

トリマーは高回転のモーターとベースから成る電動工具で、木材の縁や面を「削る」「整える」ことに特化した小型ルーターと考えるとイメージしやすい。
主な構成はモーター部、ベース、コレットチャック(ビットをつかむ部品)、ベース高調整機構、スイッチ類で、グリップとベースを両手で保持する前提で設計されている。
トリマーで代表的に行う加工は、面取り、溝掘り、円切り、倣い加工(テンプレートに沿って削る)、段差の目地払いなどで、刃物を交換するだけで用途が大きく変わるのが特徴だ。westani+3
同じ「角を丸める」作業でも、かんなやサンダーより均一で再現性が高く、建具や造作の見切り、家具の縁など、仕上がり品質を揃えたい場面で威力を発揮する。
一般的なハンドトリマーは、利き手で本体グリップ、反対の手でベースを押さえ、両手で安定させるのが基本姿勢で、片手操作はブレとキックバックの原因になる。
作業時はベース全体を材料に密着させ、腰を落として足幅を広めに取り、トリマー本体だけでなく自分の重心も安定させると細かいブレを抑えやすい。
送り方向の鉄則は「材料は常にビットの左側」「基本は手前から奥へ」で、外周の面取りでは反時計回り、内側の穴や円切りでは時計回りが基本となる。toyonoshin+3
この原則を破って逆方向に動かすと、ビットが材料を前方に引き込む「逆走」が起きやすく、工具が跳ねて溝が蛇行するだけでなく、手首を持っていかれる危険が増す。nanisore-diy+1
木工トリマーでよく使うビットには、ストレートビット、丸面ビット、45度面取りビット、目地払いビット、テンプレートガイド用のガイドベアリング付きビットなどがあり、用途に応じて形状が決まっている。
接合部の段差取りにはローラー付き目地払いビット、家具の縁を柔らかく見せたい場合は丸面ビット、扉や天板のエッジをシャープにしたいなら45度面取りビットが定番だ。
切削量は「一度に深く入れない」が鉄則で、一般的な目安として1回あたり3mm以内に抑え、複数回に分けて狙いの深さまで削る。gokanbattery+2
一度に削る量が多いと、トリマーを押さえる力が増え、ビットの負荷、焦げ、ブレ、コレットチャックの歪みにつながり、結果的に仕上がりも工具寿命も悪化するため、浅く回数を分けた方が総作業時間は短く済むことが多い。toyonoshin+1
溝掘りでよくある失敗は「溝がまっすぐ通らない」「深さが途中で変わる」「出口で大きなバリが出る」といったもので、その多くは送り方向の誤り、ガイド不使用、一度に削り過ぎが複合して起きている。
ストレートガイドやフェンスを使い、材料をクランプでしっかり固定し、切削量を数回に分けて調整するだけでも、初回からの失敗率はかなり下がる。
現場でのバリ対策として有効なのが「出口だけ先に逆方向で軽くさらう」方法で、刃の進行方向と木目の関係で割れやすい出口側を先に少し欠いておくことで、本削り時の欠けを抑えられる。
参考)【木工トリマー】加工する時の基本的な知識と使い方。送り方向と…
深さがズレてしまった溝は、浅い方に合わせてもう一度通して均一にし、意匠的に許されるなら幅をわずかに広げて「意図した太さの溝」としてまとめるなど、仕上がり基準を現場判断で組み替える発想も重要だ。westani+1
安全面では保護メガネ、防塵マスク、耳栓の着用に加え、トリマー起動中にビットが材料に触れていないこと、スイッチオフ後に完全停止を待ってから置くことが基本動作として徹底されている。
キックバックや割れを防ぐために、材料を作業台にしっかりクランプ固定し、短い材や細い材は補助ベースや当て木を併用して「ベース面積を増やす」工夫がプロほど当たり前になっている。
作業精度と再現性を上げる方法として、トリマーテーブルを自作し、本体を逆さに固定してワークを動かすスタイルに変えるやり方があり、小さい部材や繰り返し加工で特に有効だ。
また、円切り治具やL字治具、テンプレートガイドを組み合わせることで、同じ寸法の開口や家具のパーツを量産しやすくなり、トリマーを「現場即興の工具」から「半固定の加工機」に変える意識が仕上がりの差につながる。
倣い加工は、あらかじめ合板などで作ったテンプレートにガイドベアリング付きビットを当て、テンプレートの形状をそのままワークに写し取る技法で、同じ形の部材を多数作るときに極めて効率が良い。
建具の開口やアール付きカウンター、手すりの持ち手など、手作業ではバラつきやすい曲線や繰り返し寸法も、テンプレートさえ精度良く作っておけば、トリマーで「コピペ」できるイメージで量産できる。
現場で差がつく使い方として、仕上げ前提の「見せ面」だけトリマーで軽く面取りし、裏側や見えない部分はサンダーと手加工で済ませるなど、時間のかけ方にメリハリをつける手法がある。e-arbre+1
さらに、硬い無垢材や集成材で焦げが出やすい部分は、あえてエッジを少し大きめにラフ面取りしてからサンディングで目を整えることで、トリマーの負荷を下げつつ「柔らかい当たり」の意匠を出すなど、工具の特性を踏まえた仕上げ配分が熟練者ほど巧みだ。toyonoshin+2
トリマーの基本構造と使い方、安全、ビット選びと失敗対策まで体系的にまとまっている解説として、基本から加工手順まで整理されており、本記事の「基本構造とできる加工」「正しい持ち方と送り方向」の補足に役立つ。
トリマーの使い方|基本構造から加工方法別の手順まで徹底解説
参考)https://www.genbaichiba.com/shop/pages/mag-20240628.aspx