クマシーブリリアントブルー タンパク質定量の原理と染色法、分析精度

クマシーブリリアントブルー タンパク質定量の原理と染色法、分析精度

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クマシーブリリアントブルー タンパク質の関係

📊 クマシーブリリアントブルーによるタンパク質分析の基礎
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色素とタンパク質の結合原理

酸性条件下でタンパク質のアミノ酸残基と結合し、吸収波長が465nmから595nmへ変化する仕組み

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電気泳動での染色応用

SDS-PAGEで分離したタンパク質を視覚化し、分子量の測定や発現量の比較を可能にする技術

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高感度な定量分析

ブラッドフォード法として知られる定量法で、0.01-2mg/mLの範囲でタンパク質濃度を測定

クマシーブリリアントブルー タンパク質染色の基本メカニズム

クマシーブリリアントブルー(Coomassie Brilliant Blue、CBB)は、タンパク質の検出と定量に最も広く使用される色素の一つです。この色素は元々羊毛を青く染めるために開発された酸性染料でしたが、現在では生化学分野で不可欠なツールとなっています。CBBには分子構造の異なるG-250(CAS No. 6104-58-1)とR-250(CAS No. 6104-59-2)の2種類が存在し、それぞれ異なる特性を持っています。
参考)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC

酸性条件下でCBBをタンパク質溶液に添加すると、タンパク質中の塩基性アミノ酸残基(アルギニン、リジン、ヒスチジン)およびN末端アミノ酸とCBBとの間の静電的相互作用、さらに芳香族アミノ酸との間の疎水性相互作用によって、CBBとタンパク質が非共有的に結合します。この結合により、CBBの極大吸収波長が465nmから595nmにシフトし、色調が赤紫色から青色に変化します。この性質を利用して、595nmにおける吸光度の変化を測定することでタンパク質を定量できます。​
クマシー分子は芳香族アミノ酸などを介してタンパク質分子に吸着すると考えられており、この性質がタンパク質の検出試薬として応用されています。また、CBBとタンパク質が結合すると「色素-タンパク質複合体」を形成し、その吸収極大波長595nmの吸光度を測定することで定量が可能になります。
参考)https://www.nacalai.co.jp/products/233/

クマシーブリリアントブルー R-250とG-250の違い

クマシーブリリアントブルーには主にR-250とG-250という2つのタイプがあり、それぞれ異なる用途に適しています。R-250は一般的に使用されているタイプで、感度が高いという特徴があります。このため、SDS-PAGEでのタンパク質染色に広く用いられており、電気泳動後のゲル染色の標準的な方法として確立されています。R-250の検出限界は約10-100ng/バンド程度で、簡便かつ安価な方法としてよく使われます。
参考)https://www.berthold-jp.com/coomassie-brilliant-blue/

一方、G-250は感度ではR-250に劣りますが、迅速で便利な染色が可能という利点があります。特にブラッドフォード法によるタンパク質定量では、G-250が使用されます。G-250は465nmに極大波長を持ち、タンパク質と結合することで極大波長が595nmにシフトするため、この変化を利用してサンプル中のタンパク質濃度を測定できます。
参考)https://www.chem-station.com/blog/2022/10/pq5.html

R-250は固体(粉末)として提供され、色は青~ダークブラウンで、水にわずかに可溶という性質を持っています。分子式はC45H44N3O7S2・Na、分子量は825.97です。染色には通常、メタノールと酢酸を含む溶液にCBB R-250を0.25%(w/v)溶かしたものが使用されます。
参考)https://www.bmsci.com/products/?id=1576459514-719319amp;ca=29amp;gca=111amp;pca=4

クマシーブリリアントブルー タンパク質定量法(ブラッドフォード法)の実践

ブラッドフォード法(Bradford Protein Assay)は、BCA法と並んで最もよく使われるタンパク質の濃度定量法です。この方法は、トリフェニルメタン系色素であるCoomassie Brilliant Blue G-250を用いたタンパク質の定量方法で、定量範囲は10~2000μg/mL(または0.01-2mg/mL)です。​
測定手順は非常に簡便で、測定対象のタンパク質溶液とCBB G-250を混合し、室温で静置するだけで測定可能になります。具体的には、Bradford試薬と測定したい試料、BSA標準液、蒸留水をそれぞれ決められた割合で混合し、室温で5分静置して反応させます。反応後、溶液の595nmの吸光度を測定し、BSA標準液から作成した検量線を用いて試料中のタンパク質量を算出します。
参考)https://www.tcichemicals.com/JP/ja/product/pick/bradford_assay_solution

この方法の大きなメリットは、サンプル中に還元剤やキレート剤が含まれている場合でも、CBB G-250の発色反応に大きな影響を与えないことです。サンプルに含まれる還元剤やキレート剤が原因でBCA法による定量ができない場合に特に有用です。また、操作が極めて簡単で迅速であり、キレート剤や還元剤の影響を受けにくいという長所があります。測定範囲は0.01-2mg/mLと感度が高く、迅速に結果が得られます。​
富士フイルム和光純薬のタンパク質定量試薬ガイド - Bradford法の詳細な原理と測定手順について解説

