シリコーンシーリング材と目地施工耐久性

シリコーンシーリング材と目地施工耐久性

記事内に広告を含む場合があります。

シリコーンシーリング材と目地

シリコーンシーリング材の要点
🧱
目地は「設計」と「施工」がセット

目地幅・目地深さ・2面接着の成立が、耐久性と不具合率を大きく左右します。

🎨
外壁塗装との相性に注意

シリコーン系は塗料をはじきやすく、汚染や剥離の原因になりやすい点が実務の地雷です。

🦠
水回りは防カビ・抗菌の選定が効く

防カビ・抗菌タイプや、用途特化(クリーンルーム等)の「低分子シロキサン」対策品もあります。

シリコーンシーリング材の目地幅と目地深さ設計


シーリングは「隙間を埋めれば終わり」ではなく、目地幅と目地深さの設計で寿命がほぼ決まります。セメダインの解説では、目地深さ(シーリング材の厚さ)は目地幅との関係(形状係数)と必要接着面積から決定し、許容範囲に収める考え方が示されています。特にシリコーン系の目地幅は、表の許容範囲として最小値と最大値が提示されており、無理な細目地・太目地は避けるべきだと読み取れます。
現場で起きがちなのが「目地が深すぎる」ケースです。深すぎる目地は単純に材料が増えてコスト高になるだけでなく、適切な変形追従の形(くびれ)を作れず、動きの集中や割れ方が不安定になりやすいです。目地深さを狙い値に整えるためにバックアップ材を入れる、という発想がここで重要になります。


参考)コーキング(シーリング)用のバックアップ材とは?使い方やサイ…

参考:目地幅・目地深さの基本設計(許容範囲、形状係数の考え方)
セメダイン「目地の設計」

シリコーンシーリング材の2面接着と3面接着・バックアップ材

ムーブメントがある目地で、3面接着(両側面+目地底に接着)になってしまうと、伸縮時に応力が集中しやすく不具合の起点になります。窯業系サイディングの標準施工でも、目地には動きが発生するので3面接着を避けて2面接着にする、と明確に書かれています。
2面接着を成立させる具体策が、バックアップ材(またはボンドブレーカー)です。バックアップ材は目地の深さを調整する目的で使い、結果として2面接着を作れる点がメリットとして説明されています。さらに、国交省の仕様書を参考に「接着剤付きは目地幅より1mm程度小さく、接着剤なしは2mm程度大きく」というサイズ選定の目安も示されています。kentikuhyojyunsiyoh31.blogspot+1​
ここは「慣れ」で流されやすい工程ですが、施工後に見えなくなるからこそ仕様を守る価値があります。バックアップ材の押し込みが強すぎて凹凸や傷が出ると、シール厚が局所的に薄くなり、そこが早期破断点になります。カタログ・仕様書が求める「所定の深さ」「2面接着」を形として作るのが、結果的にクレームを減らす最短ルートです。sho-han+1​
参考:3面接着を避けて2面接着にする根拠(業界標準の説明)
窯業系サイディングの標準施工「シーリング工事」

シリコーンシーリング材と外壁塗装・汚染・はじき

外壁・屋根まわりの補修でホームセンター品のシリコーン系を使うと、後工程の塗装で「はじき」「付着不良」が起きやすい、という問題が繰り返し指摘されています。塗装メーカー系のFAQでも、シリコーン系シーリング材の上には塗料が密着しない旨が明言されています。ここは材料の善し悪しではなく、相性問題として理解しておくのが安全です。
さらに厄介なのが、汚染です。ある解説では、シリコーン系シーリング材には「シリコーンオイル」と呼ばれる油成分が含まれ、疎水性が高く揮発しにくいこと、経年の降雨などで目地周辺ににじみ出て汚れやすくなる(排気ガスのカーボン等が付着しやすい)と説明されています。これにより、見た目の黒ずみ・スジ汚れが「施工不良扱い」される事故も起こり得ます。


参考)塗装や補修工事で使っていけない?「シリコーン系シーリング材」…

塗装の工程設計としては「先打ち」「後打ち」の考え方があり、塗膜割れや剥がれのリスク、シーリングの紫外線劣化の進み方など、トレードオフで選ぶ必要があります。シーリング上の塗装は、目地の動きが大きい部分で塗膜割れが起きやすい点も指摘されています。つまり、塗るか塗らないか以前に「そこは動く目地か」「塗膜が追従できる仕様か」を決めなければ、議論が空回りします。


参考)[プロが解説!]シーリングの上に塗装しても大丈夫?

