

床の「トップ材」という言葉は、現場では上塗り(トップコート)全般を指すことが多い一方、メーカー仕様書では上塗り材が“システムの一工程”として、塗布量・配合・塗装間隔まで細かく規定されます。たとえば硬質ウレタン系の塗り床材では、下地処理→プライマー→下塗り→上塗りという工程で、プライマーにフィラーを混合して均一塗布し、下塗りでは主剤と硬化剤を重量比で混合して撹拌する、といった具体手順が明記されています。実際にアトミクスの「フロアトップU-100NEO」の仕様例では、プライマーUにGフィラーを30%混合して塗布し、下塗りは主剤:硬化剤=1:4(重量比)で混合して撹拌、塗装間隔も工程ごとに提示されています。上塗りも同一材料で所定量を施工する仕様が掲載されており、現場の“感覚施工”ではなく、数値に基づく再現性を重視している点がポイントです。[][page:1]
塗布量を軽視すると、トップ材の耐摩耗性以前に「膜厚不足→ピンホール→汚れの食い込み→清掃で荒れる」という連鎖が起きやすくなります。逆に塗り過ぎは乾燥遅延やタレ、溶剤の閉じ込めによる軟化の原因にもなるため、仕様書の塗布量と道具(ローラー、鏝、スキージー)をセットで管理するのが安全です。特に二液型は混合比のブレがそのまま硬化不良に直結するので、計量は目盛り容器ではなく重量計測を基本にし、撹拌不足を防ぐために電動撹拌機を前提に段取りすると品質が安定します(仕様例として、電動撹拌機で十分に混合撹拌する指示が明記されています)。[page:1]
トップ材の不具合の多くは、トップ材そのものより「下地処理」と「プライマー」で決まります。メーカー仕様でも、最初にゴミ・ホコリ除去、油分が残る場合の脱脂といった下地処理が前提条件として置かれています。つまり、トップ材の“密着”は上塗り工程の話ではなく、床下地の清掃・脱脂・補修をどこまでやるかの話です。床は水平面なので汚れが残りやすく、油分は見た目で判断しづらいので、整備工場・厨房・倉庫では特に脱脂工程を仕様化しておくと事故が減ります。[page:1]
プライマーは「接着剤」としての役割があり、上塗りの出来映え以前に、下地と塗膜をつなぐ生命線です。別領域ですがウレタン防水の工程説明でも、洗浄→プライマー→防水材→トップコートという流れが“基本の順序”として整理されており、下地と上塗りの間にプライマーを置く考え方は共通しています。床でも同様に、プライマーの塗布ムラがあると、そのムラが後で“艶ムラ”や“剥離の起点”として表面化します。特に旧塗膜の上に塗る場合は、密着不良リスクが上がるため、既設の状態(脆弱層、ワックス、粉化)を見極めた上で、必要なら研磨や下地補修材を挟む判断が重要です。[][page:2]
あまり知られていない現場トラブルとして、「床面に貼り付けたラインテープなどを剥がすと塗膜がはがれる」「軟質塩ビやゴムと長時間接触すると変色・軟化・剥離が起きる」という注意点があります。これはトップ材の性能不足というより、運用側(テープ・マット・養生材)との相性問題で、施工後に発生して“施工不良”扱いになりがちです。事前に、塗床メーカーが注意喚起している接触リスク(軟質塩ビ・ゴム)を施主・現場管理側にも共有しておくと、責任分界が明確になります。[page:2]
参考:軟質塩ビ・ゴム接触による変色/軟化/剥離、ラインテープ剥離リスク(運用上の注意)
カラートップU(薄膜型ウレタン樹脂系防塵塗料)
建築従事者がトップ材を選ぶ場面では、「見た目」より先に、摩耗(台車・フォークリフト・歩行動線)と薬品(油、洗剤、消毒剤、食品工場の薬剤)を想定するのが実務的です。硬質ウレタン系塗り床材の例では、耐摩耗性と柔軟性を併せ持つことで、衝撃で割れにくいことを特長として挙げています。これは、硬いだけの材料だと衝撃でクラックが入り、そこから汚れや水が回って破壊が進むためで、現場負荷が高い場所ほど「適度な追従性」が効いてきます。[page:1]
