足場寸法基準一覧と設置規格の完全ガイド

足場寸法基準一覧と設置規格の完全ガイド

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足場寸法基準一覧と設置規格

足場寸法基準の要点
📏
高さ制限

枠組足場45m以下、単管足場31m以下、くさび式足場31m未満

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規格種類

インチ規格(1829mm-610mm)とメーター規格(1800mm-600mm)

⚖️
安全基準

建地間隔、壁つなぎ、作業床幅などの労働安全衛生規則準拠

足場の種類別寸法基準と高さ制限

建設現場で使用される足場には、種類によって異なる寸法基準と高さ制限が設けられています。

 

枠組足場の寸法基準

  • 最大高さ:45メートル以下
  • 建地のピッチ:インチ規格1829mm、メーター規格1800mm
  • 作業床幅:40cm以上が必須
  • 床材間の隙間:3cm以下

枠組足場は軽量でありながら高い強度を備え、組み立てや解体も比較的簡便なため、多くの現場で採用されています。45メートルという高さ制限は、14階・15階建てマンション相当の高さとなります。

 

単管足場の寸法基準

  • 最大高さ:31メートル以下
  • 建地間隔:桁行方向1.85m以下、はり間方向1.5m以下
  • 布の取り付け間隔:地上第一の布は高さ2m以下
  • 壁つなぎ:垂直方向5m以下、水平方向5.5m以下

単管足場は直径48.6mmの鋼管を使用し、クランプで接続する構造です。形状の自由度が高く、狭小地でも組み立てが可能な特徴があります。

 

くさび式足場の寸法基準

  • 最大高さ:31メートル未満
  • 寸法規格:1800mm、1500mm、1200mm、900mm、600mm(300の倍数)
  • ハンマーで楔を打ち込む接続方式

インチ規格とメーター規格の違いと見分け方

足場の寸法規格には、インチ規格とメーター規格の2種類が存在し、これらを混在させて使用することは厳禁です。

 

インチ規格の特徴

  • アメリカやイギリスなど海外で使用される規格
  • 1インチ=25.4ミリメートルで換算
  • 建地のピッチ:最長1829mm、最短610mm
  • 枠組足場に多く採用(米国開発のため)

メーター規格の特徴

  • 国際単位系(SI単位系)を採用
  • 日本をはじめ多くの国で使用
  • 建地のピッチ:最長1800mm、最短600mm
  • 数字のキリがよく現場での利用が容易

見分け方のポイント
足場の規格を正確に見分けるには実際に長さを測定する必要があります。インチ規格とメーター規格の寸法差は数センチ程度のため、目視での判別は困難です。現場では以下の対策が重要です。

  • 搬入時の規格確認の徹底
  • 部材の分別保管
  • 組み立て前の再確認作業

輸入住宅の建設時には、2×4工法などインチ規格の建物に合わせてインチ規格の足場が使用されることもあります。

 

足場設置における安全基準と法的要件

労働安全衛生規則では、足場の設置に関して詳細な安全基準が定められています。

 

作業床の基準

  • 幅:40cm以上
  • 床材間の隙間:3cm以下
  • 床材と建地との隙間:3cm以下
  • 積載荷重:1スパン1層400kg以下

壁つなぎの設置基準
単管足場における壁つなぎは、足場の安定性を確保する重要な要素です。

  • 垂直方向:5メートル以下の間隔
  • 水平方向:5.5メートル以下の間隔

大筋交の配置基準

  • 垂直方向:15メートル以下
  • 水平方向:16.5メートル以下の間隔で2方向に設置

点検義務の詳細
2015年の安衛則改正により、点検義務が強化されました。

  • 足場業者:作業開始前、悪天候後、組立・解体・変更後
  • 注文者:悪天候後、組立・解体・変更後

建地間隔と布の取り付け寸法規定

足場の構造安全性を確保するため、建地間隔と布の取り付けには厳格な寸法規定があります。

 

建地間隔の詳細規定
単管足場における建地間隔は、荷重分散と構造安定性の観点から以下のように定められています。

  • 桁行方向:1.85メートル以下
  • はり間方向:1.5メートル以下

この間隔は、足場にかかる荷重を適切に地盤に伝達し、変形や倒壊を防ぐために重要です。間隔が広すぎると構造強度が不足し、狭すぎると材料費や施工コストが増大します。

 

布の取り付け高さ基準
布(水平材)の取り付け間隔は足場の水平剛性に直結します。

  • 地上第一の布:高さ2メートル以下
  • 以降の布:規則的な間隔での配置が必要

地上部分の布は特に重要で、足場全体の安定性の基礎となります。風荷重や作業荷重による水平力を効果的に分散する役割を果たします。

 

基礎の支持力要件
鉛直荷重に対して基礎は十分な支持力を有することが規定されています。軟弱地盤では地盤改良や敷板の使用が必要な場合があります。

 

足場選定時のコスト削減テクニック

適切な足場選定により、安全性を確保しながらコスト削減を実現できます。

 

規格統一によるコスト効果
メーター規格の足場は、インチ規格より軽量で運送コストが抑えられるメリットがあります。プロジェクト全体で規格を統一することで。

  • 部材の互換性向上
  • 在庫管理の効率化
  • 運搬コストの削減
  • 組み立て作業の習熟効果

足場種類別コスト比較
各足場の特性を理解した選定が重要です。

  • くさび式足場:組み立て効率が良く、中小規模建築に最適
  • 枠組足場:汎用性が高く、中高層建築で実績豊富
  • 単管足場:狭小地や特殊形状に対応、材料費は比較的安価

工期短縮による間接コスト削減
足場の組み立て・解体効率向上により、工期短縮と間接コストの削減が可能です。特にくさび式足場は、ハンマーでの組み立てが容易で、作業時間の短縮効果が期待できます。

 

安全投資の経済効果
適切な寸法基準の遵守により、労災事故を未然に防ぎ、以下の経済効果を実現できます。

  • 労災保険料率の改善
  • 工事中断リスクの回避
  • 企業信頼性の向上による受注機会増加

45メートルを超える高層建築では、壁つなぎや布板などの安全対策を十分に配慮した設計が必要となり、初期投資は増加しますが、長期的な安全性とコスト効果を考慮した判断が重要です。

 

建設現場における足場は、作業者の安全と工事品質に直結する重要な仮設構造物です。法令遵守はもちろん、現場条件に最適な足場選定により、安全性とコスト効率の両立を実現することが建設業界の持続的発展につながります。