

中塗り省略でメーカー保証が即日無効になり、再塗装費用が丸ごとあなたの負担になります。
外壁塗装の3工程「下塗り・中塗り・上塗り」は、それぞれが独立した役割を持っています。中塗り塗料とは、下塗り塗膜の上に塗布し、最終的な上塗り塗料の土台を整えるための塗料のことです。日本ペイントの技術資料によれば「下塗り塗膜と上塗り塗膜の中間にあって、両者に対する付着性を持ち、塗装系の耐久性を向上させるために用いる塗料」と定義されています。
🔗 参考リンク:中塗り塗料の定義(日本ペイント技術用語集)
https://www.nipponpaint.co.jp/nippelab/term/92/
各工程の役割の違いを整理すると、下塗りは「外壁素地と塗料の密着を高める接着剤の層」、中塗りは「塗膜に厚みを持たせて耐久性・均一性を確保する補強の層」、上塗りは「最終的な美観と防水性・耐候性を決定づける仕上げの層」という位置づけです。
中塗りは便宜上「上塗り1回目」と呼ばれることもあります。そのため、見積書に「上塗り2回」と書かれていれば、実質的に中塗り+上塗りが含まれているケースが多いです。ただし、明記されていない場合は要確認です。
中塗りと上塗りは基本的に同じ塗料を使います。同じ製品で2回重ねることで、塗膜の厚みが均一に積み上がり、塗料本来の性能を引き出す設計になっています。異なる塗料を使うと発色・艶・密着性にムラが生じ、のちにチョーキング(白化)が起きたときに中塗りが剥き出しになってしまいます。
つまり中塗り=上塗り1回目ということですね。
| 工程 | 使う塗料の種類 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 🔷 下塗り | プライマー・シーラー・フィラーなど専用下塗り材 | 素地への密着力確保・吸い込み防止 |
| 🔶 中塗り | 仕上げ塗料(上塗りと同じ) | 塗膜厚の確保・均一性・耐久性向上 |
| 🔴 上塗り | 仕上げ塗料(中塗りと同じ) | 美観・防水性・耐候性・防汚性の最終決定 |
中塗りと上塗りは同じ塗料を使うのが原則です。そのため、「中塗り塗料の種類を選ぶ」ことは、事実上「仕上げ塗料の種類を選ぶ」ことと同義です。現場でよく使われる仕上げ塗料の主な種類と特徴を押さえておきましょう。
まず、シリコン樹脂塗料は国内外壁塗装でもっとも普及しているスタンダードグレードの塗料です。耐用年数は約10〜15年が目安で、コストパフォーマンスに優れています。1缶あたりの単価も比較的手ごろで、多くの新築・改修現場で採用されています。
次に、フッ素樹脂塗料はシリコンよりワンランク上の高耐久タイプです。耐用年数は約15〜20年とされ、光沢保持性・防汚性・耐候性いずれも高水準です。高層ビルや公共建築物など、メンテナンス頻度を下げたい建物に向いています。
そして、無機塗料は現在市場にある塗料の中で最高耐久グレードに位置します。石・ガラスなど無機成分を主成分としており、耐用年数は20〜30年とも言われます。ただし単価が高いため、費用対効果を建物の規模や用途に合わせて判断することが大切です。
種類ごとの比較です。
| 塗料グレード | 耐用年数の目安 | こんな現場に向いている |
|---|---|---|
| 🔵 シリコン | 約10〜15年 | 一般住宅・コスト重視の改修 |
| 🟠 ラジカル制御型 | 約13〜16年 | シリコン以上の耐候性をコスパ良く求める現場 |
| 🟡 フッ素 | 約15〜20年 | 高層ビル・長期メンテナンスフリーを望む建物 |
| 🔴 無機 | 約20〜30年 | 公共建築・超高耐久を求める大規模改修 |
また、特殊な用途向けには弾性塗料や断熱塗料(ガイナなど)も存在します。モルタル壁やひび割れが多い外壁には弾性塗料が有効です。塗膜が伸縮してクラックをカバーするため、下地のひび割れへの追従性が求められる現場で重宝します。
これは使えそうです。
塗料選びで注意したいのは、中塗りと上塗りで異なるメーカーの製品を混在させないことです。同じ「シリコン塗料」というカテゴリでも、メーカーが違えば成分比率・溶剤系統・樹脂設計が異なるため、密着不良や艶ムラが発生するリスクがあります。必ず同一メーカー・同一製品シリーズで揃えることが条件です。
「中塗りを省いても見た目に差がない」と思われがちですが、それは大きな誤解です。現場でのリスクを3つに整理します。
リスク①:耐久性が大幅に低下する