また、耐薬品性は“薬品に強い”という一言では足りず、何の薬品・濃度・温度・接触時間かで変わります。たとえば硬質ウレタン系の製品説明では、従来ウレタンより耐薬品性に優れ、従来エポキシより耐熱水性に優れる、といった方向性が示されています。厨房や食品工場では熱水洗浄があるため、耐熱水性を意識したシステム選定が結果的に長寿命化に効きます。さらに、クラック追従性を上げるために下塗りに柔軟添加剤を入れる仕様が用意されている例もあり、「トップ材だけ頑張る」より、層構成で壊れ方を制御する発想が重要です。[page:1]
床の耐久性を落とす意外な要因として、“清掃方法”があります。耐汚染性が高い鏡面仕上がりは汚れが付きにくい一方で、研磨材入りパッドや強アルカリ洗浄を常用すると微細な傷が増え、結果的に汚れが乗りやすくなることがあります。トップ材選定時に、現場で使う洗剤・ブラシ硬さ・清掃頻度まで聞き取り、運用を前提に「耐久の出る仕様」を組むのが、施工後のクレームを減らす近道です。[page:1]
トップ材の相談で多いのが「黄変」です。黄変は単に見た目の問題に見えますが、淡彩色の床では衛生感・照度感にも直結するため、病院・店舗・見学通路などでは仕様要件になりやすい項目です。難黄変の塗り床材として、ABC商会は紫外線による黄変を大幅に低減した塗り床材を提示しており、淡彩色での対応や美観保持を訴求しています。ここで押さえたいのは、トップ材を「汎用品」から「難黄変系」に替えるだけで、維持管理(塗り替え周期・美観クレーム)が変わる可能性がある点です。[]
さらに“意外な変色原因”として、前述のとおり軟質塩ビ・ゴムの長時間接触で、塗膜の変色や軟化、剥離が起きる場合があると明記されています。たとえばゴム脚の什器、ゴムマット、滑り止め、養生材などは現場に普通に存在するため、難黄変を選んでも運用で変色することがあります。ここは施工側だけでは防げないため、引き渡し時に「接触素材の注意」を文書で渡しておくと、後工程のトラブルを防げます。[page:2]
参考:黄変低減(難黄変)を特徴にした塗り床材の考え方(美観保持・淡彩色)
https://www.abc-t.co.jp/products/detail/8020.html
検索上位では「施工手順」「耐久性」「費用」に寄りがちですが、実務では“すべり”が事故に直結します。トップ材の表面は、乾燥時は問題なくても、散水・油・粉塵の混在で一気に危険になります。床材メーカーの性能データとして、すべり抵抗係数(C.S.R)が乾燥面・水+砂面で提示されている例があり、同じ材料でも「コーティング工法」と「防滑工法」で数値が変わることが示されています。ここから分かるのは、防滑は“材料名”ではなく“工法(仕上げ方)”で確保する領域が大きいということです。[page:2]
防滑の設計で重要なのは、単にザラザラにするのではなく、用途に合わせてバランスを取ることです。
・厨房や食品工場:滑りにくさは必要だが、凹凸が強すぎると汚れが残りやすく清掃性が落ちる
・倉庫・工場通路:台車走行があるので、過度な骨材は転がり抵抗や騒音、摩耗粉の原因になる
・機械室:油の飛散があるなら、防滑より先に油の管理と清掃導線もセットで考える
現場でできる具体策としては、仕様決定前に「濡れた状態」「粉塵が乗った状態」を想定したテスト施工(小面積)を行い、靴底との相性を確認するのが有効です。すべり抵抗係数のような客観値が出ている材料は、施主説明がしやすく、事故リスク低減の根拠として使えます。さらに、テープ剥離低減対策仕様が用意されている製品もあるため、動線表示や区画整理が多い現場では“ライン運用”まで見込んでトップ材を選ぶと、後で剥がれトラブルが起きにくくなります。[page:2]

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