dv継手寸法一覧と規格選定ガイド建築排水設備

dv継手寸法一覧と規格選定ガイド建築排水設備

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dv継手寸法一覧

DV継手寸法の基本情報
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呼び径範囲

φ30~φ150mm(JIS K6739規格準拠)

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許容差

呼び径100以下:±2mm / 125以上:±3mm

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流れ角度

91°10′(許容差±30′)

dv継手規格と基本寸法体系

DV継手は「Drain・Vent(排水・通気)」の略称で、建築設備の排水管路において重要な役割を担っています。JIS K6739排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手として規格化されており、φ30からφ150までの寸法が標準化されています。

 

主要規格と適用範囲

  • JIS K6739規格: φ30~φ150mm対応のDV継手
  • AS38規格: φ50~φ150mm対応のVU-DV継手
  • AS12規格: φ200~φ300mm対応の大口径継手

DV継手の構造的特徴として、内圧がかからない排水用途を想定しているため、TS受口と比較して受口深さが短く、テーパも緩やかに設計されています。この設計により、施工性が向上し、配管作業の効率化が図れます。

 

基本寸法の構成要素
各継手の寸法は以下の記号で表記されます。

  • D: 外径寸法
  • d1、d2: 内径寸法
  • t: 肉厚寸法
  • L1、L2、L3: 長さ寸法
  • Z1、Z2、Z3: 奥行き寸法

dv継手エルボ寸法詳細と選定基準

90°エルボ(DL)は排水配管の方向転換に使用される基本的な継手です。各呼び径における具体的な寸法を以下に示します。

 

90°エルボ(DL)の標準寸法

呼び径 品番 L寸法 Z寸法
40mm UDL40 27mm 49mm
50mm UDL50 33mm 58mm
65mm UDL65 42mm 77mm
75mm UDL75 48mm 88mm
100mm UDL1H 62mm 112mm
125mm UDL1Q 75mm 140mm
150mm UDL1F 88mm 168mm

45°エルボ(45L)は緩やかな方向転換が必要な場合に選択されます。水流の抵抗を抑制し、スムーズな排水を実現できるため、高層建築物の排水立管において特に有効です。

 

45°エルボの特徴と用途

  • 水流抵抗の軽減により排水能力が向上
  • 配管スペースに制約がある場合の代替案
  • 音響特性の改善効果

90°大曲りエルボ(LL)は、標準エルボよりも曲率半径が大きく設計されており、排水の流れがより滑らかになります。特に大口径配管や流量の多い箇所で威力を発揮します。

 

dv継手Y継手寸法仕様と分岐設計

Y継手は排水管路の分岐部分に使用される重要な継手です。90°Y(DT)と45°Y(Y)の2種類が主流で、それぞれ異なる用途に対応しています。

 

90°Y継手(DT)の寸法データ
径違いタイプの90°Y継手の代表的な寸法。

呼び径組合せ Z1 Z2 Z3 L1 L2 L3
75×50 35mm 48mm 74mm 75mm 73mm 34mm
100×50 35mm 62mm 84mm 85mm 87mm 34mm
100×75 49mm 62mm 98mm 99mm 102mm 48mm
150×100 63mm 88mm 142mm 143mm 138mm 62mm

45°Y継手の設計上の利点
45°Y継手は排水の合流角度が緩やかなため、以下のメリットがあります。

  • 排水流量の合流時の乱流抑制
  • 固形物の詰まりリスク軽減
  • 清掃・メンテナンス性の向上
  • 騒音レベルの低減効果

分岐設計における重要なポイント
排水管路の分岐設計では、流入角度と流量バランスが重要です。45°Y継手を使用することで、主管への排水流入がスムーズになり、排水システム全体の性能向上が期待できます。

 

特に、複数階からの排水が合流する縦管では、各階の排水タイミングが重なった際の背圧発生を抑制する効果があります。これは高層建築物において特に重要な設計要素となります。

 

dv継手大曲り継手寸法と流体特性

90°大曲りエルボ(LL)および90°大曲りY(LT)は、標準継手よりも曲率半径を大きく設定した特殊継手です。これらの継手は流体力学的な観点から優れた性能を発揮します。

 

90°大曲りエルボ(LL)の寸法特性

呼び径 品番 L寸法 Z寸法 曲率半径
50mm ULL50 66mm 91mm 1.5D
65mm ULL65 90mm 125mm 1.5D
75mm ULL75 100mm 140mm 1.5D
100mm ULL1H 128mm 178mm 1.5D
125mm ULL1Q 140mm 205mm 1.5D
150mm ULL1F 170mm 250mm 1.5D

大曲り継手の流体力学的優位性
大曲り継手の採用により、以下の流体特性が改善されます。

  • 圧力損失の低減: 曲率半径の増大により流れの剥離が抑制
  • 乱流の軽減: 滑らかな流路により層流状態の維持
  • 自浄作用の向上: 流速の均一化により固形物の沈積防止

90°大曲りY継手(LT)の特殊用途
90°大曲りY継手は、大流量の排水処理や特殊な配管レイアウトに対応します。特に以下の用途で威力を発揮。

  • 厨房排水の大流量処理
  • 雨水排水システムの主管
  • 工場排水の合流部
  • 病院や学校などの大型施設

径違い大曲りY継手の寸法設計
径違いタイプでは、主管と分岐管の口径差を考慮した最適な形状設計が施されています。例えば、150×100mm仕様では、主管150mmから分岐管100mmへの流路変化を滑らかに処理し、流量配分の最適化を実現しています。

 

dv継手選定と施工上の実務ポイント

DV継手の適切な選定は、排水システムの性能と耐久性に直結する重要な要素です35。実際の施工現場では、理論値だけでなく実用的な観点からの検討が必要になります。

 

継手選定の基本チェックポイント

  • 流量計算: 計画最大流量に対する余裕率の確保
  • 設置環境: 温度変化や振動の影響評価
  • 維持管理: 清掃アクセスや部品交換の容易性
  • 経済性: 初期コストと維持コストのバランス

特殊環境での継手選定
高温排水を扱う厨房設備では、HT-DV継手(耐熱仕様)の採用が推奨されます。これらの継手は通常のDV継手よりも耐熱性能が向上しており、60℃~95℃の高温排水に対応可能です。

 

施工時の寸法管理
DV継手の施工では、以下の寸法管理が重要。

  • 挿入深さの確認: 規定寸法±2mmの精度管理
  • 角度の調整: 流れ角度91°10′±30′の範囲内調整
  • 接着剤の塗布: 均一な接着層の形成

配管勾配との関係性
排水管の勾配設定とDV継手の選定は密接に関連します。1/50~1/100の勾配設定において、継手部分での流速変化を最小限に抑制するため、適切な継手形状の選択が必要です。

 

品質管理と検査項目
施工後の品質確認では、以下の項目を重点的にチェック。

  • 継手部の水密性確認
  • 流路の連続性検証
  • 支持構造の安定性評価
  • 将来の点検アクセス確保

実際の施工現場では、これらの要素を総合的に判断し、最適なDV継手の組み合わせを決定することが、長期的な排水システムの安定運用につながります。継手選定は単なる部品選択ではなく、システム全体の性能を左右する重要な設計要素として位置づけられています。