

水用でも電磁弁の手前に40メッシュを使うと、仕様書違反で手戻り工事が発生します。
ストレーナ(T型)は、配管系統の中に継手のように組み込まれる「ろ過装置」の一種です。流体(水・蒸気・油・空気など)の中に混入している土砂・金属くず・配管内壁のさびといった異物を、内蔵するスクリーン(メッシュ状の網や有孔金属板)でキャッチし、後続のバルブやポンプ・流量計・スチームトラップなどの機器を保護する役割を担います。
名称の「T型」は、本体の外観がアルファベットの「T」の字に見えることに由来しています。水平の入口・出口ラインと、中央上部に垂直なスクリーン取出し口があるのが特徴です。この構造によってスクリーン部の容積が大きく確保できるため、Y型と比べてろ過バスケットが大きく、より多くの異物を一時的に保持できます。
具体的な取付け位置はストレート直角フロー配管、つまりL字やコーナー部に使用するのが基本です。Y型ストレーナがストレート配管向きなのに対し、T型はコーナー部に設置することで配管スペースを有効に活用できます。これが基本です。
スクリーン(エレメント)は、配管本体をばらすことなく上部カバーを外すだけで取り出せる構造になっています。そのため、清掃・交換といったメンテナンス作業が他の型式と比べて容易であることが、現場で重宝される大きな理由の一つです。
接続方式については、T型は突き合わせ溶接接続が原則とされるケースが多く、大口径(4〜6インチ以上)への適用が標準的な使い方となっています。小口径(2〜3インチ以下)にはY型が多用されるのと対照的な位置づけです。口径が大きいほどフランジの脱着が難しくなりますが、T型の構造ならスクリーンのみ引き抜いて清掃できるため、大口径でもメンテナンス性が落ちにくいという利点があります。
参考:T型・Y型など各種ストレーナの種類・構造・用途を詳しく解説するページです。
T型ストレーナを選定するうえで、最も重要かつ見落とされがちなのが「メッシュ(網目)の選定基準」です。
メッシュとは、1インチ(25.4mm)の間に並ぶ網目の数を指します。数字が大きいほど目が細かく、より小さな粒子を捕捉できます。40メッシュの場合、1インチあたり40個の穴があり、目の開きはおよそ0.47mm程度。80メッシュでは目の開きが約0.20mmまで細かくなります。
国土交通省「公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)」では、以下のメッシュが規定されています。
| 流体の種類・条件 | 必要メッシュ |
|---|---|
| 水用(一般) | 40メッシュ以上 |
| 水用(電磁弁の前に設ける場合) | 80メッシュ以上 |
| 蒸気用 | 80メッシュ以上 |
「水用なら40メッシュで大丈夫だろう」と思いがちですが、電磁弁の直前にストレーナを設置する場合は80メッシュが必要になります。この規定を知らないまま40メッシュを取り付けると、公共建築工事では仕様書違反として手戻り工事の原因になりかねません。痛いですね。
また、同一メッシュ数であっても金網の線径が違うと開口面積(空間率)が変わります。例えば80メッシュでも線径0.12mmの場合は空間率が約39%ですが、太い線径を使えばその分だけ開口率は下がります。つまりメッシュ数だけで「細かさ」を決定するのは不十分で、線径や空間率まで確認することが条件です。
さらに、ストレーナ本体の呼び径は配管の呼び径と必ず同じものを使用してください。呼び径が小さいと圧力損失が大きくなり、所定の流量を維持できなくなります。「少し小さい口径でも通れば同じだろう」という判断が流量不足・機器トラブルを招く典型パターンです。これが原則です。
参考:スクリーンのメッシュ種類・選定基準・流体別の標準流速データを確認できるメーカーページです。
参考:国土交通省「公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)」のメッシュ規定をQ&A形式で解説しているページです。
現場でよく混同されるのが、T型・Y型・バケット型の3種類の使い分けです。それぞれの特徴を理解して正しく選定しないと、メンテナンス頻度が増えたり、設置スペースの無駄が生じたりします。
まずY型ストレーナは、最も広く使われている定番タイプです。本体がアルファベットの「Y」の字に見える形状で、入口と出口が約45度の角度で分岐しています。ストレート配管に取り付けられ、水平・垂直どちらの配管にも設置できるのが強みです。コンパクトで安価なため、小口径(2インチ以下)配管の機器保護用として選ばれることが多い傾向があります。
T型ストレーナは、コーナー部・直角フロー配管への設置を前提とした設計です。Y型より内部容積が大きく、スクリーンバスケットを大型化できる分、異物を多く保持できます。中~大口径(4インチ以上)で特に優位性を発揮します。価格はY型より若干高いですが、メンテナンス性(スクリーンの取出しやすさ)を優先する大口径現場での採用が多いです。
バケット型(U型)は、Y型よりさらに濾過面積を大きくとれるのが特長で、異物が比較的多い流体に対応します。エレメントを上方に引き出す構造のため、大型になるとメンテナンス作業性はT型より劣ります。8インチ以上の大口径ではバケット型が選定されることが多いです。
