角パイプ規格寸法r一覧|建設業界標準仕様ガイド

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角パイプ規格寸法r一覧

角パイプ規格寸法r一覧の重要ポイント
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基本規格と寸法

STKR・STKMR材質別の標準寸法と製造可能範囲

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r値と曲げ仕様

角部半径と最小曲げRの技術的要件

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建築現場での選定

用途別最適仕様と品質管理基準

角パイプの基本規格と標準寸法表

角パイプの規格は主に一般構造用角形鋼管(STKR)と機械構造用角形鋼管(STKMR)に分類されます。建設業界では用途に応じた適切な規格選定が重要です。

 

一般構造用角形鋼管(STKR)の主要寸法

  • 正方形:50×50mm~550×550mm
  • 矩形:60×30mm~200×100mm
  • 板厚:1.6mm~22.0mm
  • 標準長さ:6m~12m

機械構造用角形鋼管(STKMR)の特徴

  • 高精度な寸法管理
  • 表面仕上げ:ミガキ仕上げ
  • 小径サイズ:9×9mm~125×125mm
  • R付き仕様も選択可能

製造可能範囲については、各メーカーで若干の違いがありますが、新日鉄住金建材では200×200mmから550×550mmまでの大型サイズも常時製造対応しています。

 

材質別角パイプの規格比較と用途

角パイプの材質選定は建築物の構造要件と使用環境により決定されます。主要な材質規格の特性を比較すると以下のようになります。

 

STKR400(一般構造用)

  • 降伏点:245N/mm²以上
  • 引張強さ:400N/mm²以上
  • 主用途:建築骨組み、一般鉄骨工事
  • コスト効率:最も経済的

STKR490(高強度仕様)

  • 降伏点:325N/mm²以上
  • 引張強さ:490N/mm²以上
  • 主用途:高層建築、大スパン構造
  • 注意点:受注生産品のため要相談

ステンレス角パイプ(SUS304)

  • 耐食性:優秀
  • 表面仕上げ:美観性重視
  • 主用途:外装、水回り設備
  • 角R寸法:肉厚×1.0~2.0倍

意外な事実として、近年注目されている「エコ角」と呼ばれる薄肉角パイプは、従来品と比較して単位長さ重量が約30%減少し、環境負荷とコストの両面でメリットがあります。

 

角パイプのr寸法と曲げ加工技術仕様

角パイプの角部半径(r値)は加工性と強度に大きく影響する重要な仕様項目です。JIS規格では角部の外側曲率半径の標準を2.0t(板厚の2倍)で算出することが一般的です。

 

角部半径の標準仕様

  • 板厚3mm未満:r = 1.0t以下
  • 板厚3mm以上:r = 2.0t以下
  • ステンレス:肉厚により1.0t~2.0t

最小曲げRの技術基準
曲げ加工時の最小半径は材質と板厚により制限があります。

  • 50×25mm:最小R = 板厚×3倍
  • 75×45mm:最小R = 板厚×4倍
  • 100×50mm:最小R = 板厚×5倍

この曲げ半径を守らない場合、角部にクラックが発生するリスクが高まります。特に溶接構造物では応力集中により疲労破壊の原因となるため、設計段階での十分な検討が必要です。

 

興味深い技術として、一部メーカーでは角部にR加工を施した「R付き角パイプ」を製造しており、応力集中の緩和と美観性の向上を両立できます。

 

建築現場での角パイプ選定基準と実務ポイント

建築現場での角パイプ選定では、構造計算に基づく適切な断面性能の確保が最優先となります。実務上考慮すべき重要なポイントを整理します。

 

構造用途別の選定指針

  • 柱材:圧縮力に対する座屈耐力重視
  • 梁材:曲げモーメントに対する断面係数重視
  • ブレース材:引張・圧縮両方に対応可能な仕様
  • 間仕切り:軽量性と施工性を優先

寸法許容差の管理基準
角パイプの寸法許容差は品質管理上重要な確認項目です。

  • 辺の長さ100mm以下:±1.5mm
  • 辺の長さ100mm超:±1.5%
  • 板厚3mm未満:±0.3mm
  • 板厚3mm以上:±10%

調達時の注意事項

  • 標準長さ以外は別途相談が必要
  • STKR490等の高強度品は受注生産
  • カラー仕上げ品は納期に余裕が必要

現場での検査では、断面形状の測定位置が両端部を除く任意の点と規定されているため、中央部での測定を推奨します。

 

角パイプの品質管理と検査基準の実践的運用

角パイプの品質管理では、JIS規格に基づく系統的な検査体制の構築が不可欠です。特に大型プロジェクトでは、入荷時の全数検査から施工完了までの品質トレーサビリティが求められます。

 

必須検査項目と判定基準

  • 外観検査:傷、へこみ、溶接不良の確認
  • 寸法検査:許容差内の数値確認
  • 曲がり検査:全長の0.3%以下
  • 材質証明:ミルシート確認

現場検査の効率化手法
近年、3Dスキャナーを活用した寸法検査が注目されています。従来の手測定では困難だった複雑形状部分も精密に測定でき、検査時間の短縮と精度向上を同時に実現できます。

 

不具合事例と対策
実際の現場で発生しやすい不具合として、以下のケースが報告されています。

  • 溶接部の板厚不足:±10%の許容差を超過
  • 角部の局部座屈:最小曲げR不足による変形
  • 表面処理不良:防錆性能の低下

これらの問題を防ぐため、仕様書の詳細確認と施工前の材料承認プロセスの徹底が重要です。

 

長期耐久性の確保
角パイプの長期耐久性には、定期的なメンテナンス計画が欠かせません。特に外部環境に曝される部位では、5年毎の点検と必要に応じた表面処理の更新が推奨されます。

 

角パイプの規格・寸法・r値の正確な理解と適切な選定により、建築物の安全性と経済性を両立した設計が可能となります。技術の進歩により新しい仕様も続々と登場しているため、最新の規格情報の継続的な収集が建設業界従事者には求められています。