スペーサー コンクリート かぶり厚確保で施工品質向上

スペーサー コンクリート かぶり厚確保で施工品質向上

記事内に広告を含む場合があります。

スペーサー コンクリート かぶり厚確保

この記事で分かること
📏
スペーサーの役割と重要性

鉄筋のかぶり厚確保により構造物の耐久性を向上させる基本機能

🔧
種類と材質の選定基準

コンクリート製・プラスチック製など使用箇所に応じた適切な選び方

⚠️
施工不良の防止策

配置間隔や固定方法など現場で押さえるべき品質管理のポイント

スペーサー コンクリート かぶり厚の基本機能

コンクリート工事におけるスペーサーは、鉄筋と型枠の間に設置して適切なかぶり厚を確保するための重要な部材です。かぶり厚とは、鉄筋表面からコンクリート表面までの最短距離のことで、鉄筋を錆から保護し構造物の耐久性を維持する上で不可欠な要素となります。
参考)https://doboku-koji.com/rebar-spacer/

スペーサーの主な役割は以下の2点です。第一に、鉄筋を設計図に示された所要の位置に正確に配置すること。第二に、建築基準法や土木学会示方書で定められた適切なかぶり厚を確実に確保することです。特に土に接する部分では60mm以上のかぶり厚が必要とされ、これを確保できなければ構造物の安全性に重大な影響を及ぼします。
参考)https://nakatanikiko.com/cover_thickness/

コンクリート打設時には鉄筋の上を歩く作業が生じるため、スペーサーは鉄筋の位置を固定する機能も果たします。打設中の型枠の変形や側圧によって鉄筋が移動するリスクがありますが、適切に配置されたスペーサーがこれを防ぎます。スペーサーの設置が不十分だと、コンクリート打設中に鉄筋が移動してかぶり不足が発生し、最悪の場合は工事がストップする事態にもなりかねません。
参考)https://concom.jp/contents/countermeasure/concrete/cat04_vol9.html

スペーサー コンクリート 種類とサイズ規格

コンクリートスペーサーには材質と形状によって多様な種類があります。材質別では、コンクリート製(モルタル製)、プラスチック製、鋼製に大別され、それぞれ異なる特性を持っています。
参考)https://nakatanikiko.com/rebar_spacer/

コンクリート製スペーサー(サイコロ)の特徴
コンクリート製スペーサーは最も基本的なタイプで、建築・土木ともに広く使用されています。通称「サイコロ」と呼ばれ、圧縮強度は設計基準で50N/mm²以上が求められます。打設コンクリートと線膨張係数が同じため温度変化による隙間が生じにくく、付着力に優れています。
参考)https://www.monotaro.com/k/store/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%88%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%83%BC/

サイズは多様で、代表的なものとして以下の規格があります:
参考)http://www.flex-system.co.jp/product/2731.html

  • 30×40×50mm(小型)
  • 40×50×60mm(標準)
  • 50×60×70mm(標準)
  • 60×70×80mm(中型)
  • 70×80×90×100mm(溝付き大型)
  • 100×100×100mm(大型)

溝なしタイプと溝付きタイプがあり、溝付きは高さ調整が可能で複数のかぶり厚に対応できます。重量は製品により140g~7,800gまで幅広く、施工箇所に応じて選定します。
参考)https://www.nabe-san.co.jp/pages/30/

プラスチック製・鋼製スペーサーの特徴
プラスチック製は軽量で扱いやすく比較的安価なため広く普及しています。ドーナツ型やブロック型など形状バリエーションが豊富で、色分けによりサイズ識別が容易です。ただし、土木工事において型枠と接する部分にはモルタル製またはコンクリート製の使用が原則とされています。​
鋼製スペーサーは金属製でプラスチック製より強度が高く、コンクリート製に比べて軽量という利点があります。高い強度と精度が求められる箇所に使用されますが、錆の発生リスクがあるため使用環境の選定が重要です。
参考)https://overseas-assignment.com/entry/spacer

スペーサー コンクリート 配置基準と設置個数

スペーサーの配置個数と間隔は、構造物の部位によって明確な基準が定められています。適切な配置を行わないと、かぶり厚不足による品質問題が発生するリスクが高まります。
参考)https://concom.jp/contents/seminar/201910/pdf/material03.pdf

配置個数の基準
土木学会コンクリート標準示方書および国土交通省の品質確保要領では、以下の配置基準が示されています:
参考)https://www.jsce.jp/pro/node/1459

  • 構造物の底面:1㎡あたり4個以上(原則)
  • 構造物の側面:1㎡あたり2個以上(原則)
  • 梁・床版:1㎡あたり4個程度
  • 壁・柱:1㎡あたり2~4個程度

より具体的には、50cm間隔の千鳥配置が推奨されています。この配置パターンに従えば、1㎡あたり約4個となり基準を満たすことができます。​
部位別の配置要領
各部位における詳細な配置基準は以下の通りです:
参考)https://inui-sangyo.co.jp/storage/2024/02/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%83%BC%E8%B3%87%E6%96%99%EF%BC%92.pdf

  • 壁側面:0.6個/㎡程度
  • 地下外壁:中段は上段より1.5m下、横間隔は1.5m程度、端部は1.5m以内
  • :柱幅1.0mまで2個、1.0m以上で3個
  • スラブ:上端筋・下端筋それぞれ1.3個程度