整理すると、目安として下表のように考えると選定しやすくなります。
| 種類 | 主な適用口径 | 設置配管 | メンテナンス性 | コスト目安 |
|---|---|---|---|---|
| Y型 | 小口径(〜3インチ) | ストレート | ◎ | 安 |
| T型 | 中〜大口径(4〜6インチ〜) | コーナー部 | ◎ | 中 |
| バケット型 | 大口径(8インチ〜) | 水平 | △(上方引出し) | 高 |
つまり、「大口径でコーナー配管・かつメンテナンス性を重視するならT型」という選択が基本です。
なお、T型ストレーナは容積が大きく、同じ運転条件であればY型より次回清掃までの使用寿命(サービス寿命)が長くなる傾向があります。メンテナンス頻度を下げたい現場では、T型を選ぶことが長期的なコスト低減につながる場面もあります。これは使えそうです。
参考:T型とY型の構造・ろ過効率・コスト・設置方法の違いを比較解説しているページです。
T型ストレーナとY型ストレーナの違いは何ですか?|Valpro
T型ストレーナを設置する際に見落とされやすいのが「圧力損失」の問題です。
圧力損失とは、流体がストレーナを通過するときに生じる圧力の低下量を指します。スクリーンに異物が溜まるほど目詰まりが進み、圧力損失は増大します。圧力損失が増えると流量が低下し、後続の熱交換器・コンプレッサー・ポンプなどの機器が正常に運転できなくなるリスクがあります。
一般的な清掃の目安として、ストレーナ前後の差圧が0.1MPa(≒約1kgf/cm²)を超えたタイミングが清掃時期の目安とされています。前後に圧力計を設置しておくと、この差圧を日常的にチェックできるため、突発的なライン停止を防ぎやすくなります。差圧監視が条件です。
圧力損失の特性について、よく誤解されている点があります。「メッシュ数を増やすと圧損が大きくなる」と思われがちですが、実際はメッシュ数を変えても流速が低い(ポンプ吸込み側で流速1.0m/s程度まで)場合には圧損への影響はほとんど無視できるほど小さいです。意外ですね。
圧損が問題になる場合の対策として有効なのは、型式変更(例:Y型からT型・バケット型へ変更して濾過面積を増やす)か、配管径の変更です。メッシュ数だけを変えても改善が見込めないことがあるため、根本的な見直しが必要になります。
設置方向にも注意が必要です。異物が溜まるスクリーン取出し口は、ゴミが重力で落ちやすいよう下向きに向けるのが推奨されます。上向きに設置してしまうと、スクリーン内に溜まった異物が取り出しにくくなり、清掃作業の手間が増えます。また、点検口・清掃口が確保できない位置への設置は施工不良とみなされる場合もあるため、設計段階からアクセス性を考慮した配置計画を立てることが重要です。
流体の種類別の標準流速も把握しておくと選定時に役立ちます。一般の上下水道管では1.5〜2.5m/s、工場の一般給水管では1.0〜3.0m/sが標準的な目安です。この流速を超えないよう配管口径を設定することが、圧力損失を適正範囲に収める基本条件となります。
参考:ストレーナの圧力損失の考え方・型式別の特性・設計初期段階でのΔP設定目安を解説しているページです。
プラントで使用されるストレーナーの種類と特徴の解説|ゆるゆるプラントエンジニア
ストレーナ(T型)は一度設置したら終わりではなく、定期的なメンテナンスが不可欠です。これが原則です。
スクリーンに異物が蓄積すると、目詰まりによって流量・圧力が低下し、後続機器のトラブルへと発展します。具体的には、熱交換器の冷却効率悪化・ポンプの空転・コンプレッサーの過負荷・電磁弁の動作不良といった連鎖的なトラブルが起きる可能性があります。
清掃の一般的なサイクルは「年1回程度」を目安にすることが多いですが、現場の流体条件によって大きく変わります。河川水・地下水を扱うラインや、異物量が多い流体では、雨後の水質変化による急激な目詰まりが発生するケースもあります。その場合、差圧計による日常的なモニタリングと組み合わせることで、清掃タイミングを適切に判断できます。
T型ストレーナのスクリーン清掃手順は次の通りです。
スクリーンは消耗品です。一見きれいに見えても、金網が伸びたり変形していると所定のろ過精度を発揮できなくなります。交換サイクルの目安は使用環境によって異なりますが、2〜3年を一つの目安にしている現場が多いです。
ラインを頻繁に停止できない現場では、「自動洗浄型(オートストレーナ)」への切り替えが検討されます。ブラシ・スクレーパーでエレメント表面を掻き取るタイプや、逆流(逆洗)でゴミを剥がすタイプなどがあり、中でも逆洗式は洗浄力が高く清掃不要率が99.5%以上とも言われます。導入コストは通常のストレーナより大幅に上がりますが、ラインを止めるごとに発生するロスタイムや人件費と比較すると、コストが見合う場合があります。
参考:ストレーナにまつわる現場の清掃問題・目詰まりリスク・オートストレーナ導入のメリットをまとめたページです。
ストレーナとは?配管更新・入れ替え前に知っておくべき現場の悩みと解決策|ボールフィルター