
間柱(まばしら)とは、建築物の壁構造において柱と柱の間に設置される小柱のことです。読んで字のごとく「柱と柱の間にある柱」という意味で、主に壁を支えるための部材として使用されます。間柱は家の構造自体を支える主柱とは異なり、壁の強度を保ち、壁材を固定するための二次部材として機能します。
間柱は壁の中に隠れているため普段目にすることはありませんが、壁に棚やテレビなどの重量物を取り付ける際には、間柱の位置を知ることが非常に重要になります。石膏ボードだけにクギやネジを打ち込んでも十分な強度が得られず、すぐに抜けてしまうためです。
また、間柱の空間は電気配線や給排水管を通したり固定したりするスペースとしても活用されています。このように間柱は建物の機能性と安全性を支える重要な役割を担っているのです。
間柱の寸法は建物の構造や用途によって異なりますが、一般的な規格としては以下のようになっています。
【木造住宅の間柱寸法】
【軽量鉄骨造の間柱寸法】
軽量鉄骨下地(LGS下地)の一般的なサイズは以下の通りです。
一般的な軽量鉄骨製の間柱のサイズは、幅30~50mm、奥行き40mmが標準的です。コの字型をした軽量鉄骨が使われることが多いです。
間柱の材質としては、主に以下の2種類が使用されています。
木造軸組工法の家の場合、壁の表に出ている柱が例えば140mm角であれば、間柱の奥行きもそれに合わせて140mm近い数値になることが一般的です。一方、マンションのリノベーションなどで新たに間柱を使った壁を設ける場合は、木材なら幅30mm×奥行き40mm、軽量鉄骨なら幅30~50mm×奥行き40mmが標準的なサイズとなっています。
建物の規模や天井の高さによっても間柱の寸法は変わることがあり、壁受け以外の用途で使用する場合はさらに大きなサイズが選ばれることもあります。
間柱の配置間隔は、壁の強度を確保するために重要な要素です。一般的な間柱の配置間隔は以下のとおりです。
この間隔は日本の建築基準に基づいており、壁がたわまないようにするための最適な距離として設定されています。間隔が広すぎると壁材がたわんでしまい、狭すぎると材料の無駄遣いになるため、この範囲内で設計されるのが一般的です。
間柱の施工においては、以下のような基準や注意点があります。
間柱の配置は建物の設計図に明記されていることが多く、施工時にはこれに従って正確に設置することが求められます。DIYで壁に何かを取り付ける場合は、この標準的な間隔を念頭に置いて間柱の位置を探すとよいでしょう。
間柱と混同されやすい建築部材に「胴縁(どうぶち)」があります。両者は似た役割を持ちますが、設置方向や用途に明確な違いがあります。
間柱(まばしら)
胴縁(どうぶち)
胴縁は外壁材と柱・間柱の間に水平に取り付けられる木材で、外壁材を固定するための下地となります。また、胴縁を設置することで壁と外壁材の間に通気層が生まれ、結露防止や断熱性向上にも寄与します。
間柱と胴縁の使い分けは以下のようになります。
外壁の構造は一般的に「柱・間柱→防水シート→胴縁→外壁材」という順番で構成されています。間柱と胴縁を適切に組み合わせることで、壁の強度を保ちながら通気性も確保した理想的な壁構造を実現できます。
建築業に携わる方は、間柱と胴縁の違いを理解し、適材適所で使い分けることが重要です。
壁に棚やテレビなどを取り付ける際には、間柱の位置を正確に把握することが重要です。間柱の位置を調べる方法には以下のようなものがあります。
1. 壁をノックする方法
最も簡単な方法は、壁を軽くノックして音の違いから間柱の位置を特定する方法です。
2. 下地探し針を使う方法
下地探し針は、壁に刺して間柱の位置を探る専用の道具です。
3. 下地センサーを使う方法
電子式の下地センサーは、壁に沿って動かすだけで間柱の位置を検知し、音や光で知らせてくれます。
4. コンセントやスイッチから推測する方法
コンセントやスイッチは間柱に取り付けられていることが多いため、その位置から間柱の位置を推測できます。
間柱を探す際の注意点としては、以下のことが挙げられます。
間柱の位置を正確に把握することで、安全かつ確実に壁面への取り付け作業を行うことができます。
間柱の施工や利用にあたっては、いくつかの重要な注意点があります。特に建築業に従事する方は、これらの点を押さえておくことで、より安全で効果的な施工が可能になります。
施工時の注意点
耐荷重の計算方法
間柱に取り付ける棚や家具の耐荷重を計算する際は、以下の点を考慮する必要があります。
例えば、テレビ(20kg)を壁掛けする場合:
間柱を利用した壁面への取り付けでは、単に間柱の位置を見つけるだけでなく、取り付ける物の重量と間柱・固定具の耐荷重を考慮した適切な設計が重要です。特に業務用や公共施設での施工では、安全係数を十分に取った設計を心がけましょう。
また、近年では間柱を使わずに石膏ボードに直接取り付けられる専用のアンカーも普及していますが、これらは比較的軽量な物の取り付けに限定されることを忘れないようにしましょう。重量物の取り付けには、やはり間柱を利用した確実な固定が必要です。
以上のように、間柱の規格や寸法、配置間隔を理解し、適切な施工を行うことで、安全で機能的な壁構造を実現することができます。建築業に携わる方々は、これらの基本知識を踏まえた上で、現場の状況に応じた最適な判断を行うことが求められます。