六角ボルト m10 寸法 一覧と規格完全ガイド

六角ボルト m10 寸法 一覧と規格完全ガイド

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六角ボルト m10 寸法 一覧

M10六角ボルト寸法の基本構成
📏
頭部寸法

対辺17mm、頭部高さ7mm、外接円径19.6mm

🔩
ねじ寸法

並目ピッチ1.5mm、細目ピッチ1.25mm、軸径10mm

⚖️
許容差

長さや径に応じた精密な許容差規定

六角ボルト m10 基本寸法と JIS 規格

六角ボルトM10の基本寸法は、JIS B 1180に規定されており、建設現場での標準的な接合材として広く使用されています。

 

M10六角ボルトの主要寸法一覧:

  • ねじの呼び径(d): 10mm
  • 並目ピッチ(P): 1.50mm
  • 細目ピッチ: 1.25mm
  • 頭部高さ(k): 7mm (許容差±0.3)
  • 対辺距離(s): 17mm
  • 外接円径(e): 19.6mm (約)
  • 軸径(ds): 10mm (許容差0〜-0.15)

この寸法規格は、国際的な互換性を保ちながら、日本の建設業界の要求品質を満たすよう設計されています。特に対辺距離17mmは、市販の17mmスパナやソケットレンチで確実に締付けができる寸法として設定されており、現場での作業効率を考慮した実用的な規格となっています。

 

強度区分についても重要で、一般的な4.8から高強度の12.9まで、用途に応じて選択可能です。建設現場では8.8級が最も多用されており、引張強度800N/mm²、降伏強度640N/mm²の性能を持ちます。

 

六角ボルト m10 ねじ部長さと計算方法

M10六角ボルトのねじ部長さは、全長(L)に応じて厳密に規定されています。この規定により、適切な有効ねじ山数を確保し、接合部の安全性を保証しています。

 

ねじ部長さ計算式:

  • L=129以下の場合: ねじ部長さ = d×2+6 = 10×2+6 = 26mm
  • L=130〜200の場合: ねじ部長さ = d×2+12 = 10×2+12 = 32mm

実際の長さ別ねじ部長さ一覧:

  • L=30mm: 全ねじ
  • L=35mm: 全ねじ
  • L=40mm: 全ねじ
  • L=50mm: 全ねじ
  • L=60mm: 全ねじ
  • L=80mm: 全ねじ
  • L=130mm: ねじ部32mm
  • L=150mm: ねじ部32mm
  • L=200mm: ねじ部32mm

この規定により、短いボルトでは全ねじ、長いボルトでは部分ねじとなり、材料の効率的使用と加工コストの最適化が図られています。また、部分ねじボルトの場合、首下部分(ねじ山のない部分)がせん断力に対して高い強度を発揮するため、構造用接合には特に有効です。

 

建設現場では、貫通孔の板厚を正確に測定し、適切なねじ部長さを持つボルト長さを選定することが重要です。ナット厚さ(M10の場合約8mm)とワッシャー厚さも考慮して、3〜5山程度のねじ山がナットから突出するよう計画します。

 

六角ボルト m10 許容差と品質等級

M10六角ボルトの寸法許容差は、部位や長さ区分によって細かく規定されており、品質管理の基準となっています。

 

長さ許容差(M10の場合):

  • 50mm以下: ±0.5mm
  • 50超〜120mm以下: ±0.7mm
  • 120超〜250mm以下: ±0.9mm
  • 250mm超: ±1.2mm

径方向許容差:

  • 軸径(ds): 0〜-0.15mm
  • 頭部高さ(k): ±0.3mm
  • 対辺距離(s): 0〜-0.8mm(基準寸法17mm)

この許容差規定は、ボルト製造時の品質管理だけでなく、現場での検査基準としても重要です。特に構造用ボルトでは、寸法精度が接合部の性能に直結するため、入荷時の抜き取り検査で寸法確認を行うことが推奨されます。

 

品質等級と用途:

  • 上級(精密級): 精密機械、重要構造部
  • 中級(標準級): 一般建築構造、設備取付
  • 並級(普通級): 仮設工事、一般用途

建設現場では中級品が標準的に使用されますが、耐震性能が要求される接合部や、繰り返し荷重を受ける部位には上級品の採用を検討することが重要です。また、材質についても炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼の選択肢があり、環境条件に応じた適切な選定が求められます。

 

六角ボルト m10 現場選定の実践ポイント

建設現場でのM10六角ボルト選定は、単純な寸法マッチングではなく、構造設計意図と施工条件を総合的に判断する専門技術です。

 

板厚別推奨ボルト長さ:

  • 板厚15mm: L=30〜35mm
  • 板厚20mm: L=40〜45mm
  • 板厚25mm: L=50〜55mm
  • 板厚30mm: L=60〜65mm
  • 板厚40mm: L=80〜85mm

実際の選定では、貫通板厚にナット厚さ(約8mm)、ワッシャー厚さ(各1mm)、突出ねじ山長さ(5〜8mm)を加算します。例えば板厚20mmの場合、20+8+2+6=36mmとなり、L=40mmを選定するのが標準的です。

 

特殊条件での選定注意点:

  • 振動環境: 緩み防止のため細目ねじ(M10×1.25)を採用
  • 腐食環境: ステンレス製(SUS304/316)または亜鉛めっき仕様
  • 高温環境: 耐熱鋼材質または特殊表面処理品
  • 電気設備: 非磁性ステンレス製を選定

現場での締付け管理も重要で、M10ボルトの推奨締付けトルクは強度区分8.8で約50N・mです。トルクレンチを使用した適正締付けにより、設計通りの軸力を導入し、接合部の性能を確保します。

 

また、在庫管理の観点から、現場では長さバリエーションを最小限に抑え、汎用性の高い長さ(30、40、50、60、80mm)を重点的に準備することで、調達効率と作業効率の両立を図ることができます。

 

六角ボルト m10 特殊用途と最新応用技術

近年の建設技術革新により、M10六角ボルトの応用範囲は大幅に拡大し、従来の構造接合を超えた特殊用途が注目されています。

 

プレハブ建築での精密接合:
プレハブ建築では、工場製作時の高精度と現場組立の簡便性を両立するため、M10ボルトに特殊な寸法精度が要求されます。許容差を通常の1/2に管理した高精度ボルトを使用し、組立時の調整作業を最小化する手法が普及しています。

 

免震・制振装置との組合せ:
免震建築物では、M10ボルトが免震装置と上部構造の接続に使用されることがあります。この場合、通常よりも高い疲労強度(10.9級以上)が要求され、特殊な表面処理により耐久性を向上させた製品が採用されます。

 

IoT対応構造監視システム:
最新の建築物では、ボルト接合部にひずみセンサーを組み込み、構造健全性をリアルタイム監視するシステムが導入されています。M10ボルトの頭部に微小な加工を施し、センサー取付け用の座面を形成する技術が開発されており、既存建築物の後付け監視システムでも活用されています。

 

3Dプリンティング建築への適用:
3Dプリンターで製造された建築部材の接合には、従来とは異なる考慮が必要です。プリント材料の特性に合わせ、M10ボルトの締付け方法や座面処理を最適化する研究が進められており、新しい建築技術の基盤となっています。

 

環境配慮型表面処理:
従来の亜鉛めっきに代わる環境負荷の少ない表面処理技術として、無機系コーティングや植物由来防錆剤の研究が進んでいます。M10ボルトにおいても、これらの新技術を適用した製品が実用化段階に入っており、持続可能な建設技術の重要な要素となっています。

 

これらの特殊用途では、標準的なJIS規格を基準としながらも、個別の性能要求に応じた仕様調整が行われており、設計者と製造者の密接な連携により実現されています。建設業界全体のデジタル化と環境配慮の流れの中で、M10六角ボルトのような基本的な部材も、新たな技術的価値を創出し続けています。