

混合比率をわずかにずらすだけで、塗膜が10年もたずに剥がれ始めます。
クリーンマイルドウレタンは、エスケー化研が製造する超低汚染・高耐久NAD型特殊ポリウレタン樹脂塗料です。一般名称は「超低汚染・高耐久NAD型特殊ポリウレタン樹脂塗料」で、弱溶剤形・2液型という組み合わせが最大の特徴になっています。
通常の1液型ウレタン塗料は、空気中の水分や酸素と反応して硬化します。一方、マイルドウレタン2液は主剤と硬化剤が化学反応することで塗膜が形成されるため、1液型と比べてはるかに強固な塗膜が得られます。硬化の仕組みが根本的に違うということですね。
製品仕様を整理すると以下の通りです。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 一般名称 | 超低汚染・高耐久NAD型特殊ポリウレタン樹脂塗料 |
| タイプ | 弱溶剤形・2液型 |
| 混合比率(重量比) | 主剤:硬化剤=9:1 |
| 期待耐用年数 | 10〜12年 |
| 標準塗坪 | 42〜68m²/15kgセット |
| ポットライフ(使用可能時間) | 混合後5時間以内(気温23℃) |
| 艶の種類 | 艶有り・7分艶・5分艶・3分艶(艶消しなし) |
| ホルムアルデヒド放散等級 | F☆☆☆☆ |
| 設計価格(材工共) | 約2,700円/m²〜(下塗り込み) |
一般のウレタン塗料の耐用年数が7〜10年前後であるのに対し、クリーンマイルドウレタンは10〜12年を期待できます。これはエスケー化研独自の「セラミック複合技術」によるもので、塗膜表面にセラミック層が形成され、耐候形1種相当の性能を発揮する点が普通のウレタン塗料と大きく異なります。
比較のため、同シリーズの他グレードと並べると次のようになります。
| 塗料名 | 樹脂 | 期待耐用年数 | 目安単価 |
|---|---|---|---|
| クリーンマイルドウレタン | ポリウレタン | 10〜12年 | 約2,700円/m²〜 |
| クリーンマイルドシリコン | アクリルシリコン | 12〜15年 | 約3,000円/m²〜 |
| クリーンマイルドフッソ | フッ素樹脂 | 15〜20年 | 約3,600円/m²〜 |
コストを抑えたい現場、または予算上シリコンを選ぶほどではないケースで、クリーンマイルドウレタンは非常に使いやすい選択肢です。これは使えそうですね。
下地の種類を選ばない「幅広い下地適用性」も大きな強みで、コンクリート・モルタル・ALCパネル・各種サイディングボード・鉄部・亜鉛メッキ鋼・アルミニウムなど幅広い素材に対応しています。改装工事でも活躍する場面が多い塗料といえます。
参考:エスケー化研公式製品ページ(クリーンマイルドウレタンの仕様・特長を確認できます)
クリーンマイルドウレタン | 製品情報 | エスケー化研株式会社
2液型塗料のトラブルの大半は、混合比率のミスとポットライフの管理不足に起因しています。現場では「だいたいこのくらい」という感覚で混ぜてしまうケースが少なくありません。それが大きなリスクになります。
クリーンマイルドウレタンの正規の混合比率(重量比)は次の通りです。
仕様によって硬化剤の量が変わります。「硬質」と「弾性」で比率が異なる点に注意が必要です。メーカーのカタログには「9:1」と略記されることもありますが、正確には重量比で上記の通りです。計量器を必ず使うことが原則です。
目分量で混合した場合のリスクは非常に大きいです。硬化不良が発生すると塗膜が正常に形成されず、完成後でも剥離・変色・汚染機能の喪失といった不具合が次々と現れます。やり直し工事が必要になった場合、30坪の住宅で60万〜100万円規模のコストが再び発生します。痛いですね。
混合後の「ポットライフ(可使時間)」は気温23℃で5時間です。5時間を過ぎた塗料は使用不可と考えてください。5時間が条件です。気温が高い夏場では化学反応が速まるため、ポットライフが短縮される点にも注意が必要です。真夏の炎天下では、混合後3〜4時間程度での使い切りを目安にするとよいでしょう。
実際の段取りとして、1缶(15kgセット)で塗れる面積は42〜68m²です。標準的な2階建て住宅の外壁(100〜120m²程度)を1日で塗る場合、2〜3缶を混合するケースもあります。しかし、一度に大量に混合すると余った塗料が使えなくなります。必要な量だけを都度計算して混合するのが、無駄のない施工の基本です。
また、混合後は十分な撹拌が必須です。混ぜ方が不十分だと均一な化学反応が起こらず、一部だけ硬化不良になることがあります。撹拌には電動ミキサーを使用し、缶の底や側面も含めて均一になるまで1〜2分はかけることが推奨されます。
参考:クリーンマイルドウレタンのカタログ詳細解説(混合比率・施工仕様の詳細が確認できます)
クリーンマイルドウレタンのカタログ解説 | 花まるリフォーム
塗料そのものの性能がどれだけ高くても、下地処理と下塗り材の選定を誤れば早期剥離につながります。下地が基本です。クリーンマイルドウレタンを施工する際に特に確認すべき下地条件は次の3点です。
