m16ボルト寸法一覧と規格表完全ガイド

m16ボルト寸法一覧と規格表

m16ボルト基本寸法と規格

M16ボルトは建築現場で最も頻繁に使用されるボルトサイズの一つです。JIS B 1180 付属書に規定されているM16ボルトの基本寸法は以下の通りです。

 

基本寸法表

• ねじの呼び径（d）：16mm
• 並目ピッチ（P）：2.00mm
• 細目ピッチ：1.50mm
• 軸径（ds）：16mm
• 頭部厚さ（k）：10mm
• 対辺距離（s）：24mm
• 対角距離（e）：27.7mm（約）

M16ボルトの特徴として、並目ピッチ2.00mmと細目ピッチ1.50mmの両方が規格化されている点があります。細目ピッチは強度が要求される箇所や、薄肉部材への取り付けに使用されます。

 

許容差については、頭部厚さ（k）が基準寸法10mmに対して許容差なし、対辺距離（s）が24mmに対して±0.35mm、軸径部分には±0.25mmの許容差が設定されています。

 

建築現場では、これらの寸法精度が構造物の安全性に直結するため、JIS規格品を使用することが重要です。特に鉄骨工事や重要構造部では、寸法精度の管理が厳格に求められます。

 

m16ボルト対辺寸法表と工具選定

M16ボルトの対辺寸法は、使用する工具の選定に直接影響します。ボルトの種類によって対辺寸法が異なるため、正確な工具選定が必要です。

 

M16ボルト対辺寸法一覧

• 標準六角ボルト：24mm
• 小型六角ボルト：22mm
• 高力ボルト：27mm
• 六角穴付きボルト：14mm

標準六角ボルトの対辺24mmが最も一般的で、建築現場では24mmのスパナやソケットレンチが頻繁に使用されます。小型六角ボルトは22mmの対辺を持ち、狭い箇所での作業に適しています。

 

高力ボルト（ハイテンションボルト）は27mmと大きな対辺寸法を持ちます。これは高い締付けトルクに対応するためで、鉄骨接合部などの重要箇所で使用されます。高力ボルトは通常の六角ボルトとは異なる専用工具が必要になるため、施工前の工具準備が重要です。

 

六角穴付きボルト（キャップスクリュー）は14mmの六角レンチを使用します。頭部が小さく、美観を重視する箇所や機械設備の取り付けに多用されます。

 

作業効率を向上させるため、現場では各種対辺寸法に対応したソケットセットを準備することが推奨されます。特にインパクトレンチ用のソケットは、作業スピードの大幅な向上につながります。

 

m16ボルト強度区分と材質選定基準

M16ボルトの強度区分は、使用箇所の荷重条件に応じて適切に選定する必要があります。JIS規格では以下の強度区分が規定されています。

 

鋼・合金鋼の強度区分

• 4.8：引張強度400N/mm²、降伏点320N/mm²
• 8.8：引張強度800N/mm²、降伏点640N/mm²
• 10.9：引張強度1000N/mm²、降伏点900N/mm²
• 12.9：引張強度1200N/mm²、降伏点1080N/mm²

ステンレス鋼の強度区分

• A2-50：オーステナイト系ステンレス鋼
• A4-50：オーステナイト系ステンレス鋼（耐食性向上）

強度区分8.8は建築現場で最も多用される規格で、一般構造用として幅広く使用されます。10.9以上の高強度ボルトは、高層建築の主要構造部や重機械の取り付けなど、特に高い強度が要求される箇所で使用されます。

 

材質選定においては、使用環境を十分に考慮する必要があります。屋外使用や湿気の多い環境では、亜鉛めっき処理済みのボルトやステンレス鋼ボルトの使用を検討します。特に海岸部や化学工場などの腐食環境では、A4-50グレードのステンレス鋼ボルトが推奨されます。

 

コスト面では、炭素鋼＜合金鋼＜ステンレス鋼の順で高くなりますが、長期的な維持管理コストを考慮した材質選定が重要です。

 

m16ボルト選定時の許容差と品質管理

建築現場でのM16ボルト選定において、寸法許容差の理解は品質管理の要となります。JIS規格では、各部寸法に対して厳格な許容差が設定されています。

 

重要寸法の許容差管理

• 軸径部：基準値16mmに対して0〜-0.2mm
• 対辺距離：基準値24mmに対して±0.35mm
• 頭部厚さ：基準値10mmに対して許容差なし
• ねじピッチ：2.00mm（並目）、1.50mm（細目）

軸径部の許容差「0〜-0.2mm」は、相手部材の穴径との適合性を確保するための設定です。穴径が16.5mmの場合、最大クリアランスは0.7mmとなり、構造計算での想定範囲内に収まります。

 

ねじ部の長さ規格も重要な選定要素です。M16ボルトでは、首下長さが129mm以下の場合は「軸径×2+6mm」、200mm以下の場合は「軸径×2+12mm」がねじ部長さの基準となります。これにより、L=50mmのM16ボルトの場合、ねじ部長さは38mmとなります。

 

品質管理において注意すべき点は、安価な海外製品の中には寸法精度が不十分なものが混在することです。重要構造部では、JISマーク付きの国産品または同等品質の製品使用を強く推奨します。

 

検査項目としては、外観検査（キズ、変形）、寸法検査（ノギス測定）、硬度検査（必要に応じて）を実施し、施工記録として保管することが重要です。

 

m16ボルト施工現場での実践的活用と締付管理

建築現場でのM16ボルト施工において、適切な締付け管理は構造安全性の確保に直結します。実際の施工現場では、理論値だけでなく現場条件を考慮した実践的なアプローチが必要です。

 

締付けトルク管理の実践
M16ボルト（強度区分8.8）の推奨締付けトルクは約150-180N・mですが、現場条件により調整が必要です。潤滑状態、温度、湿度により摩擦係数が変動するため、テストピースでの事前確認を推奨します。

 

現場での工具選定ノウハウ

• 電動インパクトレンチ：作業効率重視の大量施工時
• 手動トルクレンチ：精密な締付け管理が必要な重要部位
• ラチェットレンチ：狭小部での作業時

実際の鉄骨工事では、M16ボルトの仮締めから本締めまでの段階的な締付けが行われます。仮締めでは手回しで座面まで締め、本締めでは規定トルクの50%→100%の2段階で実施することが一般的です。

 

施工トラブル回避のポイント
ねじ山の損傷は最も避けるべきトラブルです。特に細目ピッチのM16×1.5では、斜め入りによるかじりが発生しやすいため、最初の2-3山は手回しで確実に噛み合わせることが重要です。

 

また、高力ボルトの場合は、専用の校正されたトルクレンチの使用が義務付けられており、日常的な校正管理も必要になります。

 

温度変化による伸縮も考慮すべき要素です。夏場の高温時と冬場の低温時では、ボルトの熱膨張により締付け力に差が生じるため、季節に応じた管理が必要です。

 

作業記録として、使用ボルトの種類、強度区分、締付けトルク値、施工者名、施工日時を記録し、構造物の品質保証書類として保管することが重要です。これらの記録は、将来のメンテナンス時にも貴重な情報となります。