

コージェネレーションシステムは、ガスエンジンやガスタービンを用いて発電を行い、その際に発生する排熱を給湯や冷暖房に有効活用する技術です。 従来の火力発電では発電効率が約40%程度にとどまり、残りの60%は排熱として失われていましたが、コージェネレーションでは排熱を回収することで総合エネルギー効率を80~90%にまで向上させることができます。
参考)https://u-power.jp/sdgs/future/000666.html
最新のガスエンジン技術では、1,000kWクラスで発電効率42.3~42.5%という世界最高水準を達成しており、中小型ガスエンジンクラスでも発電効率約39%まで商品化されています。 これらの高効率エンジンは、ビルの地下など需要場所(オンサイト)に設置することで送電ロスを削減し、発電と同時に排熱で建物の給湯や冷暖房を行えます。
参考)https://www.shinryo.com/tech/enesaving_cogen.html
実際の導入事例として、三井不動産と東京ガスが連携した日本橋スマートエネルギープロジェクトでは、コージェネレーションシステムによる発電と排熱活用により、年間を通してエネルギーの地産地消を行い、省エネ・省CO2を実現しています。 豊洲スマートエネルギープロジェクトでも高い発電効率のIHI原動機製コージェネレーションを採用し、その他熱源機器も高効率機器を導入することで省エネに貢献しています。
参考)https://www.tokyo-gas.co.jp/news/press/20190415-01.html
コージェネレーションシステムの詳細な技術解説と導入メリット(新菱冷熱工業)
不動産業界において、エネルギー効率の向上は光熱費の削減だけでなく、資産価値の向上にも直結する重要な投資要素です。 エネルギー費用を最小限に抑え、二酸化炭素排出量を削減する最も効果的な方法は、既存および新規の建物や設備のエネルギー効率を向上させることであり、正しく実施すれば商業的に魅力的な投資回収率で20~50%の節約を達成できます。
参考)https://longevity-partners.com/jp/our-expertise/net-zero-carbon/energy-demand-efficiency-for-real-estate/
不動産投資におけるランニングコストは家賃収入の20~30%が目安とされていますが、省エネ設備の導入により光熱費を大幅に削減することが可能です。 具体的には、断熱性能の高い窓やエコジョーズなどの省エネ設備を取り入れることで、長期的な光熱費の削減が実現します。
参考)https://www.johnsonhome.co.jp/column/house/runningcost
建物のエネルギー最適化には以下のような多角的なメリットがあります。
✅ 環境保護と光熱費削減の両立
エネルギー効率化により環境負荷を低減しながら運用コストを削減できます
✅ 投資に対する高いリターン
省エネ設備への投資は商業的に魅力的な回収率を実現します
✅ 資産価値の向上
省エネ性能の高い建物は市場での評価が高まり、不動産価値が向上します
✅ 生活の質の向上
快適な室内環境を維持しながらエネルギー消費を抑えることができます
エネルギー効率の高い建物は、太陽光・蓄電池が生み出す「エネルギー資産」として不動産価値を多角的に評価できる新しい視点も生まれています。 これらのアプローチを統合することで、エネルギー資産の価値を含めた不動産全体の価値をより正確に算定することが可能となります。
参考)https://www.enegaeru.com/redefiningrealestatevalueenergyassetscreatedbysolarpower-storagebatteries
BEMSは「Building Energy Management System」の略称で、施設全体のエネルギー使用量を一元管理・分析し、自動制御により室内環境とエネルギー性能を最適化するシステムです。 建物内のエネルギー使用状況や設備機器の運転状況を把握し、需要予測に基づく負荷を勘案して最適な運転制御を自動で行います。
参考)https://www.nikken-cm.com/column/bems/
BEMSの基本的な仕組みは、センサーや計測機器を通じてデータを収集し、分析して可視化し、最後に自動制御やユーザーの意思決定を支援するという3つのステップで成り立っています。 具体的には、空調、照明、電力使用量などのデータをリアルタイムで収集し、特定の時間帯における電力消費のピークを特定することで適切な制御を行い、電力コストを抑えることができます。
参考)https://u-power.jp/sdgs/future/000682.html
BEMSの導入による主な効果は以下の通りです。
📊 エネルギー使用の可視化
電力、ガス、水道などの消費量を一元管理し、無駄なエネルギー使用を抑制
🔧 設備の最適制御
空調・照明・換気設備などを効率的に制御し、快適性を維持しながら省エネを実現
参考)https://www.azbil.com/jp/product/building/energy-management/bems/index.html
⚙️ 故障予知とメンテナンス最適化
過去のデータと比較して異常値を検出し、設備の故障予知やメンテナンス計画の最適化を支援
💰 大幅なコスト削減
エネルギー管理の最適化により、20~50%のエネルギー削減を達成可能
最新のBEMSは、各設備に設置されたIoTセンサーが電力・ガス・水道の消費データを取得し、それをクラウド上で解析することで最適なエネルギー管理を実現します。 また、人の動きを検知して照明やエレベーターなどの設備の消費電力を最適化することで、利用者の快適性を保ったまま省エネを実現できます。
