

低粘度エポキシ樹脂注入材の最大の特徴は、毛細管現象を生かして0.2mm前後、場合によっては0.1mmを下回るマイクロクラックにも浸透できる高い流動性にあります。この「流動性」は単にサラサラしているというだけでなく、低圧でも十分にひび割れの奥まで到達し、鉄筋背面や裏側の空隙まで接着できるかどうかを左右する指標として設計されています。
また、無溶剤の低粘度エポキシ樹脂は硬化時の収縮が小さく、注入後に再びクラックが開く「硬化収縮ひび割れ」を起こしにくいことも重要です。特に構造物補修では、硬化体の弾性率よりもまず接着力と収縮の小ささが求められるため、JISや土木系要領でも硬化収縮率に関する性能項目が設けられています。maff+2
さらに、低粘度エポキシ樹脂注入材は、ひび割れ補修だけでなくタイル・モルタルの浮き部の注入や連続繊維シート接着の下地処理など、多用途で使えるような設計になっている製品も多く、一本で複数の補修シーンをカバーできる点が費用対効果の面で評価されています。一方で、あまりにも低粘度だと、表面シーリングが不十分な場合に漏れやすく、注入材のロスや表面汚染のリスクが高まるため、単に粘度が低ければ良いわけではなく、工法とセットで性能を評価する必要があります。aponline+3
低粘度エポキシ樹脂注入材を選定する際の重要な指標のひとつが、JIS A 6024「建築補修用及び建築補強用エポキシ樹脂」への適合表示です。JIS A 6024では、注入エポキシ樹脂を「硬質形」「低粘度形」といった区分で整理し、用途に応じて流動性、可使時間、接着強度、硬化収縮などの性能を規定しています。現場でよく見る「硬質形・低粘度形・注入材1種適合」といった表記は、ひび割れ補修や浮き補修に対応できる性能を持つことを示す目安になります。
一方、農水省や国交省の土木系の施工管理要領では、ひび割れ注入工法の中で「低圧自動式樹脂注入工法」が一般的とされ、注入材の粘度や可使時間、硬化時間といった性能を、現場温度を踏まえて詳しく規定しています。例えば、気温が高いと粘度が下がり流動性は上がるものの、可使時間が短くなり作業性が悪化するため、30分以上の可使時間を確保するよう求める例が示されています。
参考)https://www.maff.go.jp/j/nousin/mizu/sutomane/attach/pdf/kaisuiro-9.pdf
あまり知られていないポイントとして、JISや要領では「流動性=粘度」だけでなく、ひび割れ幅と注入圧力のバランスも含めて流動性を評価していることが挙げられます。同じ低粘度でも、極端に細いクラックばかりを想定した設計なのか、それとも0.3~0.5mm程度のクラックも含めた汎用的な設計なのかで、注入圧と漏れ止めの条件が変わるため、カタログの「適用ひび割れ幅」の記載をよく確認することが大切です。abc-t+2
低粘度エポキシ樹脂注入材のJIS規格と概要がまとまっている資料です(JIS区分の意味を確認したいときの参考)。
建築補修用及び建築補強用エポキシ樹脂(JIS A 6024)
低粘度エポキシ樹脂注入材を用いたひび割れ注入工法は、基本的に「ひび割れ周辺の下地処理→表面シーリング→注入口・排出口の設置→注入→養生→仕上げ」の流れで進みます。自動式低圧注入工法の場合、ゴムの復元力やバネ力、空気圧を利用したカートリッジやパックを使い、0.4MPa以下の低圧でゆっくりと樹脂を送り込むのが一般的です。低粘度エポキシ樹脂は高い流動性のおかげで、低圧でもひび割れの奥まで到達しやすく、作業員の熟練度によるバラつきを抑えられる利点があります。
施工で見落としがちな点が、温度と可使時間の管理です。二成分系のエポキシ樹脂は、温度が高くなるほど反応が早まり、同じ製品でも夏場と冬場で粘度変化と可使時間が大きく変わります。メーカーの技術資料では、気温と粘度、硬化時間、可使時間の関係を表にして、例えば「20℃で可使時間30分」「30℃で20分」といった目安を提示していることが多く、一回の混合量を「可使時間内で使い切れる量」に抑えるよう注意喚起しています。j-cma+2
さらに、グリスポンプなどでの圧入時には「徐々に圧力を上げる」ことが重要で、いきなり高圧をかけると、低粘度であるがゆえに別のクラックやジャンカから思わぬ漏れが発生しやすくなります。経験豊富な施工者の中には、あえて最初はごく低圧で「通り」を確認し、漏れ箇所を補修してから本圧で注入するといった段階的な注入を行っているケースもあり、低粘度材ならではの現場ノウハウといえます。asahibond+2
