

M8ボルトの基本寸法は、建築現場で最も重要な情報の一つです。JIS B 1180に基づく正確な寸法データを以下の表にまとめました。
| 項目 | 記号 | 寸法(mm) | 許容差 | 
|---|---|---|---|
| ねじの呼び径 | d | 8 | - | 
| ピッチ(並目) | P | 1.25 | - | 
| ピッチ(細目) | P | 1.00 | - | 
| 二面幅 | S | 13 | 0/-0.25 | 
| 対角距離 | e | 15 | 約 | 
| 頭部の高さ | k | 5.3 | +0.15/-0.2 | 
| 軸径 | ds | 8 | 0/-0.15 | 
🔍 重要なポイント
M8ボルトのねじピッチには並目(1.25mm)と細目(1.00mm)の2種類があります。建築現場では並目が一般的ですが、精密な締結が必要な箇所では細目を使用することもあります。
M8ボルトの半ねじと全ねじの違いは、作業効率と締結強度に大きく影響します。以下の基準に従って適切に選択しましょう。
M8ボルトの全ねじ規格
M8ボルト半ねじのねじ部長さ計算式
| 首下長さ(mm) | ねじ部長さ(mm) | タイプ | 
|---|---|---|
| 20 | 20(全ねじ) | 全ねじ | 
| 25 | 22 | 半ねじ | 
| 30 | 22 | 半ねじ | 
| 40 | 22 | 半ねじ | 
| 50 | 22 | 半ねじ | 
| 150 | 28 | 半ねじ | 
⚡ 現場での使い分けのコツ
M8ボルトの材質選択は使用環境と要求強度によって決定されます。建築現場で使用される主な材質と強度区分を詳しく解説します。
鋼製M8ボルトの強度区分
ステンレス製M8ボルトの強度区分
| 材質 | 強度区分 | 用途例 | 耐食性 | 
|---|---|---|---|
| 炭素鋼 | 4.8 | 一般建築金物 | ○ | 
| 炭素鋼 | 8.8 | 構造用鉄骨 | ○ | 
| 合金鋼 | 10.9 | 高力ボルト | △ | 
| SUS304 | A2-50 | 外装・湿潤環境 | ◎ | 
| SUS316 | A4-50 | 海岸・化学工場 | ◎◎ | 
🔧 材質選択の実務ポイント
建築現場での材質選択では、初期コストだけでなくメンテナンス性も考慮することが重要です。特に交換困難な箇所では、高耐食性材料の選択が長期的にコスト削減につながります。
M8ボルトの適切な締付けには、正しい工具選択と締付トルクの管理が不可欠です。現場での作業効率と品質確保のための詳細なガイドラインをお示しします。
M8ボルト対応工具一覧
M8ボルト推奨締付トルク値
| 強度区分 | 締付トルク(N・m) | 締付トルク(kgf・m) | 用途 | 
|---|---|---|---|
| 4.8 | 15-18 | 1.5-1.8 | 一般締結 | 
| 8.8 | 25-30 | 2.5-3.0 | 構造用締結 | 
| 10.9 | 35-42 | 3.5-4.2 | 高力締結 | 
| A2-50 | 20-25 | 2.0-2.5 | ステンレス用 | 
⚙️ 締付け作業の品質管理ポイント
電動工具使用時の注意事項
インパクトドライバー使用時は、最終締付けを手動で行うことで適切なトルク管理が可能になります。特にM8×1.00(細目)の場合は、過度な締付けによるねじ山損傷に注意が必要です。
建築現場でのM8ボルト選定には、図面には記載されない実務的な判断基準があります。経験豊富な職人が実践している選定ノウハウを体系化しました。
取付対象別M8ボルト選定指針
🏗️ 鉄骨工事での選定
🧱 コンクリート工事での選定
🪟 建具工事での選定
環境条件による材質選定の判断基準
| 設置環境 | 推奨材質 | 耐用年数目安 | メンテナンス頻度 | 
|---|---|---|---|
| 屋内乾燥環境 | 炭素鋼4.8-8.8 | 20-30年 | 5年毎点検 | 
| 屋外一般環境 | 溶融亜鉛めっき | 15-25年 | 3年毎点検 | 
| 海岸から500m以内 | SUS316(A4-50) | 30-50年 | 2年毎点検 | 
| 化学工場・プール | SUS316L | 20-40年 | 1年毎点検 | 
💡 コスト最適化のための選定戦略
よくある選定ミスとその対策
建築現場でよく発生するM8ボルト選定ミスには、「強度過多による不経済」「耐食性不足による早期劣化」「長さ不足による締結不良」があります。これらを防ぐためには、使用環境の十分な調査と将来的なメンテナンス計画の策定が重要です。
特にリノベーション工事では、既存構造物との材質的適合性も考慮する必要があります。異種金属接触による電食を防ぐため、既存ボルトと同等以上の耐食性を持つ材質を選択することが推奨されます。
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