インチの表記と図面と配管

インチの表記と図面と配管

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インチの表記と図面

インチの表記で迷わない要点
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記号は「in」と「″」を区別

規格上の単位記号はinが基本で、″は代替表記として現場や図面で出ます。引用符(”)混入が誤読の原因です。

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配管は「呼び径」で考える

B呼称(インチ系)とA呼称(ミリ系)は同じ外径を指すが、数値=実測ではありません。表で照合が安全です。

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木材は「呼び寸法」と実寸が違う

2×4のような表記は“名目”で、実際の断面は規格で小さくなっています。材料取り・納まりで要注意です。

インチの表記の記号「in」「″」と引用符の違い


建築図面や仕様書で出てくる「インチの表記」には、主に「in」と「″」が混在します。規格上の単位記号は「in」が基本とされ、数値に続けて「10 in」のように書くのが安全な表記です。実務では「10″」のようにダブルプライム記号でインチを表すことも多く、ここまでは許容されがちですが、問題は“見た目が似ている別文字”が紛れ込む点にあります。


よくあるのが、ダブルプライム(″)の代わりに、二重引用符(”)やASCIIのダブルクォート(")が入力されるケースです。Wikipediaでも、インチはダブルプライム記号「″」で書かれる一方、代替として「”」やASCIIの引用符が使われることがあると説明されています。つまり、同じ「10"」に見えても、文字コード上は別物になり得るため、CADや積算ソフト、検索・置換、仕様書の校正で事故が起きます。


建築従事者が実務で困るのは、記号の違いそのものより「機械的に処理できない」ことです。例えば、図面PDFから拾った寸法を表計算で換算する、部材リストを文字列処理で整形する、といった場面で、″と"と”が混在すると正規化に手間が増えます。現場の“あるある”として、見積明細に「1/2”」が混ざり、後から検索で「″」だけ見つからない、というトラブルも起きがちです。


実務上のおすすめは、社内ルールとして「単位記号は原則in、ダブルプライムは図面上の表現に限定」など、用途で分けることです。特に文章(仕様書・検査記録・メール)では、見た目の似た記号を避けて「in」を使うほうが、第三者にも誤読されにくいです。「″」は“見慣れている”反面、引用符と混同されやすいので、校正工程が弱い現場ほど事故率が上がります。


参考:インチの単位記号(ISO/JISではin)と″表記の説明
https://www.kitagawa-b.com/tips/48/
参考:″(ダブルプライム)と”やASCII引用符が混用される注意点(表記ゆれの根拠)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%81

インチの表記の換算(1インチ=25.4mm)と分数表記の読み方

インチの表記が絡むと、現場で最初に必要になるのは「mmへの換算」です。最重要の固定値は、1インチ=25.4mmで、ここは暗記しておくと作業が早くなります。換算の基本式は「インチ × 25.4 = mm」で、これが分かれば、概算も精算もできます。


ただし、建築・設備で頻出するのは、小数ではなく分数のインチ表記です。例えば「1/2」「3/8」「1 1/4」などで、これらは慣れないと咄嗟に小数へ置き換えられません。KEYENCEの配管サイズ解説でも、B呼称はインチ系で「3/8」「1」のように表すと説明されており、分数表記が実務標準のひとつであることが分かります。


分数のコツは、まず“分母を見て刻みを把握する”ことです。1/2は0.5、1/4は0.25、1/8は0.125…と、2の累乗の分母は換算が簡単です。建築従事者向けには、次のように「現場でよく出る値」だけ先に手癖化すると、ミスが激減します。


✅ よく出る分数インチ(概算mm)

  • 1/8 in ≒ 3.175mm(25.4÷8)
  • 1/4 in ≒ 6.35mm(25.4÷4)
  • 3/8 in ≒ 9.525mm(25.4×3÷8)
  • 1/2 in = 12.7mm(25.4÷2)
  • 3/4 in = 19.05mm(25.4×3÷4)
  • 1 in = 25.4mm(固定値)

さらに厄介なのが「1 1/4」のような“帯分数”です。これは「1 + 1/4」なので、インチ換算してから足すのが鉄則です。つまり 1 1/4 in = 1.25 in、mmなら 1.25×25.4 = 31.75mm になります。帯分数を「1/4だけ見て6.35mm」と誤認する事故は、配管・金物・工具の選定で実際に起きます。


