
耐火二層管の規格では、内管に硬質ポリ塩化ビニル管(塩ビ管)、外管に繊維モルタル成形管を使用した二層構造が基本となります。規格上、排水・通気用耐火二層管(略称:FDPD)として定義され、Fire resistive Dual Pipes for Drainageの頭文字から命名されています。
製品の種類は内管の仕様により以下の4種類に分類されます。
規格では各タイプの使用温度制限も明確に定められており、VP管・VU管は60℃以下、HT管は85℃以下(瞬間最高90℃)の連続使用が可能です。
規格寸法は呼び径20mmから200mmまで幅広く設定されており、各径に対して厳密な寸法基準が定められています。
主要寸法規格表(抜粋)。
呼び径 | 内管外径 | 外管外径 | 外管厚さ | 標準長さ |
---|---|---|---|---|
25mm | 32mm | 45.5mm | 6.0mm | 2,000mm |
50mm | 60mm | 80mm | 10.0mm | 2,000mm |
100mm | 114mm | 134mm | 10.0mm | 2,000mm |
150mm | 165mm | 183mm | 7.5mm | 2,000mm |
特に重要なのは、外管の繊維モルタル被覆層の厚さが径によって異なることです。小径管では6.0mm、大径管では最大10.0mmの被覆厚さが規定されており、これが耐火性能の根幹となっています。
また、製品の許容差についても厳格に規定されており、外径は±0.5mm以内、長さは±10mm以内という高精度な製造基準が求められています。
建設大臣官房官庁営繕部監修の機械設備工事共通仕様書では、耐火二層管の支持間隔について特別な規定を設けており、呼び径65mm以下では1.0m以下、それ以上では2.0m以下の間隔で支持することが定められています。
耐火二層管規格の最も重要な要素は、建築基準法第68条の25第1項に基づく国土交通大臣認定です。この認定は、建築基準法施行令第129条の2の4第1項第七号ハの「防火区画貫通部1時間遮炎性能」に適合することを証明するものです。
認定の具体的内容。
認定工法では、建築基準法施行令第129条の2の4第1項第7号ハの規定により、不燃材料で造ることとされている部分およびそれに連続する部分を一体的に耐火二層管を用いて施工することが求められています。
さらに、消防法関連では(一財)日本消防設備安全センター性能評定も取得しており、消防法施行令第8条に規定する開口部がない耐火構造の床又は壁と同等の性能を有すると認められています。
耐火二層管規格では、構成要素である内管と管継手について、複数のJIS規格への準拠が義務付けられています。
内管のJIS準拠基準。
管継手のJIS準拠基準。
品質管理においては、(一財)建材試験センターでの性能試験が実施され、遮音性、耐火性、耐久性の各項目で厳格な基準をクリアした製品のみが市場に供給されています。
特に注目すべきは、繊維モルタル外管の品質基準です。セメント、砂、繊維材料の配合比率、養生条件、圧縮強度など、詳細な製造基準が設けられており、これらすべてをクリアした製品のみが規格品として認められています。
耐火二層管規格の施工においては、公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)に基づく厳格な施工基準が設けられています。
基本施工要件。
検査項目と基準。
🔍 外観検査
🔍 寸法検査
🔍 接合部検査
特に超高層建物(20階以上)への採用が増加している現在、より厳しい品質管理基準が適用されており、施工前の詳細な施工計画書提出と、各工程での第三者検査機関による確認が求められています。
また、異種管との接続部分については、専用の接続継手を使用し、耐火性能を損なわない施工方法が規格化されており、鋳鉄管、鋼管、一般塩ビ管との適切な接続が可能となっています。