含水率10%以下という数値は「ほとんど乾いている」状態を意味します。例えば新築のモルタル壁では、施工後最低4週間以上の養生期間が必要とされています。養生期間が短いまま塗装すると、内部の水分が蒸発する際に塗膜が膨れたり剥がれたりする原因になります。
下塗り材の選定は、下地素材によって変わります。代表的な組み合わせを整理します。
| 下地素材 | 推奨下塗り材 |
|---|---|
| コンクリート・モルタル・サイディング(一般) | 水性ミラクシーラーエコ・一液マイルドシーラーES |
| 押出成形セメント板・GRC板・PC部材 | マイルドシーラーEPO・エスケーハイブリッドシーラーEPO |
| 鉄部・亜鉛メッキ鋼 | 一液マイルドサビガード・エポサビマイルド |
| 旧塗膜の密着が弱い改装下地 | ミラクシーラーES・マイルドシーラーEPO(状況に応じて選定) |
下塗り材を選ばずにとりあえず共通のシーラーを使う職人も多いですが、それは間違いです。特に押出成形セメント板のような吸い込みの少ない素材にはエポキシ系のマイルドシーラーEPOが適しており、水性シーラーを使うと数年以内に剥離するリスクがあります。
改装工事の場合はさらに注意が必要です。旧塗膜に脆弱層が残っている場合はサンダーやケレン棒で完全に除去してから施工します。旧塗膜を残したままで上塗りしてしまうと、旧塗膜ごと剥がれてくるという典型的な施工不良になります。
また、シーリング材の上に直接塗装する場合は、シーリング材の種類や材齢によって密着しないことがあります。特に変性シリコーン系シーリングは塗料との相性が悪いケースが多く、必ずメーカーの施工仕様書で確認することが必要です。
クリーンマイルドウレタンが「普通のウレタン塗料とは別物」と言われる最大の理由は、エスケー化研が特許を持つセラミック複合技術にあります。意外ですね。
通常の塗料では、セラミック成分と有機成分が塗膜全体に均一に混在しています。一方、セラミック複合技術では塗膜が形成される過程で、セラミック成分だけが表面側に集まり「セラミック層」を作ります。この二層構造が、次の3つの超低汚染性を同時に発揮させます。
この親水性は、汎用塗料との比較試験でも明らかな差が確認されています。表面に油を塗付して水で洗浄したところ、汎用塗料は油が残留しましたが、クリーンマイルドウレタンではほぼ油が残らないという結果が出ています。
また、雨筋汚染試験(6か月間屋外暴露)においても汎用塗料と比較して汚れの付き方が明らかに少ない結果が確認されています。低帯電性により雨のかからない軒天や壁面上部でも汚れが付きにくいというデータもあります。
耐候性についてはキセノンランプによる促進耐候性試験(JIS A 6909耐候性B法)で2500時間経過後も光沢保持率80%以上を維持し、耐候形1種相当の性能を示しています。これは普通のウレタン塗料が1200時間程度で光沢を失うのと比べると、大きな差です。
つまり、マイルドウレタン2液は「塗っておけば汚れにくく、長持ちする」という二重のメリットを同時に持った塗料ということですね。
特許番号「特許3009363」に基づく非汚染塗料技術として登録されており、独自技術の根拠がある塗料です。施主への説明材料としても活用できます。
参考:エスケー化研の特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)での特許内容確認
J-PlatPat:特許情報プラットフォーム(inpit)
施工品質に直結しながら、現場で軽視されがちなのが気温と湿度の管理です。クリーンマイルドウレタンには明確な施工制限条件があります。
「少しくらいなら大丈夫だろう」という判断が危険です。気温5℃以下で施工すると塗料の化学反応が正常に進まず、完全硬化するまでに通常よりはるかに時間がかかります。硬化が不完全な状態で擦れると色落ちや塗膜剥離につながります。
湿度が85%以上の状態では、塗料内部や塗膜表面に水分が混入し、白化(ブラッシング)や密着不良が起きることがあります。特に2液型は湿気の影響を受けやすい性質があるため注意が必要です。
冬期施工は特に厳しい条件が重なります。気温が低い朝一番の施工は避け、下地温度が5℃以上になってから開始するのが基本です。採暖や養生によって雰囲気温度・被塗面温度を管理する必要がある場合は、事前に関係者と十分な打ち合わせを行うことがメーカーからも推奨されています。
希釈についても注意点があります。希釈には必ず「塗料用シンナーA」を使用し、ローラー・刷毛塗りの場合は主剤100に対して0〜10の比率で希釈します。灯油などを希釈剤に使うことは絶対に禁止です。過希釈すると隠蔽力不足・ダレ・透け・光沢不良などの仕上がり不良につながります。
なお、使用後のローラーや布に塗料が付着したまま積み重ねると自然発火の危険があります。廃棄するまで水に浸けて保管するという安全管理も忘れないでください。これは命に関わる注意点です。
参考:1液と2液の違い・施工時の注意点についてのプロ解説
1液と2液のどっちがいいの?プロが教える本当に重要な3つのポイント | 田村塗装