マイルドシリコン2液で外壁塗装の耐久性と施工品質を上げる方法

マイルドシリコン2液で外壁塗装の耐久性と施工品質を上げる方法

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マイルドシリコン2液の特徴と正しい施工で品質を最大化する方法

硬化剤を正確に混ぜないと、塗った翌日に塗膜が剥がれてクレーム費用が丸ごとあなたの負担になります。


🎯 この記事のポイント
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2液型の基本:NAD型弱溶剤の正体

マイルドシリコン2液はNAD型(非水系分散型)弱溶剤塗料。主剤+硬化剤の化学反応で、1液型を大きく上回る密着力と耐久性を発揮します。

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最重要:硬化剤の混合比率と可使時間

クリーンマイルドシリコンは主剤100:硬化剤11.1が規定比。23℃で可使時間5時間以内。比率を誤ると硬化不良となり塗膜性能がゼロになるリスクがあります。

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下地選びと適用範囲の広さ

コンクリート・モルタル・ALC・鉄部・亜鉛メッキ鋼など多様な下地に対応。1液型では塗れない金属部にも施工でき、現場効率が大幅に上がります。


マイルドシリコン2液とは何か:NAD型弱溶剤塗料の基礎知識

建築現場でよく使われる「マイルドシリコン2液」は、エスケー化研の「クリーンマイルドシリコン」や関西ペイントの「コスモマイルドシリコンⅡ」などの製品群を指す呼び名として現場で定着しています。正式な分類はNAD型(Non-Aqueous Dispersion:非水系分散型)弱溶剤2液型アクリルシリコン樹脂塗料で、外壁塗装の中塗り・上塗り工程で幅広く採用されています。


「2液型」とは、主剤と硬化剤という2つの缶がセットになった塗料のことです。使用直前に規定の比率で混ぜ合わせることで、塗布後に強固な塗膜を形成します。つまり2液型は混ぜた瞬間から化学反応がスタートします。


分類項目 内容
塗料タイプ 弱溶剤2液型
樹脂系統 アクリルシリコン樹脂(NAD型)
主な機能 超低汚染性・超耐久性・防かび・防藻・透湿性
期待耐用年数 12〜15年(エスケー化研 クリーンマイルドシリコン)
希釈剤 塗料用シンナーA
艶の種類 艶有り・7分艶・5分艶・3分艶


弱溶剤とは、強溶剤(アクリルシンナーやラッカーシンナーなど)より穏やかな「塗料用シンナーA」で希釈するタイプを指します。強溶剤に比べて臭気が少なく、下地への攻撃性も低いため、旧塗膜を侵さずに密着できます。これが重要です。


1液型の「1液マイルドシリコン」と同じシリコン系でも、2液型は主剤と硬化剤が混合した瞬間に爆発的な化学反応が起きます。この反応によって形成される塗膜は、1液型の緩やかな硬化とは異なり、緻密で強靭な架橋構造をもちます。


NAD型という構造も見逃せないポイントです。NAD型は有機溶剤の中にアクリルシリコン樹脂の粒子が分散した形態で、水系塗料と強溶剤塗料の中間的な位置づけです。この構造が、幅広い下地への密着性と臭気の低さを両立させています。


エスケー化研のクリーンマイルドシリコンには特許技術「セラミック複合技術」が使われており、塗膜の表面にセラミック層が形成されます。このセラミック層が塗膜の帯電を抑え、汚れが付きにくくなる「超低汚染性」を実現しています。結論は密着・耐久・低汚染の三拍子です。


マイルドシリコン2液の硬化剤混合比率と可使時間の管理方法

2液型塗料の施工で最もミスが起きやすいのが、硬化剤の混合比率の管理です。これを誤ると「硬化不良」という致命的な施工トラブルに直結します。


クリーンマイルドシリコンの混合比率は主剤100:硬化剤11.1(重量比)と規定されています。一斗缶セット(15kgセット)の場合、主剤13.5kgに対して硬化剤1.5kgという構成です。比率を守ることが大原則です。


