山形鋼規格・寸法・形状・許容差・断面性能の完全解説ガイド

山形鋼規格・寸法・形状・許容差・断面性能の完全解説ガイド

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山形鋼規格

山形鋼規格の完全解説
📐
JIS G3192準拠の規格体系

等辺・不等辺山形鋼の寸法表と断面性能を完全網羅

⚖️
許容差と形状規定

建築用途での品質基準と許容限度の詳細

🔧
選定と設計ポイント

構造計算での断面性能活用と最適選定方法

山形鋼規格の基本体系とJIS G3192概要

形鋼の規格は、日本産業規格JIS G3192「熱間圧延形鋼の形状,寸法,質量及びその許容差」に基づいて統一化されています。この規格は、1989年に制定されたISO 657シリーズを技術的に改良した日本独自の規格として位置づけられています。
山形鋼は断面がL字形状を有する構造用鋼材で、一般にアングル材と呼ばれています。JIS G3192では、等辺山形鋼不等辺山形鋼の2種類に分類され、それぞれに詳細な寸法表と断面性能が規定されています。
規格の主要な特徴。

  • 📊 標準断面寸法の厳格な規定
  • ⚖️ 質量許容差±2.5%以内
  • 🔍 形状許容差の明確な基準
  • 📏 長さ規格(5.5m、6m~12m)の設定

この規格体系により、建築・土木・機械分野での設計計算において、統一された断面性能値を使用することが可能になっています。

山形鋼規格寸法表と断面性能の詳細解説

等辺山形鋼の規格寸法は、辺長(A×B)と厚さ(t)の組み合わせで表現され、最小20×20×3mmから最大250×250×25mmまでの豊富なサイズが規格化されています。
主要な等辺山形鋼規格寸法

辺長(mm) 厚さ(mm) 単位重量(kg/m) 断面積(cm²) 断面二次モーメント(cm⁴)
30×30 3.0 1.36 1.727 1.42
50×50 4.0 3.06 3.892 9.06
75×75 9.0 9.96 12.69 64.4
100×100 10.0 14.9 19.00 175
150×150 15.0 33.6 42.74 888
200×200 20.0 59.7 75.92 2,180

断面性能の計算式は以下のように規定されています:

  • 🧮 断面積(α):t(2A-t)+ 0.215(r₁²-2r₂²)×1/100
  • 📐 断面二次モーメント(I):αi²
  • 📏 断面二次半径(i):√I/α
  • 📊 断面係数(Z):I/e

これらの数値は構造計算において、曲げモーメント、圧縮・引張応力、座屈計算などの基礎データとして活用されます。

山形鋼規格の許容差と品質基準

JIS G3192では、山形鋼の製造品質を確保するため、詳細な許容差基準が設定されています。これらの許容差は、建築構造物の安全性と品質を保証する重要な要素です。
寸法許容差の詳細規定
辺長(A、B)の許容差。

  • 📏 50mm未満:±1.5mm
  • 📏 50mm以上100mm未満:±2.0mm
  • 📏 100mm以上200mm未満:±3.0mm
  • 📏 200mm以上:±4.0mm

厚さ(t)の許容差(辺長130mm未満の場合)。

  • ⚖️ 6.3mm未満:±0.6mm
  • ⚖️ 6.3mm以上10mm未満:±0.7mm
  • ⚖️ 10mm以上16mm未満:±0.8mm

長さと質量の許容差

  • 📐 長さ許容差:+50mm、-0mm
  • ⚖️ 質量許容差:±2.5%以内

これらの厳格な許容差基準により、設計値通りの構造性能が確保され、建築物の安全性が保たれています。特に耐震設計においては、これらの許容差が構造計算の信頼性に直結するため重要です。

山形鋼規格の建築設計における活用方法と選定基準

建築設計において山形鋼を選定する際は、荷重条件、使用環境、接合方法を総合的に検討する必要があります。構造計算では、規格化された断面性能値を用いて、応力度検定や変形計算を実施します。
選定における主要考慮事項
構造性能面。

  • 🏗️ 曲げ応力度:断面係数Zを用いたM/Z≤ft
  • 🔧 圧縮応力度:細長比λと座屈長さlkの検討
  • せん断応力度:τ≤fs(許容せん断応力度)

使用環境面。

  • 🌡️ 温度条件:低温脆性の検討
  • 💧 防錆処理亜鉛めっき、塗装仕様の選定
  • 🔥 耐火性能:耐火被覆の必要性判定

材質規格の選択

  • SS400:一般構造用(F値235N/mm²)
  • SM490:溶接構造用(F値325N/mm²)
  • SN400~SN590:建築構造用(地震力対応)

効率的な選定のためには、断面二次モーメントと単位重量の比(I/W)を指標とした最適化も重要です。これにより、軽量でありながら必要な剛性を確保できる経済的な設計が可能になります。

山形鋼規格の最新動向と特殊用途対応

近年の建築技術の進歩に伴い、山形鋼規格にも新たな展開が見られます。特に高強度鋼材の開発と、環境配慮型建築への対応が注目されています。

 

高強度山形鋼の展開
従来のSS400に加え、高強度鋼種の適用が拡大しています。

  • 🚀 SN590鋼:降伏点590N/mm²の超高強度材
  • ⚙️ TMCP鋼:制御圧延・制御冷却による高靭性
  • 🔬 低合金高張力鋼:Mn-Al系軽量高強度鋼

特殊表面処理材の規格化

  • 🛡️ 溶融亜鉛めっき山形鋼:耐食性向上(JIS G3302準拠)
  • ステンレス山形鋼:SUS304基準の多鋼種対応
  • 🎨 カラー山形鋼:意匠性を重視した着色処理材

軽量形鋼との棲み分け
JIS G3350軽量形鋼との使い分けが明確化されています:

  • 📊 従来山形鋼:主要構造部材(柱、梁、筋交い
  • 🪶 軽量山形鋼:二次部材(下地材、吊り材、ダクト支持)

デジタル技術との融合

  • 💻 3Dプリンティング対応:EN1.2709工具鋼での製造技術
  • 🖥️ CAD連携JIS規格準拠のデジタルライブラリ整備
  • 📱 BIM対応:Building Information Modelingでの詳細データベース化

これらの技術革新により、山形鋼規格は従来の構造材料の枠を超え、次世代建築技術のキーマテリアルとしての地位を確立しつつあります。設計者は最新の規格動向を把握し、プロジェクトの要求性能に最適な材料選定を行うことが求められています。

 

建築設備耐震設計・施工指針への適合性確保や、環境配慮型建築での炭素削減効果も、今後の山形鋼選定における重要な判断基準となるでしょう。