
SGP管(配管用炭素鋼鋼管)用の吊りバンドは、蝶番式構造により配管の着脱が容易で、メンテナンス性に優れています。以下にアカギ製A10140吊タン付の詳細寸法を示します。
小口径SGP管用寸法表
中大口径になると締付ボルトの仕様が変更されます。50A以上では板厚が1.8mmから2.3mmに増加し、125A以上では締付ボルトがM10×30、さらに175A以上ではM12×45となります。
大口径SGP管用寸法詳細
SGP管用吊りバンドの材質は電気亜鉛めっき仕上げが標準で、腐食環境下での使用に配慮されています。吊用タンはW3/8が基本仕様で、125A以上ではW1/2となります。
VP管(硬質塩化ビニル管)用の吊りバンドは提灯式構造を採用し、軽量かつ施工性に優れた設計となっています。SGP管用とは異なる寸法体系を持ちます。
VP管用小口径寸法仕様
VP管の特徴は板厚が1.0mmと薄く設計されている点です。これはVP管自体の軽量性を活かした仕様で、過度な締付圧による管の変形を防ぐ効果があります。
VP管用中大口径寸法
VP125以上では板厚が2.0mmに増加し、より大きな荷重に対応します。すべてのサイズで電気亜鉛めっき仕上げが施され、建築環境での長期使用に配慮されています。
ステンレス鋼管用吊りバンドは、SUS304製で塩害地域以外での使用に適しています。SGP管と併用する場合は電食防止処理が必要です。
ステンレス製吊りバンド寸法特徴
ステンレス製の特徴は、125A以上で板厚が3.0mmとなり、一般鋼製よりもやや薄い設計となっている点です。これはステンレス鋼の高い強度特性を活かした合理的な設計です。
大口径ステンレス製仕様
250A以上では平鋼製構造となり、リブのない設計に変更されます。350A以上は製作品対応となるため、事前の詳細確認が必要です。
吊りバンドの締付ボルト選定は、配管の重量と流体重量を合わせた総荷重に基づいて行います。管径が大きくなるほど強力なボルトが必要になります。
ボルト径選定の基本原則
ボルト長さの選定では、管の外径と断熱材厚さを考慮する必要があります。一般的に管外径の1.5倍以上の余裕を持った長さを選定します。
荷重計算における注意点
配管自重は管材質と流体重量の合計で算出します。例えば100A SGP管の場合。
安全率2.0を考慮すると、約38.2kg/mの荷重に対応できる吊りバンドが必要となります。この場合、M8ボルト仕様で十分な強度を確保できます。
現場での吊りバンド設置において、カタログには記載されていない実務上のポイントがあります。これらを理解することで施工品質と作業効率が大幅に向上します。
配管勾配と吊りバンド位置の関係
配管に勾配が必要な場合、吊りバンドの設置間隔は水平配管より密にする必要があります。勾配1/100以上では、標準間隔の80%程度に短縮することで、たわみを抑制できます。
異種管接続部での電食対策
SGP管とステンレス管の接続部近傍では、異なる材質の吊りバンドを使用すると電食が発生する可能性があります。この場合、絶縁パッドの挿入または同一材質での統一が効果的です。
季節による熱伸縮の考慮
大口径配管では熱伸縮量が大きくなるため、吊りバンドの締付トルクを季節に応じて調整する必要があります。夏季施工では冬季の収縮を見込んで若干緩めに、冬季施工では夏季の伸びを考慮して標準トルクで締付けます。
メンテナンス性を考慮した配置
将来のメンテナンス性を考慮し、バルブや継手近傍の吊りバンドは着脱容易な蝶番式を選定することが重要です。また、点検用の作業スペース確保も設計段階で検討すべきポイントです。
これらの実務的な知識は、長年の現場経験から得られるノウハウであり、適切な吊りバンド選定と設置により、配管システムの長期安定稼働を実現できます。