

工業用のマーキングペンは「油性染料インキ」「油性顔料インキ」「水性顔料インキ」「固形ペンキ(ソリッドマーカー)」などに大きく分類され、それぞれ乾燥性・耐水性・発色性が異なります。
油性染料インキは紙・プラスチック・金属・木材・ガラス・布・革・陶器など多くの素材に書けて速乾性と耐水性に優れますが、光による退色が起こりやすい一方、油性顔料インキは色が濃く、耐光性と耐候性が高く屋外での長期マーキングに適しています。
水性顔料系の工業用マーカーは金属・ガラス・プラスチックなどにも書けつつ、嫌な臭いが少なく、裏移りしにくい性質から室内作業や事務所内での部品マーキングに重宝されています。
参考)https://www.kaunet.com/rakuraku/category/0/1/024/024017/0240170017/
固形ペンキ(ソリッドマーカー)はペンキのようにかくはん不要で、刷毛もいらず飛沫で服や手を汚す心配がない固形インキで、鉄・鋼材・建築資材・工業資材へのマークチェック用として広く使われます。
参考)https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0424.html
意外と知られていないのが、同じ「油性ペイントマーカー」でも、アルコール系溶剤を主溶剤にしたタイプがあり、速乾性・固着性に優れつつ環境・安全面にも配慮している点です。
また一部製品では金属部品を使わずプラスチックゴミとして廃棄できる仕様になっており、解体現場や大型改修工事で分別廃棄の手間を減らせるメリットもあります。
工業用マーカーのペン先には、平型・丸型・極細サインペン型・太字マーカー型・固形ペンキ棒状などがあり、線幅や方向性の有無によって用途が分かれます。
平型は一定幅の直線やラインマーキングに適し、丸型は円を描くときや細かい文字書きに向くなど、形状ごとに「工程管理」や「部材管理」で使いやすいシーンが決まってきます。
建築現場では、鉄骨・H形鋼・デッキプレートなどには太字のペイントマーカーや固形ペンキを使って、遠くからでも見えるサイズで部材番号や溶接位置を記入するケースが多いです。craypas+1
一方で、配管識別・盤内配線・ユニットの端子番号など細かい表記には、極細〜細字の工業用マーカーを使うことで、にじみを抑えながら読みやすい表示が可能になります。fueki+1
木材や型枠用合板の場合、濡れ面に書ける水溶性マーカーや固形ペンキタイプが有利で、雨天時やモルタルの飛散がある環境でもマーキングが消えにくいことが現場で重宝されるポイントです。craypas+1
ガラスやタイル、フッ素鋼板など、表面が非常に平滑な下地には付着力の強いペイントマーカーが推奨され、塗装前の検査マーキングでも上塗り塗料との相性を考えた製品選びが求められます。monotaro+1
耐熱性をうたう工業用マーカーには、150℃の加熱面にも直接筆記できる耐熱マーカーや、-10〜200℃の面に使用可能な固形ペンキタイプなどがあり、熱処理工業・金型・鉄骨製作現場で使用されています。
これらはシリコーン樹脂と無機顔料をベースとした耐熱インクや、耐光・耐水性に優れた配合が用いられており、加熱や屋外暴露後も色あせしにくいのが特長です。
耐水性が求められる造船・橋梁・外部鉄骨では、ソリッドマーカーや鉄鋼用マーカーなどの「消えにくい」製品が推奨され、風雨や熱環境の変化に強いインキが採用されています。monotaro+1
インキの付着力が強く、塗料を上から塗っても剥がれにくいタイプを選べば、マーキングを磨いて落とす必要がなく、そのまま上塗りが可能なため、塗装前清掃の手間や時間を大きく削減できます。craypas+1
一方、検査や仮マーキングでは「アルコールで消せる」タイプの工業用マーカーもあり、金属加工ラインなどで修正・書き換えが頻繁な工程に向いています。
参考)https://www.craypas.co.jp/pdf/products/catalog/industrial-supporters.pdf
こうした消去性マーカーは、曲げ試験・溶接位置確認・強度試験の後に跡を残したくない場合に有効で、製品への傷や研磨を避けながらマーキングを管理できる点が大きな利点です。
建築現場で工業用マーカーを選ぶ際は、「下地素材」「工程(前工程/中間検査/仕上げ前)」「屋内外」「温度条件」「後工程で消すかどうか」の5点を整理することで、最適な1本が絞り込みやすくなります。
例えば、鉄骨製作の一次加工では太字の油性ペイントマーカー、仮組時の検査印にはアルコールで消せるマーカー、本塗装時まで残したい材料ロット表示には耐候性の高い固形ペンキ、というような段階的な使い分けが有効です。
現場の「見える化」を進めるうえでは、色のルール決めも重要で、赤=不良・要手直し、青=検査済、白=材料識別といった取り決めをチーム内で共有しておくと、マーキングペンの色数を絞りつつ情報伝達の精度を高められます。monotaro+1
工業用マーカーは色数が多い製品もあり、用途別に色を固定しておくことで、遠目からでも状況把握がしやすくなり、応援の職人が現場に入っても誤解のないコミュニケーションにつながります。kaunet+1
意外なポイントとして、ペン先の耐久性が高い製品を選ぶと、高所作業車や足場上での「ペン先つぶれ」による書き直しやインキ漏れトラブルが減り、安全面にも好影響が出ます。monotaro+1
また、ノック式で片手操作できる工業用マーカーは、ハーネスや工具を持ったままでもキャップの落下・紛失リスクを減らせるため、高所作業や鉄骨建方の現場での評価が高まっています。
工業用マーキングペンの中には、固形ペンキタイプを「簡易塗料」として使えるものがあり、耐熱塗料をマーカーペンタイプにした商品では、加熱部品の局所着色や温度履歴管理の印付けに応用するケースもあります。
例えば、熱処理工場や金型工場では、温度段階ごとに色を変えてマーキングし、後から色の残り具合を確認することで、非接触的な熱履歴の目安として扱うなど、簡易的な「色によるトレーサビリティ」に活用されています。
また、金属部品を使わない工業用ペイントマーカーは、廃棄時に金属とプラスチックを分別する必要がなく、プラスチックゴミとして一括処理できるため、大量にマーカーを消費するプレカット工場や外装材加工場でじわじわと採用が増えています。
こうした製品は、工具の本数が増えても産廃処理費を抑えやすく、環境配慮型の現場運営を求められる公共工事や大規模開発でのアピールポイントにもなり得ます。misumi-ec+1
さらに、水性顔料マーカーの中には、金属・ガラス・プラスチックに書けて臭いが少ないタイプがあり、工場見学や施主立ち会い時の「クリーンな現場演出」の一部として、油性の強い臭いを避ける目的で選定されることもあります。fueki+1
マーキングペンを「書ければ何でもいい」から一歩進めて、臭気・廃棄・上塗り塗装との相性まで含めて設計・施工計画に組み込むことで、現場品質と環境配慮の両方をバランス良く高めることが可能になります。kaunet+1
工業用マーカーのインキ別の特徴や用途例、素材別の選び方を一覧で確認したい場合、以下のような技術解説ページが参考になります。
工業用マーカーの種類と特長(ミスミ 技術情報)
素材別・用途別に複数の工業用マーカーをラインナップしているメーカーのカタログも、建築資材・工業資材へのマークチェック用ペンを選ぶ際の具体的な製品比較に役立ちます。