製品名 メーカー 主剤:硬化剤(重量比) 可使時間(23℃)
クリーンマイルドシリコン エスケー化研 100:11.1 約5時間
弾性クリーンマイルドシリコン エスケー化研 100:18.5 約5時間
コスモマイルドシリコンⅡ 関西ペイント 製品ラベル参照 約5〜8時間


可使時間(ポットライフ)とは「混合後にその塗料を使い切らなければならない制限時間」のことです。クリーンマイルドシリコンは23℃での可使時間が約5時間ですが、気温が上がると短くなる点を必ず頭に入れてください。


⚠️ 気温35℃以上の夏場では可使時間が3時間程度まで短縮されるケースもあります。現場では「一度に多く混ぜて節約しよう」という発想が出やすいですが、可使時間を超えた塗料は粘度が上がり、塗膜のつきムラや艶ムラが発生します。痛いですね。


混合・攪拌の手順で押さえるべき点は3つです。


- 🔢 計量はデジタル秤を使う:目分量は厳禁です。誤差5%以内が許容範囲とされており、10kgの主剤を扱う場合、500g(片手にのる重さ)以内の誤差が上限です。


- 🌀 電動ミキサーで2分以上攪拌する:手混ぜでは均一に混ざらず、局所的な硬化不良の原因になります。


- 🔁 混合後は先に攪拌してから希釈する:シンナーを先に加えてから硬化剤を混ぜると、分散が不均一になります。順番が条件です。


「硬化剤さえ入れれば比率は多少ズレてもいい」という考えは禁物です。比率が狂うと表面だけ乾燥して内部が固まらない「内部硬化不良」が起き、数カ月後に塗膜が剥がれ落ちます。施工後のクレームになれば、塗り直しの費用は施工業者の全額負担になるケースがほとんどです。


なお、混合後は缶を密閉して保存することはできません。残った塗料は翌日以降には再利用できないため、1回の施工面積から逆算して必要量だけを混合する計画が不可欠です。


参考:エスケー化研 クリーンマイルドシリコン 製品情報(混合比率・施工仕様の一次情報)
https://www.sk-kaken.co.jp/product/overcoat-materials/cleanmild-silicone/


マイルドシリコン2液が1液型と比べて有利な適用下地と現場での使い分け

マイルドシリコン2液型の大きな強みのひとつが、適用できる下地の幅広さです。これは現場の段取り効率に直接影響します。


1液型の「1液マイルドシリコン」が対応できる下地は、コンクリート・セメントモルタル・サイディングボード・各種旧塗膜の4種類です。一方で2液型のクリーンマイルドシリコンはこれらに加えて、ALCパネル・スレート板・GRC板・押出成形セメント板・鉄部・亜鉛メッキ鋼・アルミニウム・ステンレスなどの金属類にも対応します。これは使えそうです。


下地の種類 1液マイルドシリコン クリーンマイルドシリコン(2液)
コンクリート・モルタル
各種サイディングボード
各種旧塗膜(活膜)
ALCパネル
スレート板・GRC板
押出成形セメント板
鉄部・亜鉛メッキ鋼
アルミ・ステンレス


現場でよく起きる問題は「外壁はモルタルだが雨樋や破風板は金属製」というように、複数の下地材が混在するケースです。こうした現場で1液型を使うと、金属部には別の専用塗料を手配しなければなりません。


2液型なら1種類の塗料で全体をカバーできます。塗料の本数が減り、余材が出にくくなります。外壁130㎡で1液型と2液型を比べると、塗料の設計価格差はおよそ5万円ですが(1液型:2,000円/㎡ × 260㎡=52万円 vs 2液型:2,200円/㎡ × 260㎡=57.2万円)、金属部分への追加塗料コストや段取り工数を加味すると、2液型の方がトータルで合理的になるケースは少なくありません。


また、2液型の方が塗膜の密着性が強い理由は「硬化反応の大きさ」にあります。1液型は既に微量の硬化剤が配合されており、ゆっくりと硬化します。対して2液型は混合時に一気に化学反応が起き、緻密で強靭な架橋構造をもつ塗膜を形成します。この差が、鉄部のような難密着素材への食いつきの良さに現れます。