低粘度エポキシ樹脂注入工法の概要や施工手順が平易に解説されています(施工フローのイメージを掴みたいときの参考)。
低粘度エポキシ樹脂注入材は、主にコンクリート構造物の微細なひび割れの補修、タイルやモルタルの浮き部への注入、ALCパネルのひび割れ補修などに用いられます。特に床・壁・天井など、あらゆる向きのひび割れに対して、刷毛塗りやローラー塗りで自己浸透させるタイプの浸透材もあり、従来の注入器具を使う工法よりも工程を大幅に簡略化できるケースが増えています。
一方、浮き補修では、低粘度タイプと高粘度タイプを現場状況で使い分けることが重要です。コンクリートとモルタルの浮き部を一体化する工法では、穿孔した孔からグリスポンプでエポキシ樹脂を注入し、その後ステンレスピンを挿入して固定する方法が一般的で、このときには高粘度エポキシ樹脂が使われることが多いとされています。低粘度エポキシ樹脂注入材をそのまま浮き補修に用いると、周囲の別のクラックやジョイントに流れ出てしまい、必要な箇所に十分な量が留まらないリスクがあります。aponline+1
あまり知られていない活用例として、低粘度エポキシ樹脂注入材をコンクリート保護施工や防水施工の下地処理として用い、微細なひび割れを事前に閉塞しておくことで、防水層の耐久性を高めるという使い方があります。この場合、後工程のモルタルやレジンモルタルの「タックコート」として低粘度エポキシ樹脂を組み合わせることで、層間剥離のリスクを減らしやすくなり、結果的にメンテナンス周期の延長につながると報告されています。abc-t+1
近年の低粘度エポキシ樹脂注入材では、従来に比べてVOC(揮発性有機化合物)の低減やF☆☆☆☆相当の室内空気環境性能を打ち出した製品も登場しており、建物の用途によっては環境配慮型の製品選定が求められるようになっています。JAIAの4VOC基準適合やF☆☆☆☆認定を受けた低粘度エポキシ樹脂は、特に学校や病院など、長時間滞在する利用者が多い施設の補修で安心感を提供できる点が評価されています。
作業者の安全性という観点では、低粘度エポキシ樹脂注入材は扱いやすい反面、皮膚や衣服に付着しやすく、硬化後は除去が難しいことが現場の悩みの種になりがちです。最近は、色付きのプライマーや蛍光顔料を少量配合して「どこまで塗ったか」「どこに漏れたか」を識別しやすくした製品もあり、発見しづらい微細な漏れを早期に見つけて対処できるよう工夫されています。alpha-kogyo+1
もう一つの独自視点として、低粘度エポキシ樹脂注入材を用いる現場で、作業者の疲労度とミスの関係に注目すると、可使時間の短い速硬化型を使うときほどミスが生じやすい傾向が見えてきます。土木系の資料では、速硬化型は「少量ずつしか練り混ぜできず作業性に劣る」と明記されており、夜間工事など時間制約が厳しい現場ほど、施工計画段階で作業員数とミキシング回数を余裕を持って見積もる必要があると指摘されています。
環境配慮型のエポキシ樹脂やF☆☆☆☆表示、4VOC基準についての背景が詳しく説明されています(室内環境への配慮を検討するときの参考)。
低粘度エポキシ樹脂注入材を選ぶ際には、「ひび割れ幅・深さ」と「注入方法(自動式低圧か、グリスポンプか、浸透塗布か)」、「構造物の重要度」を最初に整理しておくことが重要です。その上で、JIS A 6024の区分やカタログに記載された粘度、可使時間、硬化時間、硬化収縮率、接着強度、適用部位(床・壁・天井、屋内・屋外)をチェックリスト的に確認すると、現場条件に合わない製品を初期段階で除外しやすくなります。
トラブル事例として多いのは「表面シーリング不良による注入材の漏れ」「可使時間切れによる配管内硬化」「低温時の硬化不良」などです。特に自動式低圧注入工法では、カートリッジ内部での硬化が起きると装置自体が使用不能になることがあり、技術資料でも「一回の混合量は可使時間内に使い切れる量とする」ことが繰り返し注意されています。j-cma+2
あまり表に出ないものの、微細ひび割れに対する浸透型接着剤を使った場合に、表面だけが樹脂で閉塞され内部に空隙が残る「表面閉塞のみ」の状態となり、その後の再劣化を早めてしまうケースも指摘されています。このため、浸透型を用いる際は塗り回数ごとの浸透状況を実際に確認し、必要に応じて再塗布することが推奨されており、カタログでも塗り回数と確認方法が示されている場合があります。abc-t+1
低圧注入材の技術データや施工上の注意点が詳しく掲載されています(トラブル防止のための可使時間管理や圧送方法の参考)。

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