

吸水率が3.0%以下でも、試験をサボると構造物がひび割れます。
コンクリート用骨材の吸水率測定には、主に2つのJIS規格が使われます。細骨材(砂・砕砂など)に適用されるのが JIS A 1109(細骨材の密度及び吸水率試験方法)、粗骨材(砂利・砕石など)に適用されるのが JIS A 1110(粗骨材の密度及び吸水率試験方法)です。
どちらの規格も2020年以降の最新版が適用されており、ISO 7033:1987を基として技術的内容を一部変更して作成された日本産業規格(JIS)です。つまり国際規格とほぼ整合していますが、いくつかの点で日本独自の規定が加えられています。
| 骨材の種類 | 適用JIS規格 | 吸水率の上限基準(JIS A 5308) |
|---|---|---|
| 細骨材(砂・砕砂) | JIS A 1109 | 3.5%以下(購入者承認で4.0%以下も可) |
| 粗骨材(砂利) | JIS A 1110 / JIS A 5308 | 3.0%以下(購入者承認で4.0%以下も可) |
| 粗骨材(砕石) | JIS A 1110 / JIS A 5005 | 3.0%以下 |
ここで注意したいのが、砕石を使用する場合は JIS A 5308(レディーミクストコンクリート規格)と JIS A 5005(コンクリート用砕石・砕砂)の両方に適合しなければならないという点です。JIS A 5308の規格値だけ確認して安心してしまうのは、実務上の落とし穴のひとつです。
「JIS A 5308だけ見れば大丈夫」は間違いです。
実際にある生コン工場では、新たに砕石を調達する際にJIS A 5308のみを確認し、JIS A 5005に基づく試験を怠るというケースが報告されています。こうしたミスは、後から問題が表面化した際に品質管理上の重大な瑕疵として指摘されます。骨材の種類ごとに適用すべきJIS規格が異なることを、現場担当者は必ず把握しておく必要があります。
また、2024年のJIS A 5308改正により、同一種類の骨材を混合して使用する場合は、混合前または混合後のいずれかの骨材品質が規格に適合していることを確認すれば良い、という運用に変更されました。これは現場の実務負担を軽減する重要な改正です。
参考情報(建材試験センター・骨材試験メニュー)。
建材試験センター|コンクリート用骨材の試験メニューと規格一覧
JIS A 1109に基づく細骨材の吸水率試験の手順を、現場目線で整理します。大まかな流れは「試料採取 → 24時間吸水 → 表乾状態の判定 → 乾燥 → 質量測定 → 計算」です。
まず試料を代表的な場所から採取し、縮分操作(JIS A 1158)によって約2kgに調整します。これを約1kgずつに二分し、それぞれを24時間、20±5℃の水に浸して吸水させます。試験で重要なのが次の「表乾状態(表面乾燥飽水状態)」の判定です。
表乾状態を正確に見極めることが肝心です。
表乾状態になった試料を105±5℃で一定質量になるまで乾燥させます。これがいわゆる「絶乾状態」です。乾燥後はデシケータ内で室温まで冷やしてから質量を計測します。
吸水率の計算式は以下のとおりです。
$$Q = \frac{m_4 - m_5}{m_5} \times 100$$
ここで、$$m_4$$ は表乾状態の試料質量(g)、$$m_5$$ は乾燥後(絶乾状態)の試料質量(g)です。
試験は2回実施し、その平均値を採用します。平均値からの差は0.05%以下でなければなりません。この精度基準を満たさない場合は、試験をやり直す必要があります。意外とここで手を抜かれることが多いですが、精度基準は品質管理の根拠になる数値です。精度管理が原則です。
参考情報(JIS A 1109:2020 規格本文プレビュー)。
日本規格協会|JIS A 1109:2020 細骨材の密度及び吸水率試験方法(プレビュー)
粗骨材(砂利・砕石)の吸水率測定には JIS A 1110 が適用されます。細骨材のJIS A 1109と手順の骨格は似ていますが、試料サイズや表乾状態の判定方法が大きく異なります。
細骨材ではフローコーンを使って表乾状態を判定しますが、粗骨材では表面を吸水性の布で拭き取る方法が採用されます。粒径が大きいため、コーンを使った判定は物理的に難しいからです。表面の目に見える水膜がなくなり、表面が乾いてきた(しかし内部は水で満たされている)状態が表乾状態です。
| 比較項目 | JIS A 1109(細骨材) | JIS A 1110(粗骨材) |
|---|---|---|
| 表乾判定法 | フローコーン(スランプ観察) | 吸水性の布で表面水を拭き取り目視確認 |