塩害が懸念される沿岸部の現場や、工場・倉庫などの産業施設で鉄骨・金属部材が多い物件では、迷わず2液型を選ぶのが現場のセオリーです。金属部が多い現場なら2液が原則です。


マイルドシリコン2液の下塗り選びが仕上がりと耐久性を左右する理由

2液型シリコン塗料の性能を最大限引き出すには、上塗りの選択だけでなく下塗り材の選定が同等以上に重要です。これは意外と見落とされがちな事実です。


下塗り材は大きくシーラーフィラープライマーの3種類に分かれます。それぞれの役割と使い分けは以下の通りです。


- 🛡️ シーラー(浸透型):下地に深く浸透して補強し、上塗りとの密着を確保します。エスケー化研の「マイルドシーラーEPO」などが代表例で、劣化が進んだモルタル外壁に向いています。


- 🧱 フィラー(充填型):表面の凹凸を埋めて平滑にする下塗り材です。「水性ソフトサーフSG」や「エスケー弾性プレミアムフィラー」など。下地に細かいひび割れがある場合に有効です。


- 🔩 エポキシプライマー(金属・難密着素材用):鉄部や亜鉛メッキ鋼などに使う錆止め効果もある下塗り材です。2液型の上塗りを金属部に使う際はこれが必須です。


エスケー化研が公開している設計価格の仕様ごとの単価を見ると、下塗り材によって1㎡あたりの価格差が最大450円生じています(水性ソフトサーフSG使用:3,100円/㎡ ↔ 水性ハイブリッドサーフ使用:3,550円/㎡)。30坪(外壁約130㎡)の家で換算すると、260㎡の差額は約11万7,000円にもなります。


「下塗りはなんでも同じ」という感覚で施工すると、剥がれやすい仕上がりになります。下塗り選定のポイントは「現在の下地の状態」「既存塗膜の種類」「弾性仕上げかどうか」の3つです。弾性塗膜の上にそのままクリーンマイルドシリコン(硬質)を塗ると、下地の動きに追随できずひびが入るリスクがあります。弾性下地には弾性クリーンマイルドシリコンが条件です。


また、下地のpH(アルカリ度)にも注意が必要です。新築のコンクリート・モルタルはpHが高く、塗料が密着しにくいことがあります。エスケー化研のカタログでは「下地のpHを10以下に調整してから施工」と明記されています。素地調整が仕上がりを決めます。


参考:1液・2液の違いと下塗り材選定の実務的な解説(塗装業者のプロ視点)
https://gaiheki-kakekomi.com/home/1eki2eki/


マイルドシリコン2液施工で起こりやすいトラブルと現場での防ぎ方

マイルドシリコン2液を使っていても、施工手順を誤ると期待した性能が出ません。現場でよく起きるトラブルのパターンと、その防ぎ方を整理します。


🔴 トラブル① 硬化不良(塗膜が固まらない)


最も深刻なトラブルです。原因は主に「硬化剤の入れ忘れ」「混合比率の誤り」「攪拌不足」の3つです。一見乾燥しているように見えても、内部が固まっていない場合があり、指で擦ると色が落ちたり、雨が当たると剥がれたりします。意外ですね。


防ぎ方は明確で、混合前に必ず主剤・硬化剤それぞれの重量をデジタル秤で計量し、電動ミキサーで2分以上攪拌することです。補修作業での小缶混合時も「比率の確認→計量→攪拌」の順を省略しないことが重要です。


🔴 トラブル② 気温5℃以下での施工による白化・膨れ


クリーンマイルドシリコンのカタログには「気温5℃以下での施工は完全硬化まで時間を要し、その間に擦ると色落ちする」と明記されています。また、低温時は塗膜が白く濁る「白化現象」や、下地の水分が揮発できず塗膜が膨れる現象が起きやすくなります。低温施工は要注意です。


施工可能な気温の目安は5℃以上・湿度85%以下です。秋冬の現場では気温の日変化に注意し、夕方以降に気温が急激に下がる日は午前中の施工に限定するなどの対策が必要です。


