

石材用撥水剤は、大きくシリコン系、フッ素系、アクリル・ウレタンなどの樹脂系、ワックス系に分類され、それぞれ撥水性や耐候性が異なります。 シリコン系は耐候性と撥水性のバランスが良く、紫外線や温度変化にさらされる外装石材にも使われ、フッ素系は防汚性と滑水性、耐薬品性に優れ、重汚染環境や高級仕上げに採用されるケースが多くなります。 一方、ワックス系は表面に皮膜を作り短期的な艶出しや保護が目的で、耐久性は低いため、建築石材の長期保護よりも簡易メンテナンス用途として位置付けられます。
石材用撥水剤の中でも「浸透型」と「被膜型」の違いは、設計思想に直結します。 浸透型は成分が石材内部に入り込んで親水性の毛細管を疎水化し、見た目をあまり変えずに吸水を抑えるのに対し、被膜型は表面に硬いコート層を形成して、撥水と同時に傷や汚れから守る役割を持ちます。 ただし被膜型はガラスコーティングのように高硬度になるものもあり、下地の動きに追従できないと、クラックや剥離のリスクがあるため、下地条件と使用環境を精査したうえで採用を判断する必要があります。miyaki-inc+4
石材用撥水剤の成分リストを見ると、フッ素樹脂と特殊シリコーンを組み合わせた複合処方や、低VOC溶剤の採用など、環境規制を意識した設計が増えています。 特にPFAS規制の流れから、従来の一部フッ素化合物を避け、シリコーン側の性能を高めた代替品の検討が進んでおり、今後は「どのフッ素か」を意識した製品選びが重要になる可能性があります。 建築従事者としては、単に「フッ素=高性能」と見るのではなく、安全性や規制動向も含めたトータルのリスク管理を仕様書に反映させたいところです。nissili+3
石材用撥水剤を最大限に活かすには、石種の吸水性と表面仕上げを把握したうえで、施工手順を組み立てることが前提になります。 多孔質な砂岩やライムストーンは吸い込みが激しく、浸透型撥水剤をウエットオンウェット(二度塗り連続塗布)でしっかり浸透させる必要があり、研磨された御影石のような緻密な石では過剰塗布によるムラやベタつきに注意が必要です。 墓石や床石では、施工前に苔や水垢を除去し、十分な乾燥時間を確保しないと、薬剤が均一に浸透せず、斑状の濡れ色や白化が発生しやすくなります。
コンクリート下地やレンガと石材を組み合わせた外構では、下地の含水率管理が見落とされがちです。 石材用撥水剤の技術資料では「下地が濡れている場合は基本的に塗布できない」「よく乾燥していないと密着不良、変色、白化の原因になる」と明記されており、施工温度や下地乾燥を無視するとトラブル率が跳ね上がります。 施工可能温度が5〜35℃などと指定されている接着剤やコート剤も多いため、冬季や夜間作業では、下地温度が想定より低くなっていないか、非接触温度計などで確認する運用が現実的です。advan+2
見逃されやすいポイントとして、「周辺基材の養生」と「水のかかり方の想定」があります。 撥水剤がガラスやアルミサッシに付着すると、虹ムラや曇りが残るケースがあり、マスキングを惜しむと仕上げ後のクレーム要因になりかねません。 また、塗布後少なくとも24時間は雨水や散水がかからないようにすることが推奨されており、バルコニーや外構では他 trades の作業動線や清掃水の流れも事前に調整しておくと安全です。s-bic+1
石材用撥水剤の効果持続期間は、製品タイプと使用環境によって大きく変わり、一般的な浸透型では3〜5年程度を目安とする記載が多く見られます。 一方で、墓石向けの高耐久コーティングでは「10年以上の耐久」を基本性能とする製品もあり、「撥水が続いている期間」と「石材の劣化を抑えている期間」が必ずしも一致しない点が現場では誤解されがちです。 つまり、目視で水弾きが弱まっていても、内部への水の吸い上げはある程度抑制されているケースがあり、効果判定を撥水だけに頼ると判断を誤る可能性があります。
再施工のタイミングを判断するためには、いくつかの劣化サインに注目することが有効です。 例えば、水滴が弾かずに表面に広がる、表面の艶が消えて濡れ色が薄れる、汚れや黒ズミが付着しやすくなったといった現象は、撥水剤の効果低下の兆候として扱われています。 特に凍結融解が繰り返される寒冷地では、吸水により石材内部で凍結膨張が起きると微細なクラックが進行しやすく、撥水性能の低下を放置した場合の損傷リスクが高まります。ohmura-trading+2