| 試料採取量 | 約2kg(縮分後) | 約3kg以上(骨材最大寸法に応じる) |
| 密度測定法 | ピクノメータ法(500mL) | 水中質量法(網かご+はかり) |
| 精度基準(吸水率) | 平均値から±0.05%以内 | 平均値から±0.05%以内 |
粗骨材では水中質量の計測が加わります。網かごに試料を入れて水中に沈め、水中での質量(浮力分が差し引かれた値)を計測することで密度を求めます。骨材の体積を精密に求める工夫です。
密度が大きい骨材ほど吸水率が低い傾向があります。
また、粗骨材では「コンクリート用砕石・砕砂(JIS A 5005)」との整合性も確認しておく必要があります。個別のJIS規格が適用される材料では、JIS A 5308の規格値に加えて材料固有のJIS規格も同時にクリアしていることを確認する義務があることを忘れないでください。
参考情報(建材試験センター・石材・レンガ・タイル試験ページ)。
建材試験センター|石材・レンガ・タイルなど建材の試験メニュー一覧
吸水率の測定が終わっても、その数値を配合設計に反映させなければ意味がありません。これが現場で見落とされやすいポイントです。
コンクリートの配合設計では、骨材の含水状態を「表乾状態」を基準として計算します。しかし実際に現場へ届く骨材は、気乾状態(自然乾燥に近い状態)であったり、逆に濡れた湿潤状態であったりします。このギャップを補正するために吸水率と表面水率の測定が不可欠です。
つまり、単位水量の計算ミスはコンクリート強度の直接的な低下につながります。
土木学会のコンクリート標準示方書では、単位水量の測定値が配合設計値から ±15kg/m³ を超えた場合 は施工前に是正措置を取ることが求められます。さらに ±20kg/m³ を超えると施工自体の停止・見直しが必要になる場合があります。これはコンクリート1立方メートル(体積で言えば、家庭用の浴槽1杯分よりやや大きい)に対して、水の量が缶ビール1本分(500ml)程度以上ずれるだけで品質上のアウトになる、という意味です。シビアな基準だということが分かります。
「スランプが違う」は水量誤差のサインです。
また、実務上では「過去に使ったデータで代用する」という慣行が一部で見られます。しかし、同じ産地・同じ種類の骨材でも季節や採取ロットによって吸水率は変動します。吸水率のわずかな変動がスランプロスや強度低下に直結するため、定期的な再測定(少なくとも工事ごとまたは6ヶ月ごと)が配合設計の精度を保つうえで欠かせません。
参考情報(骨材JIS規格の実務解説サイト)。
コンクリート実務サイト|骨材JIS規格のチェックポイントと実務の落とし穴
吸水率が高い骨材を使うと何が起きるのか。これは建築現場の担当者が最も知っておくべき実害の話です。
吸水率の高い骨材(粗骨材で3.0%超、細骨材で3.5%超)を使用すると、まずフレッシュコンクリートの段階でスランプロス(打設前後でコンクリートの流動性が急激に落ちる現象)が発生しやすくなります。骨材がコンクリート中の水分を吸い込んでしまうためです。現場では「なぜか打ちにくい」「ポンプ圧送でつまり気味」という症状として現れます。
ポップアウトはコンクリート表面が爆裂する現象です。
特に寒冷地での凍害については、骨材内部の空隙に入り込んだ水が凍結し、膨張圧によってコンクリート表面が円錐形に剥落する「ポップアウト」が問題になります。直径5〜10cm程度の剥落が複数発生すると、見た目だけでなく構造的な劣化につながります。
対策として、吸水率の高い軽量骨材を使う場合にはプレウェッティング(事前に骨材を吸水させておく処理)が有効です。あらかじめ骨材に水を吸わせておくことで、練り混ぜ時のスランプロスを抑えることができます。プレウェッティングが条件です。
また、高品質な再生骨材を使用する際も、付着したモルタル成分の影響で吸水率が高くなることがあります。再生骨材を使う建築現場では、吸水率の測定を通常骨材以上にこまめに行うことが品質管理の基本姿勢です。
吸水率と密度には逆相関の関係があります。密度が大きいほど骨材内部の空隙が少なく、吸水率は低くなります。材料選定の段階で密度の高い骨材を優先的に選ぶことが、長期耐久性を確保するための実践的なアプローチです。
参考情報(吸水率と耐久性の相関に関する調査データ)。
公共工事品質確保センター|コンクリート用骨材の実態調査報告(吸水率と品質基準)

Huepar 木材水分計 デジタル木材 水分計 小型 高精度 含水率計 木材水分測定器 木材水分メーター LCD水分テスター ホールド機能 含水率計 薪 木材テスタ日本語説明書付き (M01)