参考)https://www.nttbizsol.jp/knowledge/environment/202303131500000831.html
BEMSの具体的な導入事例と機能詳細(アズビル株式会社)
建築物のエネルギー消費において、空調と給湯は非常に大きな割合を占めており、家庭のエネルギー消費量の場合、給湯と暖房、動力・照明だけで全体の85%以上を占めます。 経済産業省によると、家庭内で使用されるエネルギーのうち給湯が約3割を占めているため、給湯器の省エネ化は光熱費削減につながる有効な対策です。
参考)https://www.ceec.jp/column/bei_energy/
高効率空調システムとして、ヒートポンプ技術を活用した設備が注目されています。ヒートポンプは空気中の熱エネルギーを利用して冷暖房を行うシステムで、高いエネルギー効率を持ち、特に寒冷地でも効果的に利用できます。 インバータ技術を搭載したエアコンは室温に応じて効率的に運転し、従来のモデルと比較して消費電力が少なく、年間を通じて冷暖房費を節約できます。
参考)https://happyhouse-design.com/sustainable-happy-home-2/energy-efficient-equipment/
給湯分野では、貯湯機能付きの省エネ型給湯器が注目されており、災害時の生活インフラとしても重要な役割を果たします。 ハイブリッド給湯システムは、今ある燃焼式ボイラーにヒートポンプ式給湯機を追加設置するだけで、お湯にかかる燃料費を抑えられ、環境にもやさしいシステムです。
参考)https://journal.chintai.net/legal/water_heater/
家庭用ガスエンジンコージェネレーションシステムは、一般住宅で高効率なエネルギー供給を実現する技術として、ガスエンジンの駆動によって発電機を稼働させ、同時に排熱を取り出すことで「電気」と「お湯」を生み出すシステムを構築しています。 このシステムは稼働・停止が容易で、季節や使用時間などの利用需要に対応しやすいという特徴があります。
参考)https://www.honda.co.jp/factbook/power/cogene/201105/P03-04.pdf
政府は「賃貸集合給湯省エネ2025事業」を創設し、高効率給湯器の導入を後押しする補助制度を推進しており、最大10万円から20万円の補助金が支給されます。 これは2030年度に向けて年間6,200万kl(原油換算)のエネルギー消費削減を目指す政府目標の達成に向けた取り組みの一環です。
参考)https://www.homes.co.jp/cont/press/reform/reform_01460/
ZEB(net Zero Energy Building)とZEH(net Zero Energy House)は、建築物における一次エネルギー消費量を、建築物・設備の省エネ性能の向上、エネルギーの面的利用、オンサイトでの再生可能エネルギーの活用等により削減し、年間での一次エネルギー消費量が正味でゼロまたは概ねゼロとなる建築物です。 ZEBは非住宅建築物を、ZEHは住宅を対象としており、どちらも年間のエネルギー収支をゼロにすることを目指しています。
参考)https://j-net21.smrj.go.jp/development/energyeff/Q1188.html
2025年4月から全ての新築住宅において断熱等級4が最低等級となり、高い断熱性能が求められるようになりました。 省エネ住宅では、「外皮性能の基準」(窓や外壁などの断熱性能)と「一次エネルギー消費量の基準」(冷暖房や照明等、設備機器の消費エネルギー)の2つの基準を使って省エネ性能を評価します。
参考)https://bosai.pb-g.net/bosai-post-25/
ZEH住宅を定義づける3つの要素は以下の通りです。
🏠 断熱性能の向上
高断熱材を利用した壁や床、日射熱を透過しにくい窓ガラスなどを活用し、外皮平均熱貫流率(UA値)と冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)で規定される基準を達成
参考)https://www.wsew.jp/hub/ja-jp/blog/article_100.html
⚡ 省エネルギー設備の導入
空調や換気、給湯や照明に高効率の省エネシステムを導入し、基準一次エネルギー消費量の20%以上を削減
☀️ 創エネルギーの実現
太陽光発電などの再生可能エネルギーにより、断熱と省エネ、創エネを合計して基準一次エネルギー消費量から100%以上の削減を達成
断熱性能が高い住まいは外気の影響を受けにくいため、冷暖房を切った後でも室内の涼しさや暖かさをキープしやすく、冷暖房費を自然に抑えることができます。 また、家の中の温度変化が小さいことで、夏は熱中症、冬はヒートショックなどの健康被害のリスクを減らすことも期待できます。
省エネ住宅における設備の高効率化として、建物の省エネで想定されているのは高断熱化、日射遮蔽、自然換気・採光であり、設備で想定されているのは空調、換気、照明、給湯、昇降機の高効率化です。 空調機設備にかかるエネルギー消費量を削減するための対策としては、温度と湿度を別々に調整する潜熱・顕熱分離方式空調システムや、人が感じる快適性に着目した放射冷暖房空調システムなどの新たな空調機システムが挙げられます。
参考)https://www.env.go.jp/earth/zeb/detail/06.html
ZEBを実現するための具体的な技術解説(環境省)
これから家づくりや建築物の企画を検討される際は、断熱性能と耐震性能を基本として、長く快適で安心して暮らせる住まいを実現することが推奨されます。 省エネ性能の高い建物は市場での評価が高まり、不動産価値が向上するだけでなく、運用コストの削減により長期的な収益性も向上します。