この段階で、換算そのものよりも重要なのは「どこまで厳密に換算すべきか」です。納まり検討やラフな干渉チェックは概算で十分でも、加工・発注・検査はmm単位で確定させる必要があります。仕様書で“インチのまま指定”されているなら、勝手に丸めず、発注書には元のインチ表記+換算mm(小数点桁のルール込み)を併記して、認識違いの余地を潰すのが安全です。


参考:配管でのB呼称(インチ系)表記の読み方、対応表(A呼称・B呼称・外径)
https://www.keyence.co.jp/ss/products/process/flowmeter/technique/size.jsp

インチの表記と配管の呼び径(A呼称・B呼称)の落とし穴

建築設備の現場で「インチの表記」が最も事故につながりやすいのが配管です。理由は単純で、配管の“サイズ”が、内径でも外径でもなく「呼び径(呼び寸法)」として運用されているからです。つまり、インチ表記をmmに換算した値が、そのまま現物の外径・内径になるとは限りません。


KEYENCEの解説では、配管径は外径サイズによって「呼び径」が規定され、JIS規格ではA呼称・B呼称が定められ、A呼称・B呼称どちらも示す配管の外径は同じだと説明されています。ここは重要で、例えば「25A」と「1B(1インチ)」は“同じ外径グループを指す呼び”であって、「1インチ=25.4mmだから外径25.4mm」という意味ではありません。実際に対応表では、25A(B呼称1)の外径Dは34.0mmとされています。


このズレが何を起こすかというと、金物・貫通スリーブ・保温・塩ビ継手・ねじ込み継手の選定ミスです。初心者がやりがちなのは、「1インチ=25.4mm」だけを握って穴あけ径やスリーブ径を決めてしまい、現物の外径(例えば34.0mm級)に対して穴が小さい、という失敗です。逆に、内径を想定して選んでしまい、保温厚や流量計のレンジが合わない、といった二次被害も起きます。


また、同じ“インチ”でも、配管は分数が頻出します。KEYENCEの表で、6A=1/8、15A=1/2、20A=3/4、25A=1…と続きますが、現場では「一分」「四分」「六分」のような俗称(通称)も混ざります。俗称はB呼称を基準にした呼び名で、分母を8に固定した呼び方(1/8→一分、1/4→二分…)として説明されています。図面に「25A」と「1B」と「インチ」と「一分」が同じページに並ぶ現場もあり、ここで“換算ではなく対応表で照合する”習慣がないと、読み違いが起きます。


さらに注意したいのが、JISとANSIで外径が微妙に違うケースです。KEYENCEは、A呼称・B呼称・俗称は日本独自で、ANSI規格とは外径寸法が微妙に異なると明記し、比較表も提示しています。海外製機器(ANSI想定)を日本の配管に接続するような場面では、同じ「1インチ」でも外径の前提が揺れるため、カタログの規格欄まで確認が必要です。


配管のインチ表記でミスを防ぐ実務ルール案(現場向け)

  • 図面の「B呼称」は、まずA呼称へ置き換え、表で外径Dを確定する(換算はその後)。
  • 貫通・スリーブ・保温は、呼び径ではなく外径Dを基準に決める。
  • 海外機器はJIS/ANSIのどちら前提かを購入前に確認し、合わない場合は変換継手も含めて手配する。

参考:A呼称・B呼称・俗称と外径D、さらにJIS/ANSI差の比較表(配管の落とし穴の根拠)
https://www.keyence.co.jp/ss/products/process/flowmeter/technique/size.jsp

インチの表記と木材(2×4など)の実寸が違う理由

建築の「インチの表記」は、設備だけでなく木材でも誤解が起きます。代表例が「2×4(ツーバイフォー)」で、数字をそのまま“2インチ×4インチの角材”と捉えると、現物を見たときに必ずズレます。これは発注者・設計者・現場が同じ言葉を使っているのに、頭の中の寸法モデルが一致していない状態で、納まり不良の温床になります。


木材の記事では、1×4を「厚み1インチ、幅4インチ」と考えると誤りで、実際には厚み19mm、幅89mmと説明されています。2×4は厚み38mm、幅89mmとされ、名目寸法と実寸が一致しないことが明示されています。この差は、製材後の乾燥・仕上げ(プレーナー加工)など工程上の事情で規格化された“呼び”として理解するのが現場的に正しいです。


