三価クロム 三価クロメート 違い 建築 めっき 処理 用途

三価クロム 三価クロメート 違い 建築 めっき 処理 用途

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三価クロムと三価クロメートの違い

三価クロムと三価クロメートの主な違い
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三価クロムめっき

三価クロム化合物を使用したクロムめっきで、金属クロムを素材表面に析出させる電気めっき技術

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三価クロメート処理

亜鉛めっき後に三価クロム化合物で行う化成処理で、酸化クロムや水酸化クロムの保護皮膜を形成

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環境対応の共通点

両者とも有害な六価クロムを使用せず、RoHS指令に適合した環境配慮型の表面処理技術

三価クロムめっきの基本原理

三価クロムめっきは、塩化クロムや硫酸クロムなどの三価クロム化合物を使用したクロムめっき技術です。この技術では、三価クロム化合物を電気化学的に0価の金属クロムに還元し、製品表面に析出させます。処理後の皮膜は純粋な金属クロムであり、三価クロム化合物や六価クロム化合物は含有しないため、RoHS指令に適合します。
参考)Qhref="https://pr.mono.ipros.com/silvec/product/detail/2000583531/" target="_blank">https://pr.mono.ipros.com/silvec/product/detail/2000583531/amp;A:Q.3価クロムめっきと3価クロメートは違う処理ですか…

三価クロムめっきは、主に表層めっきとして施工され、ニッケルめっきの上にめっきすることが一般的です。母材については、めっきできる金属であれば選択肢は広く、鉄、ステンレス、銅合金などに対応可能です。従来の六価クロムめっきと比較して、作業者への毒性が低く、環境負荷も少ないことから、次世代のめっき技術として建築金物や装飾部品の分野で採用が進んでいます。
参考)三価クロムめっきとは?加工プロセスやクロメート処理との違いを…

三価クロメート処理の仕組み

三価クロメート処理は、亜鉛または亜鉛合金めっき後に行う化成処理技術です。処理方法は、亜鉛めっきした部品を三価クロムを含む化成処理液に浸漬することで実施されます。この処理により、亜鉛めっき表面に水酸化クロムや酸化クロムを骨格とした不活性な保護皮膜が形成され、耐食性が著しく向上します。
参考)三価クロメート処理の基本と応用:環境対応型表面処理技術の新た…

処理工程は「亜鉛めっき→水洗→活性化→水洗→三価クロメート処理→水洗→仕上げ→乾燥」という流れで行われます。活性化工程では0.2~1%の希硝酸に5秒程度浸漬し、めっき光沢剤を除去すると同時に亜鉛表面を活性化させます。乾燥は80℃で10分程度が標準的です。三価クロメート処理は、六価クロムを含まない化成皮膜を生成するため、環境規制に適合した表面処理として建築業界で広く普及しています。
参考)亜鉛及び亜鉛合金メッキ - メッキ・表面処理工程

三価クロムと三価クロメートの用途比較

建築事業者にとって重要な用途の違いを理解することで、適切な表面処理を選択できます。三価クロムめっきは、主に装飾目的で使用され、自動車の車内外装部品、スポーツ用品、釣具、電子機器など外観性を重視する製品に適用されます。膜厚は通常5μm以下で、厚付けが困難なため、美しい銀白色の外観を活かした用途が中心です。ただし、最近では応力緩和成分を合金化させることで30μmを超える厚付けめっきも可能になっており、MEMS(微細部品製造)などの電子部品用途への応用が進んでいます。
参考)硫酸ロジウムめっき液の特徴と用途

一方、三価クロメート処理は、主に鉄の防錆処理として普及しており、亜鉛めっき後の仕上げ工程として実施されます。建築金物、ねじ・ボルト類、鋼板など幅広い製品に適用され、屋外での使用や耐久性が求められる部材に最適です。色調は白色(銀白色、青白色、黄色がかった白)と黒色の2種類が基本で、用途に応じて選択できます。白色は塗装や装飾品の基礎処理に、黒色は高風圧や酸性環境にある機械部品に使用されることが多いです。
参考)三価クロム処理の会社53社 注目ランキング【2025年】

三価クロム処理における環境規制への対応

建築事業者が知っておくべき環境規制として、RoHS指令(Restriction of Hazardous Substances)が重要です。RoHS指令は、電気・電子製品における特定有害物質の使用制限をまとめたEUの法律で、六価クロムと鉛を含む10物質に対して使用制限がかかっています。2003年に公布され、2006年以降の六価クロム使用が禁止されたことで、クロメート化成処理鋼板のクロメートフリー化が急務となりました。
参考)クロメートフリー化成処理鋼板の開発動向と今後の展望

三価クロムめっきと三価クロメート処理は、いずれも最終製品に六価クロムを含有しないため、RoHS規制の対象外です。三価クロムめっきの場合、三価クロム化合物が電気化学的に0価の金属クロムに還元されるため、皮膜はステンレスなどのクロム含有合金と同等です。三価クロメート処理では、水酸化クロムや酸化クロムの化成皮膜が形成され、六価クロム化合物は含有しません。ただし、処理工程において六価クロムを使用するクロムめっき浴を用いる場合は、作業環境保全の観点から適切な管理が必要です。
参考)硬質クロムめっきの特性

三価クロム処理の色調と耐食性の関係

建築金物の選定において、色調と性能のバランスを理解することは重要です。三価クロメート処理には基本的に白と黒の2色が存在しますが、白といっても幅が広く、青白い被膜、ステンレスのような銀白色、若干黄色い干渉色を帯びた薄い黄色まで「三価白」に分類されます。この色調の違いは、薬液、処理方法、処理時間などの設定により調整可能です。
参考)三価クロメートとは?種類や特徴、六価クロメートとの違い|金属…

色調による耐食性能については、当初は青白では耐食性が劣り、黄色い方が高耐食であると言われましたが、これは化成処理皮膜の厚さの違いによるものです。青い方が皮膜が薄く、黄色い方が皮膜が厚いため、耐食性に差が生じます。三価クロメート処理の防食能は基本的にCr水和酸化物保護層が担っているため、厚膜化によって実用的な防食能を持った皮膜を得ることができます。三価黒クロメートは、従来の黒色クロメートと同等の耐食性が期待され、高風圧や酸性環境にある機械部品での使用に適しています。
参考)三価クロメートの色の変化が示す重要な意味とは? - カナメタ…

三価クロムめっきの色調については、六価クロムめっきとは異なり、やや黄色味を帯びた明るいシルバー、または黒味のあるシルバー色をしています。色味はメーカーによって異なるため、実際の建築プロジェクトで使用する際は、事前にサンプルを確認することが推奨されます。
参考)無電解ニッケルめっき、三価クロムめっきとは?表面処理について…

<参考情報>
三価クロメート処理の詳細な工程管理については、日本表面技術協会の技術資料が参考になります。

 

亜鉛めっき用3価クロム化成処理(表面技術協会誌)
環境規制に関する最新情報は、経済産業省のRoHS指令対応ガイドラインを確認してください。

 

経済産業省 RoHS指令関連情報
建築金物の表面処理選定については、日本建築金物協会の技術資料が実務に役立ちます。

 

三価クロメートと六価クロメートの表面処理方法の違い