

建築の塗装・シーリング周りで起きる「はじき」「クレーター」は、表面に残った油分やシリコーンが塗料を押しのけ、塗膜が収縮する現象として説明できます。
シリコーンは撥水性や離型性など“付着しにくい”性質を持ち、塗膜形成と相性が悪い一方で、コーキング等を含め用途が広く、現場での混入経路が多いのが厄介です。
特に厄介なのは、付着量が少ないほど発見が遅れやすい点で、作業者が「触っただけ」「同じウエスで拭いた」「スプレーの飛散が回った」程度でも不良が出ることがあります。
原因の代表例(現場で多い順に疑う)
脱脂は「溶かす」工程で終わらせず、「回収して捨てる」までをセットで考えるのが基本です。
塗装前に脱脂が不足すると、はじきや凹みなどの不具合につながる、というメーカーQ&Aの指摘は現場感覚とも一致します。
また、単発の拭き取りでは残留リスクが残るため、IPA等も含めた二重脱脂の考え方が、はじき再発防止の文脈で語られています。
推奨フロー(例:金属・硬質基材の一般的な前処理)
やってはいけない例(再発率が高い)
シリコーン除去脱脂剤は有機溶剤を含むことが多く、換気・手袋・火気厳禁といった基本安全が必須です。
引火性は液体だけでなく蒸発ガスも問題になり得るため、火気源の隔離や静電気・スパークも含めた管理が必要です。
さらに、現場の「安全管理」を一段上げるなら、有機溶剤中毒予防規則(有機則)が“全ての有機溶剤を規制するのではなく”、特定の有機溶剤を一定量(混合物で重量5%超など)含むものを対象にしている、という整理が役立ちます。
作業前に確認したいチェック(SDSとセットで)
脱脂が効いているかは、経験だけでなく“簡易評価”を入れると再発防止に直結します。
例えば、脱脂洗浄後に墨汁を塗布して弾き具合を見る方法は、油が残っていると均一に塗れず弾く、という考え方の簡易判定として紹介されています。
また、塗装不良の再発防止策として「水張りテスト」など、表面の濡れ広がりで残留を検出するチェック項目が言及されています。
現場で使える「判定のコツ」
検索上位の解説は「脱脂剤を使う」「換気する」で止まりがちですが、実務で差がつくのは“シリコーンは溶ける/溶けない”ではなく「膨潤」という中間挙動を理解することです。
硬化したシリコーンは洗浄剤で“溶解”できない場合でも、膨潤(液体を吸って体積が増える)させると剥がれやすくなり除去につながる、という説明は工程設計のヒントになります。
つまり、除去が難しい現場では「薬剤を変える」以前に、接触時間(湿布・ウェット保持)や、膨潤後の物理除去(スクレーパー/ブラッシング)を前提に段取りを組むと成功率が上がります。
“意外と効く”現場改善(建築向けの運用アイデア)
シリコーンの性質(表面張力の低さ、離型性、種類と用途、膨潤という除去メカニズム)がまとまっている参考
https://www.sankyo-chem.com/news/post-12564/
塗装前脱脂の不足で「はじき」などの不具合が起きること、素材によって使用回避が必要なことの参考
https://www.holts.co.jp/prods/detail/1262
有機則が何を対象にし、混合物の含有率や区分の考え方が整理されている参考
「有機溶剤中毒予防規則(有機則)」について|お問合せ|試薬-…