参考:シリコーン系が塗装に不向きな理由(はじき・汚染の説明)
AP Online「シリコーン系シーリング材は塗装や補修で使っていけない?」

シリコーンシーリング材の防カビ・抗菌と水回り

浴室・洗面・キッチンなど水回りでは、単に「シリコーンだから耐水」では足りず、防カビ・抗菌のグレード選定が効いてきます。メーカーのQ&Aでは、防カビ用シリコーンシーリング材は水回りで使うために防カビ性能を付加して開発されたこと、さらに抗菌性能を付与した製品(抗菌・防カビ用)があることが説明されています。
衛生要求が高い現場(病院・食品工場・バイオクリーンルーム等)では、別の理由で「シリコーン」を嫌うケースもあります。それが低分子シロキサン(副生成物)の揮散で、精密機器やクリーン環境では汚染要因になり得るため、揮散を抑えたクリーンルーム用シリコーンシーラントが紹介されています。一般建築の水回りとは別世界に見えますが、「同じシリコーンでも何を抑える設計か」が違う、という気づきは材料選定の精度を上げます。


参考)信越シリコーン|Q. 建築用シリコーンシーリング材(シーラン…

水回りの実務では、カビを「生えにくくする」だけでなく、「清掃で落ちやすい状態を保つ」ことが重要です。カビ取り剤を多用すると周辺部材(樹脂・金属・塗装面)を傷める場合があるため、最初から防カビタイプを選び、換気計画や清掃導線とセットで設計しておく方が結果的に安上がりになりやすいです。

参考:防カビ・抗菌、低分子シロキサン対策(用途別の製品思想)
シリコーン.jp Q&A「建築用シリコーンシーリング材について」

シリコーンシーリング材の独自視点:クリーンルーム由来の発想で「現場のにおい・腐食」を減らす

検索上位の多くは「外壁に使うな」「塗装できない」で終わりがちですが、シリコーン系の世界には“におい・腐食・揮散”の設計思想があります。低分子シロキサンを抑える話はクリーンルーム用途の文脈で語られますが、実は一般の改修現場でも「室内での臭気クレーム」「電子機器周辺の施工」「金属との相性」といった別の地雷回避に応用できます。少なくとも、メーカーが揮散ガスを測定し、低分子シロキサンを抑えたタイプを提示している事実は、材料選定に“耐候・耐水だけではない軸”があることを示しています。
また、バックアップ材の寸法基準(1mm小さく/2mm大きく)や、2面接着を仕様として押さえる考え方は、見た目ではなく「応力の逃がし方」の設計です。こうした“見えない品質”にこだわると、同じシリコーンシーリング材でも不具合率が大きく変わります。特にワーキングジョイントで3面接着になっている現場は、見つけた時点で将来の破断をほぼ内包しているため、監理側としても早期に是正判断がしやすくなります。siding+1​
最後に、外壁まわりの実務で重要なのは「シリコーン=万能」という思い込みを捨て、用途を限定して強みを最大化することです。塗装が絡む外装目地では相性問題が出やすい一方で、水回りの防カビ・抗菌や、用途特化(揮散低減など)の世界では、シリコーン系が選ばれる理由が明確に存在します。材料の“弱点”を知った上で“活かす場所だけに置く”ことが、建築従事者として最も再現性の高い運用になります。paint-city+1​




セメダイン 防カビ剤入り JISシリコンシーラント 8070プロ ホワイト SR-230 330ml