メンテナンスの際には、既存の石材用撥水剤の種類と施工履歴を可能な限り把握することが重要です。 フッ素系の上にシリコン系を重ねる、あるいは逆の組み合わせでは、相溶性の問題で密着不良やムラが発生する場合があり、メーカーも「既存被膜を可能な限り除去する」ことを前提とした再施工を推奨することが少なくありません。 クリーニングでは、強アルカリ洗浄で石材表面を過度に荒らさないようにしつつ、油分や旧ワックスを丁寧に落とすことで、新しい撥水剤の浸透・密着を安定させることができます。monotaro+2
近年の石材用撥水剤では、PFAS規制を背景に、従来のフッ素系コーティング剤からシリコーンを中心とした処方へシフトする動きが強まっています。 シリコーンは撥水性と耐候性に優れ、紫外線や熱、湿気に対して性能が劣化しにくい一方、非粘着性や難燃性など、従来フッ素樹脂が担ってきた機能の一部も代替できることから、建築用途での採用検討が増えています。 ただし、すべての性能を一対一で置き換えられるわけではないため、要求性能の優先順位を整理したうえで、どの物性を重視するかを設計段階で決めることが求められます。
環境負荷低減の観点からは、溶剤型から水系や低VOC型への切り替えも進んでいます。 水系は作業者の安全性や臭気対策の面で優れますが、石材への浸透性や乾燥条件に制約が出る場合があり、特に低温・高湿度環境では乾燥不良による白化やムラに注意が必要です。 また、フッ素樹脂とシリコーンを組み合わせた複合撥水剤では、少量で高い撥水・防汚性能を確保しつつ、石材の色や質感をほぼ変えない「ナチュラル仕上げ」を実現した製品も登場しており、意匠性を重視する外装や床材での引き合いが増えています。miyaki-inc+3
実務的な観点では、石材用撥水剤の安全データシート(SDS)や技術資料を現場で共有し、施工者が成分や危険物区分を把握したうえで保管・廃棄を行うことが重要になります。 第4類危険物に該当する溶剤を含む製品では、倉庫の保管量や換気設備、火気の管理などが消防法上のチェックポイントとなり、規模によっては事前協議が必要になるケースもあります。 こうした法令対応や環境配慮は、仕様書の片隅に追記するだけでなく、施工計画書やリスクアセスメントの中で明示することで、元請・下請双方のリスクを減らすことができます。nissili+2
石材用撥水剤は、従来「仕上げ材の一工程」として片付けられがちですが、長寿命化やLCC(ライフサイクルコスト)を重視する建築では、BIMモデルや維持管理計画に組み込むことで価値が高まります。 例えば、外装石材の部位ごとに使用した撥水剤の種類・施工日・想定耐久年数をBIM属性として登録しておけば、数年後に「どの面から優先して再施工すべきか」を定量的に判断でき、足場計画や予算配分に反映しやすくなります。 墓所やモニュメントのような長期利用のストックでは、10年以上のコーティング耐久と定期洗浄サイクルを組み合わせた「メンテナンスパッケージ」としてオーナーに提示することで、初期の仕様説明もわかりやすくなります。
また、石材用撥水剤の性能検証結果を、維持管理フェーズで蓄積していくことも重要です。 例えば、同一現場内で日射条件や雨掛かり条件の異なるファサードごとに、撥水低下のタイミングや汚れの出方を記録しておけば、次回案件の仕様決定時に「この方角・この高さでは、浸透型+トップコート併用が有利」といった具体的な判断材料になります。 こうしたフィードバックループを意識的に回すことで、石材用撥水剤は単なる材料選定の一項目から、「建物全体の耐久性と維持管理性をコントロールするツール」へと位置付けを変えていくことができます。meistone+2
石材用撥水剤をBIMやCM(コンストラクションマネジメント)の文脈に取り込む際には、「撥水の有無」だけでなく、「再施工周期」「清掃方法」「検査方法(接触角測定や散水試験の簡易基準)」などもセットで情報化することが望ましいです。 その結果、設計・施工・維持管理の各フェーズで同じ情報を共有でき、仕様変更や製品廃番への対応もスムーズになります。 こうした運用はまだ一般的ではありませんが、石材を多用する大規模案件ほど、長期的なコストと品質の両面でメリットが大きくなるはずです。s-bic+3
墓石や外装石材の基礎的なコーティング知識と耐久性の考え方の参考になります。
誰も語らなかった墓石コーティングの基礎知識(マイストーン)
石材用浸透性保護剤・防汚剤の施工手順や注意点、養生方法などの詳細な技術情報が掲載されています。
建築石材用浸透性保護剤・防汚剤(簡易施工タイプ) 技術カタログ(ミヤキ)
フッ素代替としてのシリコーンの特性やPFAS規制の概要など、撥水コーティング材料の最新動向の理解に役立ちます。
PFAS規制とは?フッ素代替で注目されるシリコーンの特性と用途(日信シリコーン)

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