スペーサーの個数は鉄筋組み立て完了時の段階確認で必ず確認する必要があり、これを怠ると後工程での是正が困難になります。配置が不十分な場合、コンクリート打設時の側圧や鉄筋の移動によりかぶり不足が発生します。
参考)https://www.pref.saga.lg.jp/kiji00326131/3_26131_278789_up_qk4il0g8.pdf

スペーサー コンクリート 材質選定と使い分け

スペーサーの材質選定は、使用環境や求められる品質に応じて行う必要があります。それぞれの材質には明確なメリットとデメリットがあり、適切な使い分けが構造物の品質を左右します。​
コンクリート製(モルタル製)の特性
コンクリート製スペーサーの最大の利点は、打設コンクリートとの一体性の高さです。線膨張係数が打設コンクリートと同様なため、温度変化による躯体との隙間が生じにくく、空気・水・海水などの浸入を最小限に抑えます。本体のコンクリートと同等以上の品質を有することが重要で、圧縮強度試験はJIS A 1108「コンクリートの圧縮強度試験方法」に準拠して実施されます。
参考)http://www.art-space.jp/spacer01.html

ただし、重量があるため運搬や取り扱いに労力を要し、衝撃に対して割れやすいという弱点もあります。特に高強度コンクリートを使用する場合は、設計基準強度以上のスペーサーを選定する必要があります。
参考)https://note.com/henamamearch/n/nd72e603e18d8

プラスチック製と鋼製の適用場面
プラスチック製スペーサーは軽量で扱いやすく、価格も比較的安価なため広く使用されています。色分けによるサイズ識別が可能で、現場での作業効率が高いのが特徴です。ただし、コンクリートとの熱膨張率の違いから微細なひび割れの原因になる可能性が指摘されており、重要な構造物では注意が必要です。​
鋼製スペーサーは高い強度と精度が求められる箇所に適しており、金属製のためプラスチック製より強度が高く、コンクリート製に比べて軽量というメリットがあります。デッキプレートに溶接して使用するパテントスペーサーなど、特殊な施工条件に対応できる製品も存在します。
参考)https://www.okabe.co.jp/assets/pdf/catalog_patent_spacer_2501.pdf

土木工事では、型枠と接する部分にモルタル製あるいはコンクリート製の使用が原則とされており、これは構造物の耐久性確保の観点から定められた重要な規定です。​

スペーサー コンクリート 施工不良防止の実務ポイント

スペーサーの設置不良は、かぶり厚不足という深刻な品質問題を引き起こします。実際の施工現場では、スペーサーの配置や固定が不十分だったために工事が数ヶ月停止した事例も報告されています。
参考)https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/03081/012700001/

かぶり不足が発生する典型的な原因
実際の事故事例から、以下のような原因が明らかになっています:​

  1. スペーサーの固定不良:鉄筋とスペーサーが堅固かつ正確に組み立てられていないため、コンクリート打設時にスペーサーが移動や脱落する
  2. 配置個数の不足:規定の1㎡あたりの個数を確保していても、配置位置が偏っていると効果が得られない
  3. 型枠支保工の不足:パイプサポートなどによる型枠の支持が無いと、打設時の側圧で型枠が変形し鉄筋が移動する
  4. 打設方法の不適切:局所的に一気に打ち上げ過ぎると型枠に過度の偏った側圧が作用する

特に、ロケットタイプなど型枠接触面が細いスペーサーは、コンクリート打設時の圧力で動きやすいため注意が必要です。​
品質確保のための実務対策
確実なかぶり厚確保のためには、計画段階から施工、検査まで一貫した品質管理が必要です。設計かぶりと使用箇所に合ったスペーサーを選定し、計画に沿った設置箇所と個数を確保することが基本となります。
参考)https://chuosangyo.web.fc2.com/techimp.pdf

鉄筋組立完了時の段階確認では、スペーサーの個数だけでなく配置位置も確認します。メジャーを使わなくても型枠から鉄筋までの距離を簡単に測ることができるよう、スペーサーのサイズは色分けされており、場所によってかぶり厚が異なる場合も施工ミスを避けることが可能です。
参考)https://www.sugiura-sugitetsu.jp/column/doboku-tekkin/2502

バイブレーターの使用が不適切だと、窓開口部や鉄筋・型枠工事部材(セパレーター、スペーサー)の下部などに打設不良が生じるため、打設時の締固め作業も適切に行う必要があります。
参考)https://kekkan-fukuoka.com/column_report/202501242153153996.html

意外と知られていない注意点として、バルコニースラブ底面など屋外に面する部分では、特に耐久性の高いスペーサーの選定が重要になります。このような箇所では、コンクリート製で設計基準強度以上のものを使用することで、長期的な構造物の品質が保証されます。​
アートスペース株式会社のコンクリートスペーサー技術資料 - スペーサーの詳細な仕様と性能基準の参考情報
土木工事における鉄筋スペーサーの実務解説 - 現場監督の視点から見た配置基準と施工管理のポイント
鉄筋のコンクリートかぶり厚不足事例 - わずか5mmの不足で工事が5ヶ月停止した実例から学ぶ品質管理の重要性