塗料メーカーが示す「耐用年数15年」は、規定の塗膜厚(膜厚)を確保した場合に限って有効な数字です。中塗りを省略すると塗膜の総厚が不足し、同じフッ素・無機系の高性能塗料を使っても本来の性能が発揮できません。豊川市の外壁塗装専門店の調査によれば、中塗りを省略した場合、「耐用年数15年の塗料でも実際には10年ももたない」ケースが報告されています。
リスク②:メーカー保証が即日無効になる
日本ペイント・関西ペイント・アステックペイントなど大手塗料メーカーはすべて、「下塗り+中塗り+上塗りの3工程」を標準施工仕様として指定しています。この工程を守らなければ、メーカー保証の対象外です。施工後に剥離・変色などのトラブルが発生しても、保証が使えない状態ではすべての補修費用が施工者側の負担になります。
リスク③:数年後に大規模補修が必要になる
塗膜が薄いと、紫外線・雨水・温度変化に対する抵抗力が弱くなります。3〜5年で剥がれやひび割れが生じ、そこから雨水が浸入すると外壁下地まで傷みます。通常なら塗装だけで済む定期メンテナンスが、中塗り省略のせいで外壁材の張り替えを含む大規模工事に発展するリスクがあります。痛いですね。
中塗りを省いた施工は、短期的にはコスト削減に見えても、長期的にはクレーム・再施工・下地補修という形で想定外の出費につながります。結論は「省略コストより補修コストのほうが何倍も高い」です。
🔗 参考リンク:中塗り省略リスクと3回塗りの重要性
https://www.my-painter.com/column/20190201gennba5-4/
中塗りを「塗った」だけでは不十分です。乾燥時間(インターバル)の管理が、仕上がりと耐久性を左右します。
塗料には各工程ごとに「塗り重ね乾燥時間」が規定されています。下塗りが乾いてから中塗りへ、中塗りが乾いてから上塗りへと進むのが原則です。この順序は必須です。乾燥不足のまま上塗りをすると、密着不良・ピンホール・塗膜の膨れ・剥がれの原因になります。
乾燥時間の目安は以下の通りです。
冬場の午前中に下塗りをして、同日午後すぐ中塗りへ進むのは危険な判断です。日没後は気温が急落し、乾燥が止まります。1工程を1日で仕上げる進め方が現場の基本です。
また、乾燥時間の上限にも注意が必要です。次の塗装まで間隔が空きすぎると、下塗り・中塗りの塗膜表面に汚れが付着し、次の工程の密着性が落ちることがあります。雨天で作業が中断した場合は、再施工前に表面状態の確認が必要です。
中塗りが完全に乾いた状態を見極めるには、「手で軽く触れて塗料が付いてこない」「表面に光沢が均一に出ている」の2点が目安になります。乾燥時間の管理が品質のカギです。
🔗 参考リンク:乾燥時間を守らない場合に起こる不具合の詳細
https://www.ikedatosou.com/column/gaihekitosou-kansoujikan-2/
中塗りと上塗りは同じ塗料を使うのが基本ですが、施主からの要望や品質管理目的で「中塗りだけ色を変える」手法を採用する業者もいます。この方法には明確なメリットがある一方、注意点も存在します。
中塗りの色変えが有効な場面
中塗りと上塗りの塗料の色を変えることで、「本当に2層塗ったかどうか」を目視で確認しやすくなります。施主が工事中・完了後に現場写真を見た際、中塗り(例:グレー)と上塗り(例:ホワイト)の色が明確に違えば、3工程が実施されたことを視覚的に証明できます。
これは品質保証のツールとして機能します。
一方で、色変えには塗料のロスが発生するデメリットもあります。中塗り用に別の色の塗料を用意する分、余った塗料が廃棄される可能性があり、コスト増の要因になります。また、顔料の種類が違えば耐候性・密着性に影響する可能性もあるため、同一メーカー内で適切な組み合わせを確認することが必要です。
現場記録が施工品質を守る
中塗りは完成後には上塗りで覆われ、外から見えなくなります。そのため「施工写真の記録」が、品質確認の唯一の手段です。下塗り・中塗り・上塗りの各工程ごとに写真を撮影し、日時・天候・気温も合わせて記録する習慣をつけましょう。
これらを記録した「工程報告書」を施主に渡すことは、クレーム予防として非常に有効です。近年では、スマートフォンアプリで撮影日時・GPS情報を自動記録できる現場管理アプリも普及しています。工程写真と施工記録を一元管理できるツールを活用すれば、後工程のトラブルを大幅に削減できます。
🔗 参考リンク:中塗りと上塗りの色変えの是非と活用方法
https://www.gaihekitosou-partners.jp/contents-1726.html