意外と見落とされるのが、長さ方向にフィート表記が混ざるケースです。2×4材は長さがftで表記されることが多い、という解説もあり、断面はインチ呼び、長さはフィート、設計はmm、という単位のミックスが起きます。ここで「′(プライム)」や「″(ダブルプライム)」を使った表記が混ざると、材料リスト作成時に単位が崩れて、拾い数量・切断長が狂うことがあります。


木材系のインチ表記で特に危険なのは、“見た目の合う数字”が出ることです。例えば、2×4をmm換算で考えると 50.8×101.6mm が頭に浮かびますが、実寸は 38×89mm級です。つまり、換算が正しいほど誤差が大きくなる、という逆転現象が起きます。だから木材では「インチ→mm換算」よりも「規格の実寸表(断面寸法表)で確定」が先です。


設計・施工での実務チェックポイント

  • 2×4などの表記は“呼び”と割り切り、納まり寸法は必ず実寸(mm)で押さえる。
  • 図面の木下地・胴縁・間柱は、規格寸法(実寸)で干渉・面材割付・ビス長を決める。
  • 仕上げの取り合い(ボード厚、見切り、枠)に絡む部分だけは、施工前に現物で再確認する。

参考:1×4/2×4の表記と実寸(19mm×89mm、38mm×89mmなど)の説明
https://asahikawa-mokkocenter.com/?p=6550

インチの表記の独自視点:文字コードとCAD/積算の事故を防ぐ「正規化」

インチの表記は、読み方や換算だけでなく「データとして扱えるか」が、現代の建築実務では同じくらい重要です。特に、BIM/CADの注記、設備メーカーのPDFカタログ、メール本文、Excelの拾い表、クラウド見積の品名など、複数媒体を横断して寸法を再利用する場面が増えました。ここで″と”と"が混在すると、目視では同じでも、検索・集計・置換が破綻します。


Wikipediaでも、ダブルプライム「″」の代わりに「”」やASCIIの「"」が用いられることがあると書かれています。つまり、現場で起きている表記ゆれは“誰かのミス”というより、入力環境(日本語IME、スマホ、PDFコピー、CADのフォント)由来で自然に起きるものです。だから対策も、精神論ではなく仕組みに寄せるべきです。


建築会社や協力会社で実装しやすい対策として、次の「正規化ルール」をおすすめします。これは文章・表計算・CSV・図面注記のどこでも使える、運用寄りの考え方です。


🔧 正規化の実務ルール例(社内標準にしやすい)

  • テキスト(仕様書・メール・見積明細)では「in」を採用し、″は使わない。
  • どうしても記号を使う場合は「″(U+2033)」に統一し、"(U+0022)と”を禁止する。
  • コピペ流入を想定して、置換ルールを用意する("→″、”→″、全角″→″など)。
  • 配管の「B呼称」は、品名では“分数表記”を残しつつ、別列にA呼称と外径Dを持たせる(後工程が救われる)。

もう一つの独自ポイントは、“インチ記号が秒(時間・角度)にも使われる”という多義性です。校正系の解説では、ダブルプライムが時間・角度などの「秒」や、インチを表す記号として触れられています。測量や角度を扱う図面注記(勾配、方位、座標系の注記)と、寸法の″が同じ記号で出ると、文脈依存の読み違いが起こり得ます。だから、角度の秒と長さのインチが同一資料に出る可能性がある業務(測量図+建築図の合本など)ほど、「in」表記の徹底が効きます。


この“正規化”は、現場の作業者に負担を押しつけるものではありません。むしろ、後工程(積算、発注、検査、品質記録、改修時の資料検索)で発生する見えない損失を減らし、手戻りの芽を早期に潰す仕組みです。インチの表記は古い単位の話に見えて、実際には「情報の再利用性」の話でもあります。


参考:インチ表記の代替文字(″の代わりに”や"が使われる)という表記ゆれの根拠
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%81
参考:ダブルプライムが秒・インチなど多用途の記号である点(多義性の注意)
https://kousei.club/%E6%A0%A1%E6%AD%A3%E8%A8%98%E5%8F%B7%EF%BC%9A%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%A0%E8%A8%98%E5%8F%B7%E3%83%BB%E3%83%80%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E8%A8%98%E5%8F%B7%E3%81%AE%E6%84%8F%E5%91%B3%E3%81%A8%E4%BD%BF%E3%81%84%E6%96%B9%EF%BC%BB%E6%A0%A1%E6%AD%A3%E8%A8%98%E5%8F%B7%EF%BC%BD/




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