🔴 トラブル③ 可使時間オーバーによる艶ムラ・密着不良


混合後に時間が経ちすぎた塗料を使うと、粘度が上がって均一に伸びなくなります。結果として艶ムラや、部分的な密着不良が生じます。夏場(気温30℃以上)では可使時間が3時間前後に短縮されるため注意が必要です。


防ぎ方は「1日に塗れる面積を事前に計算し、可使時間内に使い切れる量だけを混合する」ことです。1㎡あたりの使用量は約0.27kg(2回塗り合計)なので、1時間あたりに塗れる面積と可使時間を掛け合わせた量が1回の混合量の上限目安になります。現場ごとに計算が条件です。


🔴 トラブル④ 塗り重ね間隔の無視による密着不良


中塗りが完全に乾燥する前に上塗りを重ねると、中塗り・上塗りの界面で密着不良が起きます。弱溶剤2液型の場合、下層の塗料が溶剤を含んでいる状態で上塗りを施すと、溶剤が揮発する際に塗膜を押し上げ、剥がれや膨れの原因になります。乾燥時間の確保が原則です。


クリーンマイルドシリコンの塗り重ね間隔は、23℃の標準条件で最短2時間以上です。気温が低い日や日陰の面は乾燥が遅れるため、余裕をもって3時間以上確保するのが安全です。


参考:クリーンマイルドシリコンの施工上の注意点・硬化不良の原因解説
https://exterior-paint.net/features-price-precautions-of-cleanmild-silicone/


マイルドシリコン2液の「超低汚染性」を発揮させる施工仕様と独自の見落とし防止ポイント

クリーンマイルドシリコンが持つ「超低汚染性」は、エスケー化研の特許技術「セラミック複合技術」に由来しています。しかし、この機能は「正しい施工仕様通りに塗装する」という条件が満たされて初めて発揮されます。手を抜くと宝の持ち腐れになります。


セラミック複合技術の仕組みは、塗膜の表面にセラミック成分が二層構造を形成することにあります。このセラミック層が3つの効果をもたらします。


- 💡 低帯電性:塗膜表面の静電気を低減し、大気中のホコリや排気ガスの汚染物質が付きにくくなります。


- 💡 高い架橋密度:塗膜自体が緻密なため、汚れが塗膜に定着しにくくなります。


- 💡 親水性:水となじみやすい性質をもつため、雨が降ると汚れがセルフクリーニングされます。


この超低汚染性を正しく発揮させるために、見落としやすい施工ポイントが2つあります。


① 希釈率の管理:塗料用シンナーAによる希釈率は0〜20%の範囲内です。希釈しすぎると塗膜が薄くなり、セラミック層の二層構造が不完全になります。「伸びが悪い」と感じて過剰にシンナーを加える行為は、塗膜の低汚染機能を落とす原因になります。これだけ覚えておけばOKです。


② 艶消し仕様には超低汚染性が発揮されない:クリーンマイルドシリコンには艶消し仕様が存在しません(艶有り・7分艶・5分艶・3分艶まで)。また、艶を消すほど親水性が低下するため、セルフクリーニング効果が弱まります。低汚染性を重視する現場では、できるだけ高艶仕上げを推奨するのが理にかなっています。


また、特定の汚染に対しては別の製品との組み合わせが有効です。例えば、北側や日当たりの悪い壁面ではカビ・藻が発生しやすいため、防かび・防藻機能を持つ下塗り材との組み合わせや、同シリーズの弾性タイプの検討が有効です。クリーンマイルドシリコンにも防かび・防藻機能はありますが、下地からのカビの進入を防ぐには下塗り材での対策が先決です。


現場の経験から言えば「仕様通りに施工した現場は10年経っても艶感が残る」という実績が報告されています。仕様書通りが最強の近道です。


参考:エスケー化研 外装用上塗材(クリーンマイルドシリコンの機能・ラインナップ一覧)
https://www.sk-kaken.co.jp/product/overcoat-materials/