六角ナット寸法表一覧|JIS規格サイズ早見表

六角ナット寸法表一覧|JIS規格サイズ早見表

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六角ナット寸法表一覧

六角ナット規格の基本構成
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JIS規格3種類

1種・2種・3種で面取り仕様と高さが異なります

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主要寸法項目

面幅・高さ・接触面径の3つが設計上重要です

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メートルネジ対応

M2からM64まで幅広いサイズに対応しています

六角ナットJIS規格の基本知識と分類

六角ナットのJIS規格(B1181)では、形状と仕上げ方法によって1種・2種・3種の3つに分類されています。この分類は建築現場での用途選定において極めて重要な要素です。

 

1種の特徴

  • 片側(表面側)の外周と内側穴のみに面取り加工
  • 座面が大きく、高いトルクでの締め付けが可能
  • 方向性があるため、基本的に外すことを想定しない箇所に使用

2種の特徴

  • 両側面の外周と内穴に面取り加工
  • 表裏がないため、取り外しを想定した箇所に適用
  • 小型部品系でのスタンダード仕様

3種の特徴

  • 2種と同じ面取り仕様だが高さが低い低ナット
  • ネジの噛み合いが少なくなるため、大きなトルクを必要としない箇所向け

建築現場では、構造材の接合や設備取り付けなど、用途に応じた適切な種別選択が求められます。特に、メンテナンス性を考慮した設計では2種または3種の選定が推奨されています。

 

六角ナット1種2種3種の違いと建築現場での使い分け

建築業界において、六角ナットの種別選択は構造安全性と施工効率に直結する重要な判断です。各種別の詳細な違いを理解することで、適切な部材選定が可能になります。

 

面取り加工の違いによる影響
1種は片面のみの面取りにより、座面積が他の種別より大きくなります。これにより、同一トルクでも高い面圧を確保でき、重要な構造接合部での使用に適しています。一方、方向性があるため、施工時の向きに注意が必要です。

 

建築現場での実用的な使い分け

  • 構造材接合:1種を使用し、高トルク締結で確実な接合を実現
  • 設備配管:2種を使用し、メンテナンス時の取り外しを容易に
  • 軽量部材:3種を使用し、過度な締め付けを防止

施工効率への影響
2種と3種は表裏がないため、現場での施工効率が向上します。特に高所作業や狭小部での作業では、ナットの向きを確認する手間が省けるため、作業時間の短縮につながります。

 

建築現場でよく発生する問題として、1種を逆向きに取り付けてしまうケースがあります。この場合、面取りされていない面が接触面となり、十分な締結力が得られない可能性があるため注意が必要です。

 

六角ナットサイズ早見表とメートルネジ完全対応

建築現場で使用される六角ナットの寸法は、JIS B1181:2009に基づいて標準化されています。以下に主要サイズの詳細寸法表を示します。
小径ネジ(M2~M6)寸法表

ネジ径 面幅(mm) 高さ(mm) 3種高さ(mm) 接触面径(mm)
M2 4.0 1.6 1.2 3.8
M2.5 5.0 2.0 1.6 4.7
M3 5.5 2.4 1.8 5.3
M4 7.0 3.2 2.4 6.8
M5 8.0 4.0 3.2 7.8
M6 10 5.0 3.6 9.8

中径ネジ(M8~M20)寸法表

ネジ径 面幅(mm) 高さ(mm) 3種高さ(mm) 接触面径(mm)
M8 13 6.5 5.0 12.5
M10 17 8.0 6.0 16.5
M12 19 10 7.0 18.0
M16 24 13 10 23
M20 30 16 12 29

大径ネジ(M22~M64)寸法表

ネジ径 面幅(mm) 高さ(mm) 3種高さ(mm) 接触面径(mm)
M22 32 18 13 31
M24 36 19 14 34
M30 46 24 18 44
M36 55 29 21 53
M42 65 34 25 62
M48 75 38 29 72
M56 85 45 34 82
M64 95 51 38 92

これらの寸法は基準寸法であり、実際の製品では許容差が設定されています。M6未満は上仕上げ、M6以上は中仕上げが基本となっています。

 

建築現場では、これらの寸法を基に工具選定や締結トルクの設定を行います。特に面幅寸法はスパナやレンチサイズの選定に直結するため、正確な把握が必要です。

 

