硬化後の「空隙率」に直接影響します。JIS A 5308では、普通コンクリートの空気量は4.5%±1.5%(すなわち3.0〜6.0%の範囲)に管理することが規定されています。
ここで重要な事実があります。全国生コンクリート工業組合連合会(全生連)の資料によると、空気量が1%増えるごとに、同一水セメント比のコンクリートで材齢28日の圧縮強度が4〜6%低下します。これは見過ごせない数字です。
⚠️ 具体例で確認する強度低下のインパクト
設計基準強度Fc=24N/mm²のコンクリートで、空気量が規格上限の6%(通常の4.5%より+1.5%)になった場合:
強度低下=24 × 0.05 × 1.5 ≒ 約1.8N/mm²の低下
施工上のマージンが薄い場合は、検査で不合格になる可能性があります。
空気量の現場測定には、以下の3方法があります。それぞれ適用場面が異なります。
空気量が多すぎると強度が落ち、少なすぎると凍結融解抵抗性が低下するというトレードオフがあります。空気量の管理は「多くすれば良い」でも「少なくすれば良い」でもありません。4.5%が原則です。
特に高強度コンクリートを扱う現場では、強度確保のために空気量を極力抑える方針が取られることがありますが、その場合は耐凍害性の確保を別途検討する必要があります。設計の意図と施工管理の方針が一致しているかどうかを、着工前に確認しておくことが大切です。
▶ 生コンクリートの品質(空気量と圧縮強度の関係など)(全国生コンクリート工業組合連合会)
ここまで各材料別の計算方法を解説してきましたが、実際の施工現場では「計算式は知っているのに検査でミスが出る」というケースが少なくありません。その原因として、以下の落とし穴が挙げられます。
落とし穴①:「表乾状態」の判定ミス
アスファルト混合物の空隙率計算に使う「表乾質量」は、供試体表面の水分だけを拭き取った状態での質量です。吸水性の高い開粒度混合物や再生骨材を使った混合物では、表面を十分に乾かした状態と完全飽水状態の質量差が大きくなります。拭き取りが不十分だと表乾質量が高めに出て、かさ密度が過大評価され、空隙率を低く計算してしまいます。痛いですね。
落とし穴②:理論最大密度の計算法と実測法の混用
空隙率は「かさ密度 ÷ 理論最大密度」で求めますが、理論最大密度を計算法で求めた場合と実測法(ライス法)で求めた場合とでは値が異なることがあります。配合設計時と品質検査時で異なる方法を使うと、空隙率の評価に一貫性がなくなり、規格値判定がブレる原因になります。どちらか一方で統一するのが原則です。
落とし穴③:測定温度の未補正
水の密度は温度によってわずかに変化します(例:20℃では0.9982 g/cm³、25℃では0.9971 g/cm³)。精密な試験では常温の水の密度を補正係数として使いますが、現場の簡易計算で「1.0 g/cm³」固定のまま計算している場合、厳密には誤差が生じます。試験結果を公文書として提出する場合は、JISに規定された補正係数を必ず適用してください。
💡 品質管理書類の確認チェックリスト
✅ かさ密度の計算に使用した質量(空中・水中・表乾)の3値がすべて記録されているか
✅ 理論最大密度は計算法・実測法どちらで求めたかが明記されているか
✅ 水温補正が必要な試験で補正係数が適用されているか
✅ 連続空隙率を求める場合、全空隙率の計算も合わせて実施されているか
また、施工管理の現場では計算ソフトや表計算ツールを活用している担当者も多いでしょう。計算式を一度正確に組んでしまえば、毎回手計算するよりもミスは減りますが、入力値(質量・密度)の転記ミスは防げません。測定値を紙の野帳からデジタルに転記する工程は、ダブルチェックを習慣にすることが、品質不合格を未然に防ぐ最も現実的な対策です。これだけ覚えておけばOKです。
▶ 土木工事施工管理基準及び規格値(国土交通省・各種規格値の根拠確認に)