
SGP VDは水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管の中でも最も堅牢な構造を持つ配管材料です。この配管の最大の特徴は、JIS G 3452の黒管を原管として、内面と外面の両方に硬質塩化ビニルを施工している点にあります。
外面の硬質塩化ビニル被覆は特徴的な青色を呈しており、現場での識別が容易です。この青色は単なる着色ではなく、配管の種類を明確に区別するための重要な機能を果たしています。特に上水と雑用水の二系統配管が存在する現場では、誤接続を防ぐ重要な役割を担っています。
内面のライニングは硬質塩化ビニルが使用されており、これにより優れた耐食性を実現しています。従来のSGP管と比較して、内部のスケール付着がほとんど発生せず、長期間にわたって安定した水質を維持できる特徴があります。
構造的には、この内外面ダブルライニングにより、SGP VDは他のSGP-VAやSGP-VBと比較して外径が太くなる特徴があります。これは施工時の配管スペース計算において重要な考慮事項となります。
使用可能温度範囲は-5℃から40℃、耐圧は1.0MPaとなっており、一般的な給水配管の使用条件を十分に満たしています。
地中埋設配管において、SGP VDは他の配管材料と比較して圧倒的な優位性を持っています。その理由は、外面の硬質塩化ビニル被覆が土壌からの腐食に対して完全な防護を提供するためです。
地中環境では、土壌の酸性度や電解質の存在により、金属配管は深刻な腐食リスクに直面します。従来のSGP-VAの一次防錆塗装やSGP-VBの亜鉛めっきでは、長期間の地中埋設において十分な防護性能を発揮できません。
SGP VDの硬質塩化ビニル外面被覆は、以下の特徴により地中埋設に最適です。
施工面においても、青色の外面被覆により埋設後の配管位置確認が容易になり、将来のメンテナンス作業効率が向上します。また、他の配管との識別が明確なため、複数の配管が並行して埋設される現場での作業ミスを防ぐ効果もあります。
地中埋設におけるSGP VDの採用により、ライフサイクルコストの大幅な削減が期待できます。初期投資は他のSGP管より高額ですが、長期的な耐久性と低メンテナンス性により、総合的なコストパフォーマンスは非常に優秀です。
屋外露出配管におけるSGP VDの使用は、地中埋設と異なる特有の注意点があります。特に日本の気候条件下では、紫外線と温度変化への対応が重要な課題となります。
紫外線対策の重要性
硬質塩化ビニルは紫外線に対して比較的弱い特性を持っています。長期間の直射日光への曝露により、表面の劣化や変色が発生する可能性があります。そのため、屋外露出配管では以下の対策が推奨されます。
温度変化への対応
SGP VDの使用可能温度は-5℃から40℃となっていますが、屋外環境では日較差による熱膨張・収縮が配管にストレスを与えます。この問題への対策として。
継手部分の特別な注意
屋外露出配管では、継手部分が最も脆弱な箇所となります。SGP VDでは専用のPCPQK継手を使用しますが、屋外環境での長期使用には以下の点に注意が必要です。
これらの注意点を適切に管理することで、屋外露出配管においてもSGP VDの優れた性能を長期間維持できます。
SGP VDを選定する際には、SGP-VAおよびSGP-VBとの詳細な比較検討が必要です。それぞれの配管には明確な特性差があり、用途に応じた適切な選択が重要となります。
価格比較
材料費において、SGP-VAが最も安価で、SGP-VB、SGP-VDの順に高額になります。具体的な価格差は。
この価格差は外面処理の違いによるものです。SGP-VAは一次防錆塗装、SGP-VBは亜鉛めっき、SGP-VDは硬質塩化ビニル被覆という順に高度な表面処理が施されています。
性能比較表
項目 | SGP-VA | SGP-VB | SGP-VD |
---|---|---|---|
外面処理 | 一次防錆塗装 | 亜鉛めっき | 硬質塩化ビニル被覆 |
外観色 | 赤茶色 | 白色 | 青色 |
屋内使用 | ◎ | ◎ | △(高コスト) |
屋外露出 | × | ○ | ◎ |
地中埋設 | × | × | ◎ |
耐食性 | △ | ○ | ◎ |
継手 | PQWK | PQWK | PCPQK |
ライフサイクルコスト分析
初期投資では価格差が大きいものの、ライフサイクルコストで比較すると状況が変わります。
施工性の違い
SGP-VDは外径が太いため、既存の配管スペースに制約がある改修工事では注意が必要です。また、専用のPCPQK継手を使用するため、施工者には適切な技術習得が求められます。
用途別の推奨選択基準。
SGP VD配管の施工において、継手選定と接合技術は配管システム全体の信頼性を左右する重要な要素です。特にSGP VD専用のPCPQK継手の特性を理解した適切な施工が必要となります。
PCPQK継手の特徴と選定基準
SGP VDには専用のPCPQK継手(桑名金属製代表例)が使用されます。この継手は、硬質塩化ビニル被覆された配管の特性に合わせて設計されており、以下の特徴があります。
継手選定時には、配管径、使用圧力、設置環境を総合的に考慮する必要があります。特に地中埋設では、土圧に対する耐久性と長期的なシール性能が重要な選定基準となります。
接合作業の技術ポイント
SGP VD配管の接合には、従来のSGP管とは異なる専門技術が必要です。
1. 管端処理の重要性
2. 接合手順の厳守
3. 品質管理のポイント
現場での注意事項
SGP VD施工時の現場管理では、以下の点に特別な注意が必要です。
施工後の品質確認
完成後の配管システムでは、以下の確認作業が重要です。
これらの技術ポイントを確実に実行することで、SGP VD配管システムの長期的な信頼性と性能を確保できます。適切な施工技術の習得と品質管理の徹底が、SGP VD配管の優れた特性を最大限に活用するための鍵となります。