六角ナット選定時の注意点と面取り仕様詳細

建築現場における六角ナット選定では、単純にサイズ合わせだけでなく、面取り仕様や使用環境を総合的に考慮する必要があります。

 

面取り仕様による性能差
面取り加工は見た目の問題ではなく、実用性に大きく影響します。1種の片面面取りは座面積を最大化し、接触圧力を高めることで確実な締結を実現します。一方、両面面取りの2種・3種は、ボルトの挿入性と取り外し性を向上させます。

 

締結トルクと変形の関係
3種(低ナット)は高さが低いため、過度な締め付けによるネジ山の変形リスクが高くなります。建築現場では、薄板材との接合や精密な位置決めが必要な箇所で3種を使用する際、トルク管理が特に重要になります。

 

環境条件への対応

  • 屋外露出部耐候性を考慮した材質選定と適切な面取り仕様
  • 振動箇所:しっかりとした座面確保のため1種の採用検討
  • メンテナンス頻度:高頻度の場合は2種・3種で作業性向上

施工時の実用的なポイント
建築現場でよく見落とされるのが、ナットの向きによる性能差です。1種を使用する場合、面取りされた面を表側(見える側)にすることで、適切な締結性能を確保できます。また、狭い作業スペースでは、ナットの最大幅(対角寸法)も工具アクセスの制約要因となるため、事前の確認が必要です。

 

品質管理のチェックポイント

  • 種別表示の確認(1種・2種・3種の明確な識別)
  • 面取り加工の完了状況
  • 寸法公差内での製造精度
  • 材質証明書との整合性

六角ナット材質別特性と建築現場での戦略的使い分け

建築業界では、構造用途や環境条件に応じて六角ナットの材質選定が性能と耐久性を大きく左右します。単なるサイズ選定を超えた、戦略的な材質選択について詳しく解説します。

 

炭素鋼系ナットの特性と用途
S45C、S50C、S55Cなどの炭素鋼は、建築構造材の基本的な接合に広く使用されています。炭素含有量の増加に伴い硬度と強度が向上しますが、加工性と溶接性は低下します。

 

  • S45C(炭素0.42-0.48%):汎用構造材との組み合わせに最適
  • S50C(炭素0.47-0.53%):中程度の強度が要求される箇所
  • S55C(炭素0.52-0.58%):高強度が必要な重要構造部

特殊鋼の戦略的活用
SCrV鋼は、クロム・バナジウム添加により靭性と耐疲労性を向上させた特殊鋼です。建築現場では、繰り返し荷重を受ける部位や振動環境での使用に適しています。
SCM435・SCM440は、クロム・モリブデン鋼として高強度と優れた焼入れ性を持ちます。超高層建築や大スパン構造での重要接合部に採用されることが多く、設計荷重の安全率確保に貢献します。
ステンレス鋼の環境対応性
SUS420J2は、建築外装や湿潤環境での使用に適したマルテンサイト系ステンレス鋼です。海岸部の建築物や、化学的に厳しい環境での長期耐久性を確保します。
建築現場での実践的選定基準
🏗️ 構造種別による選定指針

  • 鉄骨造:SCM系特殊鋼で高強度接合を実現
  • 鉄筋コンクリート造:普通炭素鋼で経済性と性能のバランス
  • 木造:低強度材料との組み合わせを考慮した材質選定

⚙️ 環境条件による戦略的判断

  • 屋内乾燥環境:普通炭素鋼で十分な性能確保
  • 屋外一般環境:亜鉛めっき処理との組み合わせ
  • 腐食性環境:ステンレス鋼による長期メンテナンスフリー化

コスト効率と性能の最適化
建築プロジェクトでは、初期コストと維持管理コストの総合評価が重要です。高級材質の採用により初期投資は増加しますが、メンテナンス頻度の削減と構造安全性の向上により、ライフサイクルコストの最適化が実現できます。

 

特に、大型建築物では数千本単位でのナット使用となるため、材質選定による性能差が建物全体の品質に大きく影響します。設計段階での適切な材質指定により、施工品質の安定化と長期性能の確保が可能になります。

 

建築業界では、これらの材質特性を理解した上で、構造計算結果と環境条件を総合的に判断し、最適な六角ナット仕様を決定することが求められています。