クマシーブリリアントブルー 電気泳動における染色技術

電気泳動後のゲル染色において、クマシーブリリアントブルー(CBB)染色は最も一般的な染色方法の一つです。SDS-PAGEを行ったゲルをCBB染色剤につけて染色後、脱色することによってバンドを確認します。この方法は安価で簡便であり、定量的に染色されるため、もっともよく使用されるゲル染色法となっています。
参考)https://www.atto.co.jp/technical_info/electrophoresis/1219

CBB染色の原理は、色素とタンパク質のアミノ基が電気的に結合したり、非共有的にファンデルワールス力により相互作用することによると考えられています。検出限界は10~100ng/バンド程度で、簡便かつ安価な方法として広く普及しています。
参考)https://www.aichi-inst.jp/shokuhin/other/up_docs/news1102-2.pdf

最近では、環境に配慮した染色方法も開発されています。例えば、EzStain AQuaというCBB染色試薬は、アルコールや酢酸を使用せず、脱色には蒸留水が使用できるため、簡便なうえに環境に配慮した染色方法となっています。検出感度も一般的なCBB染色法と比べて3~5倍高く、バンド以外の部分が染色されにくいため、短時間でバンドを確認することができます。​
従来のCBB染色では、メタノールと酢酸を含む溶液が使用されてきました。例えば、染色液は45%メタノール、10%酢酸溶液にクマシーブルーの粉を0.25%(w/v)になるように溶かしたものを使用し、脱色液は25%メタノール、10%酢酸、2.5%グリセリンの混合液を使用します。染色時間を短縮するために電子レンジで1分程度加熱する方法もあり、急がない場合はシェイカーでゆっくり揺すりながら室温で1時間染色します。
参考)https://www.cc.kochi-u.ac.jp/~suna/2015/kisozikken/SDS-PAGE.html

建築業におけるクマシーブリリアントブルー タンパク質分析の独自応用

建築業界では、材料の品質管理や環境評価において、タンパク質分析技術が意外な形で応用できます。例えば、建築現場で使用される接着剤や塗料、シーリング材などには、動物由来のタンパク質成分が含まれていることがあり、これらの成分分析にクマシーブリリアントブルー法が活用できます。

 

建設資材の生物学的劣化の評価においても、微生物由来のタンパク質の検出と定量が重要です。木材やコンクリートの表面に付着した微生物バイオフィルムに含まれるタンパク質量を測定することで、材料の劣化進行度を評価できます。ブラッドフォード法は簡便で迅速なため、現場での定期的なモニタリングに適しています。​
また、建築物の室内環境品質管理において、空気中や表面に付着した生物由来粒子(バイオエアロゾル)の定量にも応用可能です。これらの粒子にはタンパク質が含まれており、CBB法による定量分析により、室内環境の清浄度や居住者の健康リスクを評価できます。測定範囲が0.01-2mg/mLと広く、感度が高いため、微量のサンプルでも分析が可能です。​
さらに、建築業における品質管理では、製品の成分表示の正確性を確認する必要があります。タンパク質を含む建材や接着剤について、表示通りの成分が含まれているかを検証する際、CBB法は迅速かつ経済的な分析手段となります。操作が簡便で、特別な装置を必要としないため、品質管理部門での日常的な分析に適しています。​
環境配慮型の建材開発においても、天然タンパク質を利用した接着剤や塗料の研究開発が進んでいます。これらの新素材開発において、タンパク質含量の正確な測定は製品の性能評価に不可欠であり、CBB法はその基礎的な分析手法として重要な役割を果たします。

 

東京化成工業のブラッドフォード法試薬ガイド - 実践的な使用方法と共存物質の影響についての詳細情報

染色法 感度(ng/バンド) 所要時間 コスト 定量性 主な用途
CBB染色 10-100 1-3時間 良好 日常的なタンパク質検出
銀染色 0.1-1 約60分 やや困難 微量タンパク質の検出
蛍光染色 約0.1 長時間 優秀 定量的プロテオミクス

上記の表は、各染色法の特性を比較したものです。CBB染色は感度では銀染色や蛍光染色に劣りますが、簡便性、コスト、定量性のバランスが優れているため、最も広く使用されています。
参考)https://www.atto.co.jp/application/files/5817/1108/1894/AE-1360Yin_Ran_kotsu202010.pdf

建築業における材料分析では、高価な装置や複雑な操作を必要としないCBB法が特に有用です。現場での迅速な品質チェックや、研究開発段階での予備的なスクリーニングに適しており、より精密な分析が必要な場合には銀染色や蛍光染色、さらには質量分析などの高度な手法へと段階的に進めることができます。
参考)https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/protein-basic19/