

ブチルゴム系シーリング材の代表的な用途は、配管・ダクト・金属部材周りの止水と気密確保、そしてルーフィング材の継ぎ目充填です。
建築用のブチルシールは「ルーフィング材の継ぎ目」「配管・ダクト回り目地」「金属類のシーリング」など屋根・外装の局所的な防水に特化した用途がカタログで明示されています。
通販サイトの製品説明では、コンパネ目地、防水シート端末、板金のはぜ折り部、サッシ回り、エアコンダクト貫通部など、多様な隙間シール用途で使われていることが示されており、現場では「細かい水回り・風の侵入対策」材料としての性格が強いことが分かります。
ブチルゴムは柔軟性と優れた気体バリア性を持つゴムとして知られ、ガス透過を抑える目的で複合材料にも利用されるほどです。pmc.ncbi.nlm.nih+1
この「ガスを通しにくい」という性質が、建築分野では防水だけでなく気密施工や臭気・ガス漏れ対策用途で選ばれる大きな理由になっています。akiyamakogyo+1
また、一部製品は不乾性シールパテとして提供され、電気配線や冷暖房配管の貫通部シールなど、長期にわたり追従性と密着性が要求される箇所にも使用されています。
参考)https://www.akiyamakogyo.co.jp/pdf/sealing.pdf
ブチルゴム系シーリング材の大きな特徴は、弾力性・柔軟性に富み、耐老化性・耐水性・耐薬品性に優れる点で、金属やALC板、木材、モルタルなど多様な下地にプライマー無しでも良好な接着性を示すことです。
乾燥硬化型のブチルゴム系コーキング剤は粘着力が強く、硬化後も低モジュラスで動きに追従しやすいため、板金の重ね合わせ部やルーフィングの継ぎ目のように微細なムーブメントが繰り返される箇所に向いています。
一方で、乾燥硬化型のため硬化時に体積収縮が生じる製品もあり、厚塗りや目地設計によってはシール厚不足や界面応力集中の原因となることが指摘されています。santac+1
また、塗り替え時には旧シーリング材の撤去や下地処理で素地が薄くなりやすく、屋根板のムーブメントに追従できない恐れがあるなど、ディテール設計と改修計画を誤ると防水性能を損なう要因になり得ます。
参考)https://www.santac.or.jp/pdf/kawara_rk.pdf
さらに、ブチルゴムは透湿性・ガス透過性が低い反面、一部溶剤には溶解する性質があるため、塗装や周辺材料で用いる有機溶剤との相性確認も現場では重要なチェックポイントになります。sealant+1
ブチルゴム系シーリング材を屋根のルーフィング継ぎ目に用いる場合、下地処理として旧シーリング材の撤去を丁寧に行い、シーリングカスや薄膜をスクレーパーで除去することが、健全なシーリング目地を作るうえで最も重要とされています。
サイディング目地などのワーキングジョイントでは、既存シーリング撤去後にバックアップ材や剥離テープを適切に設置し、二面接着を確保することで、ブチルゴム系に限らずシーリング材全般の耐久性が大きく向上します。
不要部分に付着したシーリング材は塗料薄め液や有機溶剤で拭き取る方法が紹介されていますが、ブチルゴム系の場合は粘着力が強いため、汚れを拭き広げないように局所的に処理することが推奨されています。monotaro+1
また、シーリング材の厚みを出来るだけ確保することが漏水防止に有効とされ、ゴム弾性がまだ健全な場合でも、再充填時には下地処理と適正厚の確保をセットで考える必要があります。santac+1
住宅外壁改修シーリング全般の施工上の注意点と下地処理手順の詳細解説。ブチルゴム系も含めた基本事項を整理する際の参考に。
一般社団法人日本シーリング材工業会「住宅外壁改修のためのシーリング材ガイド」
コーキング剤の種類を整理した技術資料では、ブチルゴム系コーキング剤は「乾燥硬化型で粘着力が強く、硬化後も柔軟で耐油性・耐候性が良好」という位置づけで、躯体目地や防水端部などに使われることが示されています。
同資料ではポリウレタン系、シリコーン系、アクリル系など他のシーリング材も並べて解説されており、ブチルゴム系は特に「強い粘着」「優れた防水・気密」「比較的低いモジュラス」といった特徴から、ルーフィングや板金継ぎ目などに適すると整理されています。
一方で、変成シリコーン系やシリル化アクリレート系のように外装サイディング目地やガラス回りの長期ワーキングジョイントに適した材料も存在し、これらは上塗り塗装との相性や耐候性の観点から選定されます。sealant+1
建築用シーリング材の総合サイトでは、各基材別に「建物内外装・ガラス回り」「サイディングボード板間目地」「浴室水回り」など用途を分けて推奨製品を紹介しており、ブチルゴム系はその中でも「ルーフィング継ぎ目」「配管・ダクト・金属類のシーリング」といったニッチだが重要な箇所での専用材として位置づけられています。
参考)ブチルシール
コーキング剤の種類と特性、用途の違いを図解で整理している解説ページ。ブチルゴム系と他系統の比較検討時に有用。
ブチルゴムは高いガスバリア性と弾性を活かし、建築分野以外では自動車分野のテールライトやドア内張の防水シール、振動音の吸収材、電線ケーブルの端末処理や絶縁保護などにも広く用いられており、これらの知見は建築のディテール設計にも応用できます。
電線ケーブル用のブチル系シール材は、電気特性や耐オゾン性・耐候性にも優れているとされ、機械室や屋上設備廻りでの電気配線貫通部シールなど、建築と設備が交差する高負荷環境にも適用可能なポテンシャルを示しています。
材料工学の分野では、ブチルゴムを含むゴム系複合材料にグラフェン酸化物などを加えた高バリアコンポジットが研究されており、複雑なバリアネットワーク構造によってガス透過をさらに抑制できることが報告されています。mdpi+1
このような高バリア・高耐久のゴム複合技術は、将来的に「超長期耐久型の防水・気密シーリング材」として建築分野へ還元される可能性があり、ブチルゴム系シーリング材の用途も、既存のルーフィング継ぎ目や配管周りだけでなく、より高性能な気密・防臭・ガス遮断用途へ広がっていくことが期待されています。pmc.ncbi.nlm.nih+1
ブチルゴムを含む高バリア性ゴム複合材料の研究論文。将来の高性能シーリング材の方向性を考える際の技術的背景として参考に。